低木 庭木

シロヤマブキ

学名…Rhodotypos scandens
和名…シロヤマブキ(白山吹)
科名…バラ科
属名…シロヤマブキ属
原産国…日本
花色…白
樹高…1~2m
日照…半日蔭~日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:4 to 8

シロヤマブキとは

シロヤマブキ

シロヤマブキは、日本、中国、朝鮮に分布するバラ科シロヤマブキ属の落葉性低木です。
日本では中国地方瀬戸内海側の山地、香川県、兵庫県、福井県の限られた地域に自生しており、環境省レッドデータブックに絶滅危惧IB類(EN)として記載されています。

絶滅危惧種に選定されていますが、挿し木や実生での繁殖が容易なため、庭木として流通しています。
また、欧米などでも比較的一般的な庭木として植栽されます。

シロヤマブキは一属一種の植物で、シロヤマブキ属に分類されている植物は本種のみとなっています。
ヤマブキと名前に付いていますが、これは花や葉がヤマブキに似ていることに由来しており、ヤマブキの白花品種という訳ではありません。
ヤマブキはヤマブキ属、シロヤマブキはシロヤマブキ属に分類されており、別属の植物です。

シロヤマブキの花期は4月~5月。
花期になると新枝の先に、花径3~4㎝程度の白い花を一輪咲かせます。
花は4枚の花弁を持ち、中心には多数の雄しべと4本の雌しべがあります。
園芸品種の流通は無く、基本種である白花品種のみが流通しています。

▼シロヤマブキの花

シロヤマブキ

花後には丸い果実を3~4個実らせます。
果実は秋になると黒く熟し、落葉した後も枝に残ります。

▼シロヤマブキの果実

シロヤマブキの果実

葉は先の尖った卵形で基部は円形または心形、縁に鋸歯があり、葉柄を持って枝に対生します。
葉の表面には葉脈に沿った皺が入り、美しい陰影を描きます。
枝は分枝してよく茂り、樹高1.5~2m程度に成長します。

耐寒性、耐暑性に優れており、丈夫な性質です。
病害虫の発生もほとんど無く、育てやすい樹木です。
自生地は石灰岩地ですが、幅広い土質に適応します。
こぼれ種からもよく発芽します。

シロヤマブキとヤマブキの違い

シロヤマブキは花や葉の雰囲気がヤマブキと似ていることから、ヤマブキの白花品種と思われがちですが、別属の植物です。
また、ヤマブキには白い花を咲かせる「シロバナヤマブキ(Kerria japonica 'Albescens')」という品種があり、混同されていることがあります。

そんな両種ですが、花や葉、果実が明確に違います。

シロヤマブキとヤマブキの違い

シロヤマブキ…4枚花弁
ヤマブキ…5枚花弁

写真がありませんが、ヤマブキの白花品種であるシロバナヤマブキは、花色にやや黄味を帯び、純白ではありません。

シロヤマブキとヤマブキの違い

シロヤマブキ…葉は対生
ヤマブキ…葉は互生

シロヤマブキの方が葉脈の皺が目立ちます。

果実

両種ともに花後には果実を実らせます。
※ヤエヤマブキは結実しません。

シロヤマブキ…果実が熟すと黒くなる
ヤマブキ…果実が熟すと暗褐色になる

以上のような違いがあり、判別は容易です。
他にも、ヤマブキの枝は大きく枝垂れますが、シロヤマブキの枝はあまり枝垂れないなどという違いもあります。

シロヤマブキの育て方

シロヤマブキの育て方

栽培環境

半日蔭の場所が適しています。
日なたにも適応しますが、土壌の極端な乾燥を嫌うため、強い西日が当たらない場所で育てて下さい。

冬越し、夏越し

耐寒性、耐暑性ともに優れており、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。 

肥料

庭植え、鉢植えともに、落葉期の2月頃に、寒肥として固形の油粕や骨粉などの有機肥料を施します。

植え付け、植え替え

適期は落葉期の11月~12月、2月~3月です。

植え付け

庭植えの場合は、根鉢の2倍程度の植穴を掘り植え付けます。
用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作り、さらに元肥として、完熟たい肥を混ぜ込んで下さい。
植え付けたら、水をたっぷりと注ぎ、根と土を馴染ませます。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりをしているようなら植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に、新しい用土で植え付けます。

剪定

適期は落葉期の1月~2月です。

自然樹形の美しい樹なので、剪定の基本は間引き剪定です。
込み入った箇所の枝を株元から取り除き、全体のバランスを整えます。

シロヤマブキは一本の枝の寿命が短い樹木で、古枝になると勢いが無くなってきます。
3~4年程度経過した古い枝を基部から切り取って、株元から勢いよく伸びるひこばえで更新して下さい。

増やし方(挿し木、種まき)

挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し木

適期は6月上旬~7月です。

枝を5~10㎝程度の長さに切り取って、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

種の採取

シロヤマブキの果実は、放っておくと熟した後も枝に残ります。
秋になって果実がしっかりと黒くなったら中の種が熟しているので採取して下さい。

種まき

採取した種は果肉を取り除いて、吸水処理をしてからすぐに蒔いて下さい。
種を乾燥させると発芽率が下がるので注意します。
開花までには2~3年かかります。

種は果肉を取り除き、蒔く前に一晩水に漬けて吸水させておきます。
種はポットや鉢に蒔き、軽く覆土をします。
種を完全に乾かしてしまわないよう、水の管理をして下さい。
シロヤマブキの種は冬の寒さを経験しないと発芽しないため、種を蒔いた鉢は戸外で管理します。
発芽は翌春4~6月頃になります。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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