- 学名…Coreopsis
- 科名…キク科
- 属名…ハルシャギク属
- 原産国…北アメリカ、ペルー
- 花色…黄、赤、オレンジ、ピンク、複色
- 草丈…30㎝~100㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
コレオプシスとは
コレオプシスは、キク科ハルシャギク属の多年草、または一年草です。
ハルシャギク属の植物は北アメリカを中心に約38種の植物が知られており、美しい花を咲かせる幾つかの種が観賞用として栽培されています。
主に栽培されるのは、一年草のハルシャギク(Coreopsis tinctoria)、キンケイギク(C. basalis)、多年草タイプのイトバハルシャギク(C. verticillata)、ホソバハルシャギク(C. grandiflora)、コレオプシス・ロゼア(C. rosea)などです。
コレオプシスの花期は5月~9月。
※花期は品種によりやや異なります。
花期になると、長く伸びた茎の頂部に、直径2~7㎝程度の頭花(とうか)を咲かせます。
頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。
▼コレオプシスの頭花
舌状花は筒状になった花弁の片側が舌状に大きく広がっており、中性、または不稔です。
コレオプシスの大半の種では8個になります。
管状花は先が5裂した筒状で8~150個以上あり、両性。
▼コレオプシスの舌状花と管状花
管状花は外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟した後、雌しべが伸びてきます。
雌しべの柱頭は2裂しています。
▼コレオプシスの管状花
花色は黄、赤、オレンジ、ピンク、複色。
数多くの園芸品種が流通しており、鮮やかな花色が揃います。
▼様々な花色のコレオプシス
果実は押しつぶされた円形~卵形、長楕円形~線形の痩果(そうか)。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
葉の形状は幅の狭い披針形のもの、羽状複葉のものなど、品種により異なります。
全般的に茎はよく分枝し、花を咲かせながら草丈30~100㎝程度に成長します。
▼赤色の花を咲かせるコレオプシス
丈夫な性質で、育てやすい植物です。
品種によってはこぼれ種でよく増えます。
多湿な環境がやや苦手な性質ですが、適した環境で育てると放任でもよく育ち、多くの花を咲かせます。
コレオプシスの主な品種
ハルシャギク(Coreopsis tinctoria)
アメリカ西部(ミシシッピ川西側)地域原産の一年草のコレオプシスです。
現在ではカナダ南部、アメリカ、メキシコ北東部など、広い地域で帰化状態にあります。
花期は6月~8月で、茎の頂部に花径3~4㎝程度の頭状花を咲かせます。
鮮やかな黄色の舌状花の基部に、赤褐色の蛇の目模様が入ります。
※稀に模様の入らない種もあります。
葉は2回羽状複葉で、糸状~幅の狭い披針形、草丈30~100㎝程度に成長します。
一年草ですが、こぼれ種でもよく増えます。
キンケイギク(Coreopsis basalis)
北米南東部、および中南米に分布する一年草のコレオプシスです。
花期は5月~6月で、花径5㎝程度の鮮やかな黄色の頭花を咲かせます。
花弁の先端には鋸歯があり、基部には赤褐色の斑が入ります。
葉は羽状複葉で小葉は卵形、草丈30~60㎝程度に成長します。
オオキンケイギク(Coreopsis lanceolata)
北アメリカ原産のコレオプシスで、日本には1880年代に観賞用として導入されました。
繁殖力旺盛で荒地でも育つため、緑化植物として各地で栽培されていましたが、野生化して問題になり、2006年に特定外来生物に指定されています。
現在では、日本生態学会により「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定され、その栽培、譲渡、販売、輸出入が禁止されています。
花期は5月~7月で、花径5~7㎝程度の頭状花を咲かせます。
舌状花の先端には鋸歯があり、中心部分の筒状花共に黄色いのが特徴です。
葉は羽状複葉で小葉は細長いへら形、草丈30~70㎝程度に成長します。
春から初夏にかけて道路沿いの土手などを黄色く染めている様子を各地で見ることが出来ます。
イトバハルシャギク(Coreopsis verticillata)
アメリカ東部に分布する多年草のコレオプシスで、宿根コスモスとも呼ばれます。
花期は6月~9月で、花径3~4㎝程度の黄色い頭状花を咲かせます。
イトバハルシャギクの名の通り、葉は糸のように細く、草丈30~90㎝程度に成長します。
流通する園芸品種は、主に草丈40㎝程度の矮性種です。
ホソバハルシャギク(Coreopsis grandiflora)
アメリカ南部を中心に、カナダ南部などにも分布する多年草のコレオプシスです。
花期は5月~8月で、花径7㎝前後の大きな花を咲かせます。
基本種の花色は黄色で、花弁の先端には鋸歯があり、基部に赤褐色の斑が入ります。
園芸品種では、黄色一色の花を咲かせるものもあります。
※写真は八重咲きの園芸品種 ‘sunray’
コレオプシス ‘レッドシフト’ (Coreopsis 'Redshift')
気温と共に花色が変化する「ビックバンシリーズ」の品種です。
花期は6月~9月で、咲き始めの時期は写真のような色合いですが、気温が下がるにつれて赤い部分が多くなります。
多年草タイプで、草丈50~60㎝程度に成長します。
ダンシング・コレオプシス(Coreopsis hybrid)
ハルディンから発売されているコレオプシスのシリーズです。
初夏から初冬にかけて、花径3㎝前後の花を次々と咲かせ、草丈30~50㎝程度に成長します。
写真の品種は白花の「ジャイブ」です。
他にもサーモンピンクの「デザートコーラル」、黄花の「チャチャチャ」などがあります。
デザートコーラルは多年草で、他は一年草です。
他にも数多くの品種が流通しています。
コレオプシスの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日陰やじめじめした環境では生育が極端に悪くなるので注意して下さい。
冬越し(多年草タイプ)
耐寒温度は品種によって異なりますが、概ね-5℃以上と言われています。
暖地では防寒対策無しで戸外での冬越しが可能です。
強い品種もありますが、霜に弱い品種の場合は霜よけが必要です。
また、地面が凍ってしまうような寒冷地では、株元を腐葉土や敷き藁などで厚めにマルチングしたり、盛り土をして凍結対策をして下さい。
水やり
乾燥気味な環境を好む植物です。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
過湿な環境が続くと根腐れを起こすので注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料を少量混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、春の4月~6月、秋10月に月に一回程度、緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
液体肥料を週に1回程度でも構いません。
多肥にする必要はありません。
草丈の高い品種は特に、肥料が多いと草丈が伸びて倒れやすくなるので注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月、10月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土などを混ぜ込んでおきます。
水はけが悪い場合は、さらに赤玉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を整えて下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3の配合土に少量の緩効性化成肥料を混ぜて土を作ります。
植え替え
生育旺盛で、根詰まりを起こしやすいので、多年草タイプの品種を鉢植えにしている場合は、1~2年に一度、株分けを兼ねて植え替えを行います。
庭植えの場合は、植え替えの必要はありません。
切り戻し
花が一段落して本格的な夏が始まる前に、1/2程度の高さでバッサリと切り戻してやると、美しい草姿で花を長期間楽しむことが出来ます。
増やし方(種まき、株分け)
一年草タイプのものは種まき、多年草タイプのものは株分けで増やすことが出来ます。
種まきについては、下記「種まき」の項目を参照ください。
株分け
大きく育てば株分けが出来ます。
適期は春の3月~4月、秋の10月頃です。
掘り上げた株を2~3芽を一株として分けて植え付けて下さい。
種まき
種の採取
花後、管状花の下の部分に種が出来ます。
花が枯れて茶色く熟したら採取して下さい。
採取した種は封筒などに入れて日陰で乾燥させ、涼しい場所で保管して下さい。
種まき
適期は9月中旬~10月ですが、春にまくこともできます。
発芽温度は20℃前後です。
種は播種箱やポットにまくか、花壇や鉢に直まきします。
覆土は種が隠れる程度に軽く。
播種箱に蒔いた場合は、本葉が4枚程度になったらポット上げし、本葉が7~8枚程度になったら定植して下さい。
秋に蒔いて苗が小さい場合は、霜柱で持ち上げられると枯れてしまう事があるので注意します。
病気・害虫
灰色かび病、べと病
日当たりや風通しが悪いと発生することがあります。
過湿に気を付け、風通しの良い環境をキープできるように注意して下さい。
混み合いすぎた場合は、切り戻したり、透かし剪定を行います。