別名…ヒース
科名…ツツジ科
属名…エリカ属
原産国…南アフリカ、ヨーロッパ、北アフリカ
花色…ピンク、白、黄、赤、オレンジ
草丈…30㎝~300㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:品種による
エリカとは
エリカは、南アフリカ、ヨーロッパ、北アフリカに約860種が分布する常緑性の樹木です。
非常に多くの種があるエリカですが、その内690種は南アフリカ固有種であり、大半は樹高1m以下の低木で、2mを超える種はごくわずかです。
その内、美しい花を咲かせる種が観賞用として広く栽培されています。
日本で流通している品種も非常に多く、暖地では庭木として人気のジャノメエリカの他、鉢物など、その品種は50種ほどにも及びます。
花期は品種によって異なり、花姿や樹高も様々です。
葉はスギのような針状で、枝に密生します。
エリカの主な品種
ジャノメエリカ(Erica canaliculata)
南アフリカの西および東ケープ州に分布するエリカで、最もポピュラーな品種です。
花期は12月~4月で、樹高50~200㎝程度に成長します。
花径3㎜程度の小さな花が、株を覆うように鈴なりに咲く姿が非常に賑やかで愛らしい花木です。
耐寒温度は-5℃程度で、エリカの中では比較的高温多湿に強く、暖地では庭植えも可能です。
「ジャノメエリカ」の和名は、花の中心の黒い部分が蛇の目のように見えることに由来します。
日本へは大正9年に渡来しています。
スズランエリカ(E. formosa)
南アフリカ南部の海岸沿いの地域に分布するエリカです。
花期は2月~5月で、樹高60~80㎝程度に成長します。
スズランに似た白い壺状の花が愛らしい品種です。
促成栽培で花を咲かせ、ツリー仕立てにした鉢物がクリスマスの時期によく流通します。
耐寒温度は-5℃程度で、暖地では戸外で冬越し可能ですが、高温多湿の環境が苦手なため夏越しが難しい品種です。
夏場は涼しい場所に移動できる鉢植えで育てるのが無難です。
エリカ・メランセラ(E. melanthera)
南アフリカ原産と思われるエリカですが、来歴ははっきりしません。
鉢物として広く普及しています。
花期は9月~3月で、樹高100~150㎝程度に成長します。
ジャノメエリカに似ていますが、秋咲きです。
エリカの中では比較的高温多湿に強く、耐寒温度は0℃程度です。
エリカ・クリスマスパレード(E. hiemalis 'Christmas Parade')
南アフリカ原産のヒエマリス種の園芸品種で、鉢物として流通します。
花期は11月~4月で、樹高30~100㎝程度に成長します。
花色はピンク、オレンジ、赤、白。
エリカの中では比較的高温多湿に強い性質ですが、寒さには弱く、冬越しには10℃程度の気温が必要なため、冬場は室内での管理になります。
エリカ・ブライダルヒース(E. baueri subsp. baueri)
南アフリカ南東部の限られた地域に分布するエリカで、南アフリカでは庭木として広く栽培されています。
樹高100~150㎝程度に成長し、花期は3月~4月ですが四季咲き性があります。
長さ2㎝程度の筒状の花が美しい品種です。
花色は白、ピンク。
暖地では戸外で冬越し可能ですが、高温多湿の環境が苦手なため夏越しが難しい品種です。
夏場は涼しい場所に移動できる鉢植えで育てるのが無難です。
エリカ・ファイヤーヒース(E. cerinthoides)
別名エリカ・ケリントイデス。
南アフリカ南部に広く分布するエリカです。
樹高30~100㎝程度に成長し、花期は11月~4月で四季咲き性があります。
花色はオレンジ、ピンク。
長さ2~3㎝程度の筒状花が、茎の先端に垂れ下がるように咲きます。
耐寒性はそこそこで暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
エリカの中では比較的高温多湿に強い性質です。
エリカ・カナリーヒース(E. blandfordia)
別名エリカ・ブランドフォーリア。
鉢物としてよく流通する、南アフリカ原産のエリカです。
花期は3月~4月で、樹高30~100㎝程度に成長します。
鮮やかな黄色の筒状花が印象的です。
耐寒性はそこそこありますが、高温多湿にやや弱い性質です。
他にもヨーロッパ原産の品種など、数多くの品種が流通しています。
ヨーロッパ原産の品種は耐寒性は高いのですが、夏の暑さに弱く、暖地での栽培難易度は高めです。
南アフリカ原産の品種は「クリスマスパレード」などの一部の品種を除けば、耐寒性はそこそこで、暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
ジャノメエリカはエリカの中では育てやすい品種で、過湿には弱いですが関東以南であれば庭植えでも栽培可能で、大株になって見ごたえがあります。
エリカの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
高温多湿の環境が苦手なため、風通しも良いと最適です。
※ジャノメエリカ以外の品種は、鉢植えで育てた方が安全です。
冬越し、夏越し
冬越し
南アフリカ原産種は、一部品種を除いて暖地であれば戸外で冬越し可能です。
霜の避けられる日当たりの良い場所に置いて、夜の冷え込みが心配なようなら室内に取り込みます。
寒さに弱い品種は秋になったら室内に取り込んで、日の当たる場所で管理して下さい。
ヨーロッパ原産種は、耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
夏越し
高温多湿の環境が苦手です。
長雨の時期は、雨の当たらない軒下などで管理して下さい。
暖地の場合は、夏場は強い日差しが当たらない半日蔭の場所や、明るい日陰に移動して育てます。
移動できない場合は遮光して、強烈な日差しから株を守って下さい。
水やり
エリカの根は細く、過湿にも乾燥にも弱い性質です。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土が乾き始めたらたっぷりと。
過湿に注意しますが、乾燥にも注意が必要です。
夏場は生育が衰えるので、やや乾燥気味に管理しますが、葉が萎れてしまわないように注意して下さい。
肥料
春と秋に緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を2週間に1回程度施します。
夏場に肥料が残っていると根が傷んでしまうので、夏場に肥料が残らないように注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は春か秋です。
春咲き品種で春に花が咲いている場合は、花後に植え替えを行います。
植え付け
弱酸性の土壌を好みます。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
土壌が中性~アルカリ性の場合は、鹿沼土やピートモス(酸度未調整)を混ぜ込んで弱酸性の土壌を作ります。
鉢植えの場合は、鹿沼土(小粒)8・ピートモス(酸度未調整)2などの配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいので、一年に一度植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して、傷んだ根があれば取り除き、一回り大きな鉢に植え替えを行います。
植え替え後は一週間ほど、明るい日陰で管理して下さい。
庭植えの場合は、植え替えの必要はありません。
剪定、切り戻し
花後の植え替え時に、花の終わった枝を1/2~1/3程度、切り戻します。
混み合っているようなら、枝を切り取って透かして下さい。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は5月~6月、9月中旬~10月です。
花の付いていない枝を5~6㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の方に付いている葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
病気・害虫
まれにハダニが発生することがあります。
発生した場合は、薬剤などで対処して下さい。