別名…サルビア・ミクロフィア、サルビア・グレッギー、サルビア・ヤメンシス
科名…シソ科
属名…アキギリ属(サルビア属)
原産国…アメリカ南部・メキシコ
花色…赤、赤白、ピンク、オレンジ、白
草丈…40㎝~150㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:7 to 10
チェリーセージとは
チェリーセージは、アメリカ南部からメキシコにかけて分布するシソ科アキギリ属の多年草です。
チェリーセージというのは英名がそのまま流通名になったもので、正式な種名ではありません。
チェリーセージとして栽培されるのは主に、サルビア・ミクロフィア(Salvia microphylla)とサルビア・グレッギー(S. greggii)、そして二種の自然交配種であるサルビア・ヤメンシス(Salvia x jamensis)です。
ここではその三種をチェリーセージとして紹介しています。
チェリーセージの花期は5月~11月。
花期になると、分枝した茎の上部に花序を出し、径2~3㎝程度の唇形花を数輪、穂状に咲かせます。
唇形花(シンケイカ)とはシソ科やゴマノハグサ科の植物の多くに見られる花の形で、筒状になった花の先端が上下に分かれ、唇のような形になったものです。
▼チェリーセージの唇形花
花は初夏から秋までの長い花期の間、ぽろぽろと咲き続けます。
花色は、赤、ピンク、赤白の複色、オレンジ、白など。
▼白い花を咲かせるチェリーセージ
葉は卵型で対生し、品種によって表面に皺のあるものと無いものがあります。
茎は分枝しながら草丈100㎝程度に成長し、こんもりと茂ります。
葉には独特の爽やかな香りがあります。
▼チェリーセージの葉
耐寒性は比較的高く、南関東以南であれば問題なく冬越し可能です。
寒さで落葉することがありますが、春には再び芽吹きます。
病害虫の発生もほとんどなく、放任でもよく茂り、よく花を咲かせます。
育てやすい植物です。
チェリーセージの主な品種
チェリーセージとして流通しているのは、サルビア・グレッギー、ミクロフィラ、ヤメンシスの3種です。
この3種のセージはいずれもメキシコの標高1500m~3000mの高山で発見されており、高度によってそれぞれの種が分布しています。
低い場所にはグレッギー、その上にミクロフィラが分布しており、山を登るにつれて交配種のヤメンシスが出現するという感じです。
3種のセージは耐寒性に少し違いがあるものの、育て方に歳差はありません。
園芸品種も多く流通しており、素人目には判別は困難な状況です。
サルビア・グレッギー(Salvia greggii)
アメリカ・テキサス州西部および中央部からメキシコ北部にかけて分布するセージです。
主に標高1500~2800mの岩場の斜面などに自生しています。
葉がやや細く、葉の表面には皺があります。
チェリーセージの赤花として多く流通します。
基本種の花色は赤ですが、様々な花色の品種が作出されています。
プライヤ・ローザ(Salvia Greggii ‘playa rosa’)
淡いピンク色の花を咲かせる品種です。
ミラージュ・チェリー・レッド(Salvia greggii ‘Mirage Cherry Red’)
草丈50㎝程度に成長する矮性品種です。
サルビア・ミクロフィラ(Salvia microphylla)
アメリカ・アリゾナ州南部からメキシコに分布するセージで、主に高山の標高2400m以上の地域に自生しています。
こちらもチェリーセージの赤花として多く流通します。
グレッギーとの違いは、花冠内の小さな対の突起物と、葉の縁の小さな鋸歯です。
▼サルビア・ミクロフィラの葉
こちらも基本種は赤花ですが、多数の品種があります。
ホットリップス (Salvia microphylla 'Hot Lips')
赤と白のツートンカラーが愛らしい品種です。
涼しいと赤白の二色となり、暑いと赤一色になることが多いですが、色の変化には様々なパターンがあるようです。
※気温が上がると白になり、秋になってもそのままという報告を頂きました。
「イチゴミルク」の名前で流通することもあります。
サルビア・ヤメンシス(Salvia x jamensis)
グレッギーとミクロフィラの自然交配種で、1991年にメキシコで発見されました。
花色が豊富で、葉に皺がないのが特徴です。
※まれに皺がある場合もあります。
ダンシング・ドール(Salvia x jamensis ‘Dancing Dolls’)
ピンク色の花を咲かせる品種です。
他にも非常に数多くの品種が作出されています。
関連記事
チェリーセージの近縁種については下記を参照下さい。
チェリーセージの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
半日蔭でも育ちますが、花付きは日照時間に比例します。
多くの花を楽しむためには、よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し・夏越し
冬越し
耐寒性は品種によってやや異なり、最低気温-5℃~-10℃程度です。
どの種も関東地方以南の地域であれば、戸外で問題なく冬越しします。
寒さで地上部が枯れますが、根は生きているので春にはまた芽吹きます。
夏越し
夏の暑さで花が咲き止むことがありますが、秋になればまた花を付け始めます。
問題なく夏越し可能です。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に酷く乾燥するようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
冬場は水やりの回数を減らし、乾燥気味に管理します。
肥料
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植え、鉢植え共に春と秋に緩効性化成肥料を施す程度で十分です。
植え替え・植え付け
適期は4月~5月、9月~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
切り戻し
真夏と真冬を除けば、いつでも切り戻すことが出来ます。
経年と共に茎が木質化して花付きが悪くなったり、高い位置で花が付き、草姿が乱れるようになります。
下から新しい枝が伸びて来たら、古い枝を切り取り、少しずつ新しい枝に更新していくようにして下さい。
大きくなりすぎた場合は、春に霜の心配がなくなった頃に、株元近くでバッサリと切り戻します。
萌芽力が強いので、しばらくすると新しい芽を吹きます。
切り戻した枝は挿し木に利用することが出来ます。
増やし方(挿し木)
挿し木で簡単に増やすことが出来ます。
挿し木
適期は5月~7月です。
茎を10~15㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下部の葉を取り除き、花や蕾が付いていればそれも取り除きます。
水揚げをした後、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように日陰で管理すれば、1~2週間程度で発根します。
芽が動き始めたら鉢上げをして下さい。
ちなみに管理人宅で挿した3本のホットリップスの発根率は100%でしたが、ツートンカラーが出たのは1本だけでした。
簡単に発根するので、多めに挿しておくと良いです。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。