多年草・宿根草 山野草

バイモ(アミガサユリ)

  • 学名…Fritillaria thunbergii Miq.
  • 和名…バイモ(貝母)
  • 別名…アミガサユリ(編笠百合)
  • 科名…ユリ科
  • 属名…バイモ属
  • 原産国…中国
  • 花色…淡緑色
  • 草丈…50㎝~80㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:6 to 8

バイモ(アミガサユリ)とは

バイモ(アミガサユリ)

バイモは、中国東部に分布するユリ科バイモ属の多年草です。
分布域は安徽省、江蘇省、浙江省の竹林にあり、標高600mまでの日陰のやや湿った場所に自生しています。

中国では700年前から薬用植物として栽培されている、歴史のある植物です。
乾燥させた鱗茎は「貝母(バイモ)」と呼ばれ、咳止めや痰切り、止血、催乳などに効果がある生薬として利用されます。
日本には約300年前(享保年間)に薬用植物として渡来し、現在では一部地域で栽培を逸出したものが野生化しています。


バイモの花期は3月~4月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根に、花径3~4㎝程度の花を下向きに咲かせます。
一つの茎には1~6個の花が付きます。

▼バイモの花の様子

バイモの花の様子

花は鐘形で花被片は6個、淡い緑色をしています。
花被片の内側には独特の網目模様があり、この模様が別名「アミガサユリ」の名前の由来になっています。

▼バイモの花

バイモの花

雄しべは6個、雌しべは1個、雌しべの柱頭は3裂します。

▼バイモの雄しべと雌しべ

バイモの雄しべと雌しべ

果実は円筒形の蒴果。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

果実には幅広い翼が6個付いています。

▼バイモの果実

バイモの果実
Created by modifying "Fritillaria thunbergii Capsule" (ジェームス・ステーキリー, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

葉は長さ7~11㎝、幅1~2.5㎝の細長い披針形~披針形です。
輪生または対生し、上部では互生します。

▼バイモの葉の様子

バイモの葉の様子

葉先はくるりと巻いています。

▼バイモの葉

バイモの葉

茎は直立し、草丈50~80㎝程度に成長します。

▼バイモの草姿

たくさんの花を咲かせるバイモ

ユリ科の植物で、地下に鱗茎を形成します。
鱗茎は大小2~3個の鱗片から成り、厚みのある貝殻が向かい合っているようなユニークな形をしています。
バイモ(貝母)の名前は中国名を音読みしたものですが、この鱗茎の形に由来しています。
バイモの鱗茎は、母貝が子貝を抱いているように見えるため、貝母と名付けられました。

花が終わって5月~6月頃になると地上部は枯れて休眠期に入ります。
耐寒性の高い植物ですが、暑さが少し苦手です。
暖地で心配な場合は鉢植えにし、涼しい場所で管理するか、球根を掘り上げると安心です。

バイモ(アミガサユリ)の近縁種

バイモ(アミガサユリ)が属するバイモ属は、世界の温帯地域を中心に約130種が分布しています。
観賞用として栽培されているバイモ属の代表的な植物にはバイモ(アミガサユリ)の他、以下のようなものがあります。

バイモ(アミガサユリ)の育て方

バイモユリ(アミガサユリ)の育て方

栽培環境

春は日当たりが良く、夏は涼しい場所が適しています。
水持ちが良く、水はけが良く、腐植質の土壌を好みます。

庭植えでは、落葉樹の木陰などの明るい木漏れ日が差し込むような場所で育てて下さい。

夏越し、冬越し

夏越し

鉢植えで球根を掘り上げない場合は、枯れた葉や茎を取り除き、風通しが良く、涼しい日陰に移動して管理して下さい。

バイモは乾燥に弱い球根ですが、過湿にも弱く腐りやすい性質です。
休眠期は、鉢の中がカラカラに乾いたら水を控えめに与える位で十分です。
球根に水やりをするというよりは、周囲の土を湿らせるような感じで水やりをして下さい。

暖地で庭植えの場合は、球根を掘り上げた方が安全です。
掘り上げない場合は、鉢植え同様に枯れた葉茎を取り除いて下さい。

冬越し

寒さには強い性質ですが、土が凍ってしまうと枯れてしまいます。
鉢植えの場合は凍結に注意して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、生育期間中は土が乾いたらたっぷりと。
夏の休眠中は土がカラカラに乾いたら控えめに水を与えます。

肥料

庭植えの場合は、花後のお礼肥として少量の緩効性化成肥料を株元に施します。
鉢植えの場合も同様で、花後に緩効性化成肥料施すか、薄めの液体肥料を葉が枯れるまでの間、月に2回程度施して下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は9月下旬~10月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、完熟たい肥を混ぜ込んでおきます。
株間は10~15㎝程度、覆土は5㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の球根用の培養土、山野草の培養土などが使えます。
または、鹿沼土(小粒)4・腐葉土3・軽石3などの水はけの良い配合土を使います。
6号鉢に5球が目安で、植え付けの深さは2~3㎝程度の浅植えです。

植え替え

鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行うと元気に育ちます。
庭植えの場合も、経年と共に生育が悪くなって来るので、数年に一度は植え替えを行って下さい。

 球根の掘り上げと保存

花後、地上部が黄色くなって枯れ始めたら球根を掘り上げます。
球根から土を落としたら、バーミキュライトやピートモスを入れた袋の中に埋めて、涼しい場所で保管して下さい。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。

分球

球根を掘り上げた時に、親球の回りに子球が付いているようなら外して、親球と同じようにバーミキュライトやピートモスに埋めて涼しい場所で保管して下さい。
9月下旬~10月になったら植え付けます。
2年~3年ほど育てると花を咲かせます。

病気、害虫

ナメクジの食害やアブラムシの発生が時々見られます。
見付け次第対処して下さい。

-多年草・宿根草, 山野草
-