和名…ヒトツバタゴ(一葉田子、一葉タゴ)
別名…ナンジャモンジャ、ナンジャモンジャノキ
科名…モクセイ科
属名…ヒトツバタゴ属
原産国…日本、中国、朝鮮半島、台湾
花色…白
樹高…10m~30m
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:5 to 9
ヒトツバタゴとは
ヒトツバタゴは、日本、中国、朝鮮半島、台湾に分布するモクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉性高木です。
日本では長野、岐阜、愛知、対馬の限られた場所に自生しており、環境省レッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、日本でも公園樹や庭木として各地に植栽されています。
ナンジャモンジャノキと呼ばれますが、ナンジャモンジャとは見慣れない立派な植物に付けられた愛称で、ヒトツバタゴ固有の別称という訳ではありません。
ナンジャモンジャと呼ばれる植物は本種ヒトツバタゴの他、ニレ、イヌザクラ、ボダイジュなどが知られています。
ヒトツバタゴの花期は5月。
花期になると、新枝の先に花序を出し、白い花を多数咲かせます。
雌雄異株で、雄花だけを付ける株と両性花を付ける株があります。
花は長さ1.5~2.5㎝程度で、基部が筒状、花冠が深く4裂しており、裂片は細長いヘラ状です。
▼ヒトツバタゴの花の様子
花序は長さ10㎝程度で、最盛期には樹冠が白い花で覆われます。
▼たくさんの花を咲かせるヒトツバタゴ
両性花を持つ株であれば、花後には長さ1㎝程度の球形~楕円形の果実を実らせ、果実は秋になると黒く熟します。
▼ヒトツバタゴの果実
葉は長さ3~12㎝程度の長楕円形から広卵形で、葉柄を持って対生します。
樹皮は灰褐色で縦に割れ目が入り、分枝しながら樹高10~30mに成長します。
▼ヒトツバタゴの葉の様子
耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい樹木です。
自然樹形の美しい木で、剪定の必要はほとんどありません。
病害虫の発生もほとんどなく、放任でもよく花を咲かせます。
ヒトツバタゴの名前の由来
ヒトツバタゴの名前を漢字で書くと「一葉タゴ」となります。
タゴとは同モクセイ科のトネリコの別名で、ヒトツバタゴとは「一つ葉のトネリコ」という意味になります。
これは、本種ヒトツバタゴがトネリコに似ており、トネリコが複葉を持つのに対し、本種が単葉であることに由来しています。
複葉とは、2つ以上の小葉が集まって一つのまとまりになっている葉のことです。
▼トネリコの複葉
ヒトツバタゴの主な品種(近縁種)
アメリカヒトツバタゴ(Chionanthus virginicus)
アメリカ東部を中心に分布するヒトツバタゴの近縁種です。
ヒトツバタゴ属の植物はヒトツバタゴと本種の2種のみとなっています。
ヒトツバタゴに比べると小型で、樹高3~10m程度に成長し、若木のうちから花を咲かせます。
ヒトツバタゴより葉がやや大きく、花冠の裂片は長く花に芳香があるのが特徴です。
やや湿り気のある肥沃な土壌を好み、乾燥を嫌います。
ヒトツバタゴの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
大きく育つので、植栽には広いスペースが必要です。
アメリカヒトツバタゴは、湿り気のある土壌を好み乾燥を嫌います。
夏場の乾燥を防ぐため、株元まで西日が差し込むような環境は避けた方が無難です。
根締めの植物を植えたり、株元をマルチングするなどして乾燥対策を施して下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性共に優れており、特に対策の必要はありません。
水やり
根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
肥料
落葉期の1~2月に、寒肥として固形の油かすや骨粉を、株の周辺に埋め込んで下さい。
植え付け
適期は落葉期の11月~2月です。
根鉢の2~3倍程度の植え穴を掘り、用土に腐葉土や完熟堆肥をたっぷりと混ぜ込んでおきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料、または有機肥料を混ぜ込んでおいて下さい。
植え付け後はしっかりと水やりをして棒などで突き、土を馴染ませて下さい。
必要であれば支柱を立てます。
剪定
成長が遅く、自然樹形の美しい木で、剪定の必要はほとんどありません。
枝が混み入った箇所があれば、落葉期に間引き剪定を行います。
絡み枝や内向枝、枯れ枝などを切り落として下さい。
増やし方(種まき)
種まきで増やすことが出来ますが、開花までには数年~10年程度の時間がかかります。
種まき
両性花を付ける株であれば、花後に果実が実り、秋になると熟します。
果実が黒く熟したら中から種を取り出して下さい。
種は乾燥すると極端に発芽率が下がるので、採り蒔きですぐにまきます。
乾かさないように管理すると、翌春に発芽します。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。