低木 庭木

バイカウツギ

  • 学名…Philadelphus satsumi Siebold ex Lindl. et Paxton
  • 和名…バイカウツギ(梅花空木)
  • 別名…サツマウツギ
  • 科名…アジサイ科
  • 属名…バイカウツギ属
  • 原産国…日本
  • 花色…白
  • 樹高…1m~3m
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:

バイカウツギとは

バイカウツギ

バイカウツギは、日本に分布するアジサイ科バイカウツギ属の落葉低木です。
日本固有種で、分布域は本州、四国、九州にあり、山野の林縁などに自生しています。

美しい花と香りから世界で広く栽培されており、16世紀にはヨーロッパで紹介されています。
日本では古くから庭木や茶花として親しまれてきた花木です。


バイカウツギの花期は5月~6月。
花期になると、分枝した枝先に集散花序を出し、5~9個の花を咲かせます。

▼バイカウツギの花序

バイカウツギの花序

花は直径2~4㎝の4弁花です。
花弁は広卵形で平らに開きます。

▼バイカウツギの花

バイカウツギの花

雄しべは20個程度、雌しべは先が4裂しています。

▼バイカウツギの雄しべと雌しべ

バイカウツギの雄しべと雌しべ

花は梅の花に似ており、芳香があります。
花色は白のみで、一重咲きの他、半八重、八重咲き品種も流通しています。

▼八重咲きのバイカウツギ

八重咲きのバイカウツギ

果実は長さ7~8㎜の蒴果。
熟すと4裂し、中の種子がこぼれます。


葉は対生し、長さ4~10㎝、幅2~4㎝の先が尖った卵形で、縁に浅い鋸歯がまばらにあります。
葉裏の葉脈には毛がまばらに生えており、この毛が多く密生しているものをニッコウバイカウツギ(別名:ケバイカウツギ)と呼びます。
葉柄は0.5~1㎝

▼バイカウツギの葉の様子

バイカウツギの葉の様子

枝はよく分枝し、樹高1~3m程度に成長します。
ウツギの名の通り枝の中は中空で、「バイカウツギ」とは「梅に似た花を咲かせる茎が中空の木」という意味です。

▼大きく成長したバイカウツギ

大きく成長したバイカウツギ

放っておくと樹形が乱れるので、剪定作業は必須ですが、育てやすい花木です。
自生地の北限は岩手県南部です。

バイカウツギの主な品種

セイヨウバイカウツギ(Philadelphus coronarius)

セイヨウバイカウツギ

トルコからコーカサス地方を原産とするバイカウツギの近縁種です。
※バイカウツギと同一種とする説もあり、また、イタリア、オーストリアなどを原産とする説もあります。

北米では広く栽培されており、アメリカ東部を中心に帰化植物として定着しています。

バイカウツギによく似た白い4弁花を咲かせます。
雄しべは20~50個、雌しべの先は4裂しています。

セイヨウバイカウツギから数多くの園芸品種が作出されています。

バイカウツギ ‘ベル・エトワール’(Philadelphus ‘Belle Etoile’)

バイカウツギ・ベルエトワール

セイヨウバイカウツギに北米原産のミクロフィラルス(Philadelphus microphyllus)とメキシカナス(Philadelphus mexicanus)を交配して作出された園芸品種です。

花弁の基部が紅色になり、バイカウツギに比べると花付きが非常に良いのが特徴です。
強い芳香を持っており「香りバイカウツギ」の名前でも流通しています。

バイカウツギの育て方

バイカウツギの育て方

栽培環境

日なたを好みますが、半日蔭でも育ちます。
日照時間が足りないと花付きが悪くなるので、美しい花と香りを楽しむためには、できればよく日の当たる場所で育てて下さい。
強い西日を嫌うので、西日が当たらない場所が適しています。

夏越し、冬越し

夏越し

日本に自生しているので、特に対策無しで夏越し可能です。

冬越し

耐寒性は高く特に対策の必要はありません。

自生地の北限は岩手県ですが、北海道でも栽培されています。
雪の重みで枝が折れることがあるので、雪が多い地方では枝を束ねるなどの対策を施して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

1月~2月に寒肥として、緩効性化成肥料や、油粕と骨粉を混ぜたものを株元に施します。
花後はお礼肥として、同様の肥料を与えると生育がよくなります。

植え付け・植え替え

適期は12月、2月~3月の落葉期です。

植え付け

庭植えの場合は、根鉢の2~3倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込んで水はけが良く、肥沃な土壌を作っておきます。
植え付けた後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませます。
必要であれば支柱を立てて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土2・腐葉土1などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は2~3年に一度、植え替えを行って下さい。

剪定

放任していても花はよく付きますが、かなりワイルドな樹形になります。
成長も早いので、1年に一度は剪定を行った方が美しい樹形を保てます。

適期は花後の6月中旬~7月中旬です。
8月になると翌年の花芽が作られるので、花後すぐに剪定を行って下さい。

剪定方法

古くなって花付きが悪くなった枝を株元から間引きます。
長く伸びすぎた枝があれば、枝分かれしている部分で切り取って下さい。
また、内側で葉が茂って風通しや日当たりを妨げているような枝も、枝分かれしている部分で切り取ってやって下さい。

増やし方

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は6月上旬~7月上旬です。

挿し穂には当年枝(その年に伸びた枝)を使います。
枝の緑が抜けてきて固まりかけたら、先端から10㎝程度の長さに切り取って下さい。
水揚げをしたら挿し木用土に挿します。
発根までは水を切らさないように明るい日陰で管理して下さい。

病気・害虫

春先によくアブラムシが付きます。
見付け次第駆除して下さい。
またカイガラムシの発生もよくあるので、注意して下さい。

-低木, 庭木
-,