- 学名…Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara
- 和名…ツリガネニンジン(釣鐘人参)
- 科名…キキョウ科
- 属名…ツリガネニンジン属
- 原産国…日本、サハリン
- 花色…淡紫色~紫色
- 草丈…40㎝~100㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:6 to 9
ツリガネニンジンとは
ツリガネニンジンは、日本およびサハリンに分布するキキョウ科ツリガネニンジン属の多年草です。
日本では北海道~九州に分布しており、山野に自生しているのが普通に見られます。
美しい花を咲かせることから観賞用として栽培されています。
また春の若芽はトトキと呼ばれ、美味な山菜として珍重されています。
ツリガネニンジンの花期は8月~10月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、1~数個の花を咲かせます。
花序は円錐形で、花は茎に互生、または輪生します。
▼ツリガネニンジンの花序の様子
花柄は細く、花は釣り下がるように下向きに咲きます。
花は長さ1.5~2㎝程度の鐘形で、花冠の先は浅く5裂し、やや外側に反り返ります。
※花冠の形は変異が多く、膨らまないものもあります。
萼片は線状。
▼ツリガネニンジンの花
雄しべ5個は花冠の中にあり、雌しべは1個。
通常雌しべは花冠から長く突出します。
※雌しべが短いものもあります。
▼ツリガネニンジンの雄しべと雌しべの様子
基本種の花色は淡紫色~紫色ですが、白花品種もあります。
▼白花ツリガネニンジン
果実は蒴果(さくか)。
熟すと裂け、中の種子がこぼれ落ちます。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
葉は輪生、または互生し、長さ4~8㎝の卵状楕円形で、縁に鋸歯があります。
根生葉は長い柄を持ち、ほぼ円形で、花の時期には無くなります。
▼ツリガネニンジンの葉の様子
茎はあまり分枝せず、花を咲かせながら草丈40~100㎝に成長します。
冬に地上部が枯れ、春に再び芽吹きます。
根は太く、チョウセンニンジンに似ており、韓国では根も食用として利用されます。
丈夫な性質ですが暑さにやや弱い性質で、暖地では夏場は涼しい日陰での管理が必要になります。
※暖地での栽培は難易度が高くなります。
ツリガネニンジンと似た花を咲かせる植物
ツリガネニンジンと似た花を咲かせる植物に、同属の近縁種であるイワシャジンがあります。
また、ハタザオギキョウもよく似た花を咲かせます。
ハタザオギキョウはヨーロッパ原産のホタルブクロ属の植物で、関東以北の地域で野生化しています。
ツリガネニンジンの育て方
栽培環境
日当たりが良い場所を好みますが、強い西日が当たるような場所は避けます。
暖かい地方では夏場は半日蔭の環境が好ましく、鉢植えの方が管理しやすくなります。
夏越し・冬越し
夏越し
暖地・温暖地の場合は、鉢植えの場合は風通しの良い半日蔭の場所に移動します。
庭植えの場合は、遮光します。遮光率は50%。
涼しい地方では特に対策の必要はありません。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
土まで凍ってしまうような寒冷地の場合は、凍結対策をして下さい。
水やり
用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
冬場はやや乾燥気味に管理しますが、完全に乾かしてしまわないように注意して下さい。
肥料
春の3月~5月、秋の10月に緩効性化成肥料を置き肥します。
鉢植えの場合は液体肥料を施します。
植え付け、植え替え
適期は早春の2月~3月です。
植え付け
用土は、市販の山野草用の培養土を使うか、配合して土を作ります。
配合例は、桐生砂4・焼赤玉土3・硬質鹿沼土3の配合土、または鹿沼土小粒単用、火山レキ単用などです。
植え替え
鉢植えの場合は、生育旺盛なので、一年に一度、植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は、特に必要ありませんが、増えすぎているようなら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
増やし方
株分け、挿し芽、種まきで増やすことができます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照ください。
株分け
2月~3月の植え替え時に、株が大きく育っているようなら株分けをします。
チョウセンニンジンに似た太い根が地中に幾つかできているので、分けて植え付けます。
細い根が絡んでいる場合は、ナイフなどで切り分けて下さい。
挿し芽
適期は5月~6月です。
茎の先端を2~3節が付くように切り取り、挿し穂にします。
水揚げをしっかりし、挿し木用土に挿して下さい。
※切り口から白い乳液が出るようなら洗い流します。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、根が出るのを待ちます。
種まき
種の採取
花後に果実が実ります。
9月~10月頃、熟してから種を採取して下さい。
採取した種はそのままとりまきするか、春まで冷蔵庫で保管します。
種まき
適期はとりまきの場合は11月~12月、春の場合は2月~3月です。
種が細かいので、ばらまきで覆土は2㎜程度。
水やりは底面給水で、水を切らさないように管理して下さい。
1~2か月で発芽します。
病気・害虫
ハダニ、ナメクジ、ヨトウムシ、バッタなどが発生します。
見つけ次第、対処して下さい。