多年草・宿根草

ムラサキツユクサ

  • 学名…Tradescantia
  • 和名…ムラサキツユクサ(紫露草)
  • 科名…ツユクサ科
  • 属名…ムラサキツユクサ属
  • 原産国…北アメリカ
  • 花色…青、紫、ピンク、白
  • 草丈…30㎝~80㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 9

ムラサキツユクサとは

ムラサキツユクサは、北アメリカ原産のツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草です。
ムラサキツユクサ属には約70種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。

主に栽培されるのは、ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)とオオムラサキツユクサ(Tradescantia virginiana)、両種のハイブリッドであるアンダーソンムラサキツユクサ(Tradescantia x andersoniana)で、数多くの園芸品種が作出されています。
両種共にアメリカでは道端などで普通に見かける花で、花壇などにもよく植栽されています。

日本へは明治時代から昭和初期にかけて渡来しており、逸出したものが各地で野生化しています。


ムラサキツユクサの花期は5月~7月。
花期になると多数の茎を立ち上げ、上部の葉の付け根、または頂部に花序を出し数個の花を咲かせます。

▼ムラサキツユクサの花序

花は直径2~3㎝の3弁花です。
花弁は0.8~2㎝の広卵形。

雄しべは6個あり、花糸の下部に細かい毛が密生します。
雌しべは1個。

▼ムラサキツユクサの雄しべと雌しべ

花は早朝から開花し、暑い晴れた日には早く萎み、曇りや雨の日には夕方まで咲いています。
一輪の花は短命ですが、長い花期の間、数輪ずつぽつぽつと咲き続けます。

花色は青、紫、ピンク、白。
基本種は一重咲きですが、八重咲きの品種もあります。

▼白花のムラサキツユクサ ‘オスプレイ’


果実は4~6㎜の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

種子は長さ2~3㎜。


葉は線形から線状披針形で、らせん状に付きます。

▼ムラサキツユクサの葉の様子

茎は直立するものと横に伸びるものがあり、草丈30~80㎝程度に成長します。

▼ムラサキツユクサの株の様子

葉が黄色味を帯びる品種もあります。

▼葉色が黄味を帯びる ‘スイート・ケイト’

耐寒性、耐暑性共に高く、育てやすい植物です。
強健な性質で放任でもよく育ち、よく増えます。

※花がツユクサに似ていることから「ツユクサ」の名前を持ちますが、ツユクサはツユクサ属、ムラサキツユクサはムラサキツユクサ属に分類されており、別属の植物です。

ムラサキツユクサの近縁種

ムラサキツユクサが属するムラサキツユクサ属は、熱帯アメリカを中心に約70種が分布しています。
大半の種は雑草ですが、観賞用に栽培されるものもあります。

観賞用として栽培されているムラサキツユクサ属の植物には本種の他、以下のようなものがあります。

ムラサキツユクサとオオムラサキツユサ

ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)

カナダ東部からアメリカ東部に分布します。

葉は長さ5~45㎝、幅0.4~4.5㎝の線形~線状披針形です。
草丈15~115㎝に成長します。

オオムラサキツユクサ(Tradescantia virginiana)

カナダ東部、フロリダ州を除くアメリカ東部およびキューバに分布します。

葉は長さ 13~37 cm、幅 0.4~2.5 cmの線形~線状披針形です。
草丈5~35㎝に成長します。

ムラサキツユクサとオオムラサキツユクサの違い

葉の形状や草丈などの違いがありますが、最も大きな違いは萼片にあります。

▼ムラサキツユクサの萼片

萼片は無毛、または先に毛があります。

▼オオムラサキツユクサの萼片

全体に毛が生えています。

ムラサキツユクサ、オオムラサキツユクサともに園芸品種が多数あり、両種のハイブリッド品種の他、その他のムラサキツユクサ属の植物とのハイブリット品種も流通しています。
萼片の全体に毛があればオオムラサキツユクサ、またはオオムラサキツユクサ系統のハイブリッド品種ということになります。

ムラサキツユクサの育て方

ムラサキツユクサの育て方

栽培環境

日なたから半日陰まで適応します。
半日陰でも問題なく花を咲かせますが、全くの日陰だと花付きが悪くなるので、一日数時間程度は日の当たる場所で育てて下さい。

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
多湿な環境が続くと根腐れを起こしやすいので、注意して下さい。

肥料

あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
肥料が多いと、草丈が高くなり草姿が乱れます。

庭植えの場合は、ほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥する程度で十分です。

植え付け、植え替え

適期は3月~4月、9月~10月です。

植え付け

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
株間は30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりを起こすと生育が悪くなるので、1~2年に一度、植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

庭植えのでは特に必要ありませんが、増えすぎているようなら株分けを行って下さい。

切り戻し

花が一通り咲き終わったら、地際でバッサリと刈り取ると、草姿が整います。
時期が早ければ、もう一度花を咲かせます。
秋になって葉が枯れた場合も、地際で刈り取ります。
春になれば再び芽吹きます。
葉が枯れない場合も、伸びすぎた葉を刈り込んでおくと、草姿が乱れません。

増やし方(株分け)

株分けで増やすことが出来ます。

株分け

適期は3月~4月、9月~10月です。
掘り上げた株を切り分けて植え付けて下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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