多年草・宿根草

キャットミント

  • 学名…Nepeta x faassenii
  • 別名…ネペタ、ブルーキャットミント、ネペタ・ファーセニー
  • 科名…シソ科
  • 属名…イヌハッカ属
  • 原産国…ヨーロッパ~西アジア
  • 花色…青、ピンク、白
  • 草丈…20㎝~80㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 8

キャットミントとは

キャットミント

キャットミントは、シソ科イヌハッカ属の多年草です。
キャットミントとして流通しているのは主にネペタ・ファーセニー(Nepeta x faassenii)です。

ネペタ・ファーセニーは、イヌハッカ属のネペタ・ラセモーサ(Nepeta racemosa )とネペタ・ネペテッラ(Nepeta nepetella)の交雑種です。
オランダの苗木園であるファーセンナーサリー(Faassen Nursery)によって最初に育成されたため、ファーセニー(Faassenii)と名付けられました。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、「キャットミント」の名前で流通しています。

ただし、本来猫が好むのは同属の別種であるイヌハッカ(Nepeta cataria)です。
イヌハッカの英名は「猫が噛む草」という意味の「キャットニップ(catnip)」で、その精油には猫を興奮させる成分が含まれています。
ネペタ・ファーセニーも猫に対する誘因性はありますが、イヌハッカに比べると弱くなっています。

ミントと名前に付きますがハーブとして利用されることはなく、観賞用として栽培されています。


キャットミントの花期は5月~9月。
花期になると、枝先から花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は穂状で、一つの花序には20~50個の花が付きます。

▼キャットミントの花序の様子

キャットミントの花序の様子

花は長さ1~1.5㎝程度の唇形花(しんけいか)です。

※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。

▼キャットミントの唇形花

キャットミントの唇形花

キャットミントの唇形花は、上唇は3裂、下唇は浅く7~8裂しています。

雄しべは4個、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は2裂しています。

▼キャットミントの雄しべと雌しべ

キャットミントの雄しべと雌しべ

花色は青、紫の他、ピンク、白。

▼ピンクの花を咲かせるキャットミント

淡いピンク色のキャットミント

葉は対生し、卵形で基部は心形、縁に鋸歯があります。
葉には細かい皴があり、両面に毛が密生しています。

▼キャットミントの葉の様子

キャットミントの葉の様子

丈夫で耐寒性もあり育てやすい植物ですが、やや多湿に弱い性質です。

キャットミントの主な品種

シックス・ヒルズ・ジャイアント(Nepeta x faassenii ‘Six Hills Giant’)

キャットミント・シックス・ヒルズ・ジャイアント

草丈60~100㎝に成長する高性種で、ジャイアント・キャットミントとも呼ばれています。

ウォーカーズ・ロウ(Nepeta x faassenii 'Walker's Low')

キャットミント・ウォーカーズ・ロウ

ネペタ・ファーセニーの改良種で、草丈50㎝程度に成長します。
花茎が真っすぐに立ち上がり、花付きが良いのが特徴です。

イヌハッカ(Nepeta cataria)

イヌハッカ

キャットミントの近縁種で、英名はキャットニップ。
ヨーロッパからアジアにかけて広く分布しており、現在ではアメリカやカナダの他、世界中で帰化植物として定着しています。
イヌハッカは日本でも帰化しており、長野県筑摩群で最初に発見されたことから「チクマハッカ」とも呼ばれます。

花は白~淡い紫色で、草丈50~100㎝程度に成長します。
葉はハーブとして料理やハーブティーに利用されます。
葉茎にはネペタラクトンという猫を興奮させる物質が含まれており、猫のおもちゃの詰め物として使われることがあります。
ただし強い興奮をもたらすものではなく、またネペタラクトンに影響を受けるのは猫全体の75%程度と言われています。

キャットミントの育て方

キャットミントの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけが良い場所が適しています。
多湿にやや弱い性質なので、風通しも良いと最適です。

冬越し、夏越し

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。

夏越し

蒸れによる枯れ込みを防ぐため、梅雨前に切り戻しを行います。
草丈の半分程度の高さで、バッサリと刈り込んで下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。

乾燥には強い性質なので、水の与えすぎによる過湿に注意して下さい。

肥料

庭植えではほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

肥料が多いと草丈が高くなって倒れやすくなったり、病気が発生しやすくなります。
肥料は生育を見ながら、控えめに施して下さい。

植え付け、植え替え

適期は春の3月~4月、秋の9月下旬~11月上旬です。

植え付け

庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。

鉢植えの場合は、市販のハーブ用培養土や、草花用培養土を使います。
または、赤玉土(小粒)7・腐葉土4などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まり防止のため1~2年に一度、植え替えを行います。
根鉢を崩して根を2/3程度残して切り詰めます。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

庭植えの場合は、株が混み合って生育に影響するようなら、株分けを兼ねて植え替えます。

切り戻し

梅雨前と、秋に花が終わった時期に切り戻しを行います。
草丈の半分程度の高さで、バッサリと刈り込んで下さい。

増やし方(株分け、挿し芽、種まき)

株分け、挿し芽、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

適期は植え替え時の3月~4月、9月下旬~11月上旬です。
掘り上げた株を切り分けて、植え付けて下さい。

挿し芽

適期は5月~6月、9月です。

茎の先端から2~3節を切り取り、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

他のシソ科の植物と交雑しやすいので、親株と同じ花を咲かせたい場合は、株分けか挿し芽が確実です。

種の採取

花後に種が出来ます。
種はガクの部分に入っていて、ガクの部分が茶色くなれば熟しています。
中に黒い種が入っているので、採取して下さい。
種は乾燥剤と共に密閉容器に入れ、涼しい場所で保管します。

種まき

適期は4月~5月です。

種は播種箱などにまき、覆土は種が隠れる程度。
発芽温度は20℃前後です。
発芽率はあまりよくありません。
水を切らさないように明るい日陰で管理して発芽を待ちます。
本葉が4~5枚程度になったらポット上げして下さい。

病気・害虫

灰色かび病

多湿な環境で発生しやすい病気です。
梅雨前に切り戻しを行い、花が終わった花茎を切り取って、発生を抑制して下さい。

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