多年草・宿根草

ルリタマアザミ

  • 学名…Echinops ritro L.
  • 和名…ルリタマアザミ(瑠璃玉薊)
  • 別名…エキノプス
  • 科名…キク科
  • 属名…ヒゴタイ属
  • 原産国…ヨーロッパ~中東~中央アジア
  • 花色…青、白
  • 草丈…20㎝~60㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 8

ルリタマアザミとは

ルリタマアザミ

ルリタマアザミは、ヨーロッパから中東、中央アジアに分布するキク科ヒゴタイ属の多年草です。
分布域は、標高200m~2400mの山腹にあり、草原や牧草地など、日当たりの良い場所に自生しています。

ユニークな花を咲かせることから観賞用として世界で広く栽培されています。
日本には昭和初期に渡来し、和名である「ルリタマアザミ」、または属名である「エキノプス」の名前で流通しています。


ルリタマアザミの花期は7月~9月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は直径3.5~5㎝の大きさで、小さな花が球形に集まっています。

▼ルリタマアザミの花序

ルリタマアザミの花序

花は長さ1.2~1.7㎝の筒状で、先が深く5裂して線状になっています。

▼ルリタマアザミの花

ルリタマアザミの花

雄しべは5個が合着しており、花冠から突出します。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)で、雄しべが成熟して花粉を出した後、葯筒の中から雌しべが伸びます。
雌しべの柱頭は2裂します。

▼ルリタマアザミの雄しべと雌しべ

ルリタマアザミの雄しべと雌しべ

花序の花にはそれぞれ20~21個の苞(ほう)が付いています。

※苞(ほう)…花序や花の基部に付く特殊化した葉。苞葉(ほうよう)とも呼ばれる。

▼ルリタマアザミの苞の様子

ルリタマアザミの苞の様子

外側の苞は先が尖っており、そのせいで蕾はハリネズミのようにトゲトゲしています。
属名の「エキノプス」はギリシャ語の「echinos(ハリネズミ)」と「op(似ている)」を合わせた造語で、この独特の花姿に由来しています。

▼エキノプスのつぼみの様子

ルリタマアザミの蕾

花色は青、紫、白。

▼青い花を咲かせるルリタマアザミ

青い花を咲かせるルリタマアザミ

果実は長さ5.5mmの痩果(そうか)。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。


葉は革質で、裏側に白色の細かい毛が密生しています。
根生葉および下部の葉には葉柄があり、長さ8~20㎝、幅2~8cmの楕円形~倒披針形~線状楕円形で、羽状に裂けます。
基部の裂片はトゲになります。
中部~上部の葉は、下部の葉に似ていますが葉柄が無く、ときに2回羽状に裂けることがあります。

▼ルリタマアザミの葉の様子

ルリタマアザミの葉の様子

茎は上部で分枝し、花を咲かせながら草丈20~60㎝に成長します。
ユニークな草姿から花壇の他、切り花やドライフラワーとしてもよく利用されています。

▼たくさんの花を咲かせるルリタマアザミ

たくさんの花を咲かせるルリタマアザミ

耐寒性、耐暑性には優れていますが、多湿に弱く根腐れを起こすことがあります。
最大のポイントは植え付け時の土作りです。

ルリタマアザミの主な品種

エキノプス・ベッチーズ・ブルー(Echinops ritro ‘Veitch’s Blue’)

エキノプス・ベッチーズ・ブルー

ルリタマアザミの園芸品種で、濃い青い花を咲かせます。
蕾の頃から色づいており、切り花としても人気の高い有名品種です。

ヒゴタイ(Echinops setifer)

ヒゴタイ

日本に自生するルリタマアザミの近縁種です。
かつては西日本を中心に広く分布していましたが、年々自生地が減少していき、環境庁レッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。
現在では愛知県、岐阜県、広島県と九州の一部に自生地が確認されるのみとなっています。

ルリタマアザミに似た美しい花を咲かせますが、栽培が難しく、観賞用として栽培されることはほとんどありません。

ルリタマアザミの育て方

エキノプス(ルリタマアザミ)の育て方

栽培環境

日当たりが良く、風通しが良い環境が適しています。
多湿に弱い性質のため、水はけの良い環境を作ることがポイントになります。

冬越し・夏越し

冬越し

耐寒性は高く、日本全国で栽培可能です。
土まで凍ってしまうような寒冷地の場合は、凍結対策を施して下さい。

夏越し

暑さに対する耐性はあるのですが、多湿な環境が苦手です。
鉢植えの場合は、梅雨時期になったら雨の当たらない軒下などに移動して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。

肥料

やせ地でも育つ植物で、多くの肥料が必要なわけではありません。
肥料は通常の半量程度で十分です。

庭植えの場合は、春の3月~4月、秋の10月~11月の間に、緩効性化成肥料を株元から少し離れた場所に置き肥して下さい。
鉢植えの場合は、庭植えと同様の肥料を施した上で、さらに5月にも緩効性化成肥料の置き肥をします。

植え付け・植え替え

適期は3月~4月、10月~11月です。

植え付け

庭植えの場合は、通常より大きな植穴を掘り、用土に腐葉土やパーライト(中粒)を混ぜ込んで、排水性の良い土を作ります。
ルリタマアザミはゴボウのような根を地中深くに伸ばします。
深く耕して、ふかふかの土を作って下さい。

酸性土壌を嫌う性質なので、用土に苦土石灰を混ぜ混んで植え付けます。
日本の土壌は放置しておくと弱酸性に戻る場合が多いので、翌年以降も年に1回、株元に苦土石灰を少量まきます。
大きく育つので、株間は30~40㎝の間隔が必要です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6、腐葉土2、パーライト2などの配合土を使います。
6~7号鉢に1株が目安ですが、根が地中深く成長するので、深鉢が適しています。

植え替え

庭植えの場合は、2~3年に一度、株分けを兼ねて植え替えを行います。
鉢植えの場合は、1年に一度、一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

花がら摘み

花が色褪せて来たら切り取って下さい。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

適期は3月~4月、10月~11月です。
掘り上げた株を2~3株に分けて植え付けます。

種まき

開花は2~3年後くらいになります。

種の採取

花後に種が出来ます。
球状の花序が茶色く変色したら切り取り、日陰で逆さに吊るして乾燥させて下さい。
カラカラに乾いたら種が落ちてくるので、お茶パックなどを被せておいて種を採取します。
採取した種は封筒などに入れて、涼しい場所で保管します。

種まき

適期は4月下旬~5月、9月下旬~10月中旬です。

種はポットにまき、5㎜程度の覆土を施します。
発芽温度は20℃前後です。
水を切らさないように管理したら、2~3週間程度で発芽します。
本葉が2~3枚程度になったら根を傷つけないように鉢上げをし、根が十分に育ったら定植して下さい。
耐寒性は高い植物ですが、苗が小さい場合は霜の当たらない場所で管理して下さい。

病気・害虫

うどんこ病

葉や茎が小麦粉をかけたように白くなる病気で、生育が阻害されます。
梅雨時期に発生しやすくなります。
風通しの良い環境で育てることで発生をある程度は抑制できます。

アブラムシ

新芽や蕾に発生します。
見つけ次第、駆除して下さい。

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