多年草・宿根草 一年草・二年草

ダチュラ(チョウセンアサガオ)

  • 学名…Datura L.
  • 和名…チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)
  • 科名…ナス科
  • 属名…チョウセンアサガオ属
  • 原産国…中国、アジア、北アフリカ、中央アメリカ~南アメリカ
  • 花色…白、紫、黄
  • 草丈…50㎝~100㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:8 to 11

ダチュラ(チョウセンアサガオ)とは

ダチュラは、中国、アジア、北アフリカおよび中央アメリカ~南アメリカ原産のナス科チョウセンアサガオ属の一年草、または多年草です。
チョウセンアサガオ属には約11種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。

主に栽培されるのは、チョウセンアサガオ(Datura metel)とアメリカチョウセンアサガオ(Datura inoxia)、ヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium)です。

日本へは江戸時代に薬用植物として渡来し、本州以南の各地で野生化したものが見られます。

「チョウセンアサガオ」の「チョウセン」は、朝鮮原産という意味ではなく、海外から入って来たことを意味しています。
また「アサガオ」と名前がついていますが、アサガオはヒルガオ科、チョウセンアサガオはナス科に分類されており、類縁関係のない別種の植物です。

ダチュラの名前はチョウセンアサガオ属の学名です。
園芸界では観賞用として栽培されるチョウセンアサガオ属の植物をダチュラと呼んでいます。


ダチュラの花期は7月~9月。
花期になると、分枝した上部の茎の葉の付け根、または頂部に、長さ10~15㎝程度の漏斗形の花を咲かせます。

▼ダチュラの花

雄しべは5個、雌しべは1個。

▼ダチュラの雄しべと雌しべ

一輪の花は短命ですが、長い花期の間、次々と開花します。
花色は白、紫、黄色。
一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。

▼八重咲きのダチュラ


果実は球形の蒴果(さくか)。
多数のイボ状の突起、またはトゲがあります。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ダチュラの果実

果実は熟すと裂け、種子を放出します。

▼熟して裂けたダチュラの果実


葉は対生し、卵形~広卵形で、全縁、または不規則な鋸歯があります。
ヨウシュチョウセンアサガオでは不規則に裂けます。

▼ダチュラ(チョウセンアサガオ)の葉の様子

茎はよく分枝して草丈50~100㎝程度に成長します。

▼大きく成長したダチュラ

耐暑性が高く、強健な性質で、放任でもよく育ち、花を咲かせます。
こぼれ種でも発芽します。

関連図鑑

かつてチョウセンアサガオ属には木本性のエンジェルストランペットも含まれていましたが、現在ではキダチチョウセンアサガオ属に分類されています。
その名残でエンジェルストランペットもチョウセンアサガオと呼ばれることがありますが、エンジェルストランペットは樹高2mほどに育つ樹木で、性質が異なります。

チョウセンアサガオの主な品種

チョウセンアサガオ(Datura metel)

メキシコ原産の一年草のダチュラです。
現在では世界の広い地域で野生化しています。
日本では本州以南の地域で帰化・野生化しています。

草丈100㎝程度。
花は白から帯紫色、淡い黄色など。

果実には多数のいぼ状の突起があります。

▼チョウセンアサガオの果実

数多くの園芸品種があります。

アメリカチョウセンアサガオ(Datura inoxia)

アメリカ南部からメキシコ原産の多年草のダチュラです。
世界の広い地域で栽培され、南北アメリカを始め、アフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパなどに帰化しています。

草丈60~150㎝程度。
花は白から帯紫色。
雌しべが雄しべより短いのが特徴です。

多くの場合、葉茎に細かな毛が密生しています。

▼アメリカチョウセンアサガオの茎の様子

ヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium)

メキシコ原産の多年草のダチュラです。

草丈50~150㎝に成長します。
花は白から紫色。

葉は浅く裂け、または不規則に湾曲しています。

ケチョウセンアサガオ(Datura wrightii)

アメリカおよびメキシコ原産の多年草のダチュラです。
アメリカチョウセンアサガオと混同されますが、別種と考えられています。

草丈120㎝程度に成長します。
花は白から淡い紫色。
雌しべが雄しべより長いのが特徴です。
※アメリカチョウセンアサガオは雌しべの方が短くなっています。

葉茎に細かい毛が密生しています。

ダチュラ(チョウセンアサガオ)の毒性

ダチュラは全草にヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどのアルカロイド類の有毒物質を含んでおり、誤食すると強い中毒症状を引き起こします。
根をゴボウと間違えたり、蕾をオクラと間違えて誤食するなどの事例があり、食用植物の近くでは育てないなどの配慮が必要です。

必要以上に恐れることはありませんが、手に樹液が付着するとかぶれることがあるので、扱う際は手袋などを着用すると安心です。

ダチュラ(チョウセンアサガオ)の育て方

ダチュラ(チョウセンアサガオ)の育て方

栽培環境

日当たりの良い場所が適しています。
日光を好み、真夏の強い日差しにも負けない強さがあるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込んでおきます。
追肥は、苗が大きくなってきた頃に、緩効性化成肥料を株元にバラまきます。

鉢植えの場合は、5月~9月の生育期の間に、緩効性化成肥料を月に1回程度施すか、液体肥料を月に2~3回程度施します。
やせ地でも育つ植物ですが、肥料切れをさせると花付きが悪くなります。
生育期間中は定期的に施肥して下さい。

植え付け

適期は4月中旬~6月です。

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、堆肥を混ぜ込んでおきます。
株間は40㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

種まき

適期は4月中旬~5月です。

種は播種箱やポットに蒔くか、花壇や鉢に直まきします。
覆土は種が隠れる程度に軽く。
乾かさないように管理すれば、2~3週間程度で発芽します。
発芽後、箱まきをしたものは、本葉が出たらポット上げします。
ポットに根が回ったら定植して下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

花後にトゲトゲの果実が実ります。
種が熟すと果実が割れるので、種を採取して下さい。
採取した種は封筒などに入れて乾燥保存します。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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