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イブキジャコウソウ

学名…Thymus quinquecostatus
和名…イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
別名…イワジャコウソウ(岩麝香草)
科名…シソ科
属名…イブキジャコウソウ属
原産国…日本、朝鮮、中国、ヒマラヤ
花色…桃紫、ピンク
草丈…5㎝~10㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:5 to 8

イブキジャコウソウとは

イブキジャコウソウ

イブキジャコウソウは、日本、朝鮮、中国、ヒマラヤに分布するシソ科イブキジャコウソウ属の常緑性草状低木です。
日本では、北海道、本州、九州に分布しています。
分布域は高山帯から海岸までに及び、山腹の斜面や岩地、乾燥した砂地など、日当たりの良い場所に自生しています。
イブキジャコウソウの名前は、滋賀県の伊吹山に自生種が多く、芳香を持つことに由来しています。

ハーブとして利用されるタイムとは同属の近縁種で、草姿はクリーピングタイムによく似ています。

イブキジャコウソウの花期は4月~6月。
花期になると、茎の先端から花序を出し、小さな花を段状に咲かせます。
花は花冠7~8㎜程度の唇形花で、上唇は浅く2裂し、下唇は3裂しており、4本の雄しべが長く突出します。
唇形花とは、シソ科やゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形で、筒状になった花の先が上下に分かれて唇のような形に見える花の事です。

▼イブキジャコウソウの花

イブキジャコウソウ

一つ一つの花は小さいのですが、花付きが良く、最盛期には株が花で覆われます。
基本種の花色はピンクから桃紫ですが、白花品種も流通しています。

葉は1㎝程度の卵形で茎に対生し、茎はよく分枝して草丈10㎝程度で地面を這うように広がります。
クリーピングタイムに比べると、野の花の趣があります。
葉茎には芳香があり、触れると一面に香りが広がります。

▼株いっぱいに花を咲かせたイブキジャコウソウ

イブキジャコウソウ

基本的に高山植物ですが、耐暑性に優れており、風通しの良い環境で育てれば、暖地でも容易に夏越し可能です。
耐寒性にも優れており、適した環境ではよく増え、放任でもよく花を咲かせます。

イブキジャコウソウの近縁種

イブキジャコウソウが属するイブキジャコウソウ属は、世界に約266種が分布しています。
「タイム」というのはイブキジャコウソウ属の植物の総称で、本種以外では以下のようなものが栽培されています。

イブキジャコウソウの育て方

イブキジャコウソウの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
日照時間が足りないと、徒長し花付きも悪くなるので、一年を通してよく日の当たる場所で育てて下さい。

高温多湿な環境を嫌います。
水はけが良く、風通しの良い場所で育てて下さい。

冬越し、夏越し

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
雪に埋もれても常緑で冬を越します。

冬の乾いた強い風で葉や茎が傷むことがありますが、枯れることはありません。
鉢植えの場合は、気になるようであれば、強い風の当たらない場所に移動して下さい。

夏越し

夏場に蒸れると葉が枯れ込むことがあります。
梅雨前に全体を刈り込んで、株が蒸れるのを防いで下さい。

水やり

乾燥気味の環境を好みます。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしますが、過湿な環境が続くと根腐れを起こすので、一年を通じて水やりは控えめにします。

肥料

多くの肥料を必要とする植物ではありません。

庭植え、鉢植え共に、春と秋に緩効性化成肥料を施す程度で十分です。
肥料が多いと徒長して締りのない草姿になるので、控えめを心がけて下さい。

植え付け、植え替え

適期は春の3月下旬~4月、秋の9月下旬~10月上旬です。

植え付け

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作ります。
株間は30㎝程度です。

鉢植えの場合は、鹿沼土(小粒)3・赤玉土(小粒)3・軽石2・腐葉土2などの水はけの良い配合土を使います。
横に広がるので、口径の大きな鉢を使い、少し盛り上げるように植え付けて下さい。

植え替え

鉢植えの場合は、株が鉢いっぱいになっているようなら株分けを兼ねて植え替えを行います。
根詰まりをしているようなら、根を半分程度に切り詰めて、新しい用土で植え付けて下さい。

庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。

切り戻し、剪定

夏場の蒸れを防ぐため、花後から梅雨前の間に切り戻しを行います。
全体を短く刈り込んで下さい。

増やし方(株分け、挿し木)

株分けと挿し木で増やすことが出来ます。

株分け

適期は春の3月下旬~4月、秋の9月下旬~10月上旬です。
植え替え時に掘り上げた株を、手で分けて植え付けます。

挿し木

適期は4月下旬~7月上旬です。
切り戻した枝も利用することが出来ます。

茎を先端から5㎝程度の長さに切り取って、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをします。
葉を取り除いた節が軽く埋まるように挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理すれば、1か月程度で発根します。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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