別名…ユーフォルビア・カラシアス、ユーフォルビア・キャラシアス
科名…トウダイグサ科
属名…トウダイグサ属
原産国…ヨーロッパ、北アフリカ
花色…黄色~黄緑色
草丈…50㎝~150㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:7 to 8
ユーフォルビア・カラキアスとは
ユーフォルビア・カラキアスは、ヨーロッパ、北アフリカを中心に分布するトウダイグサ科トウダイグサ属(ユーフォルビア属)の常緑性多年草です。
分布域は、地中海地域のスペインからトルコ、北アフリカのモロッコおよびリビアにあり、岩場の斜面や低木地帯など、岩の多い乾燥気味の場所などに自生しています。
美しい花とユニークな草姿から、世界で広く栽培されているユーフォルビアの一種です。
ユーフォルビア・カラキアスの花期は3月下旬~5月。
花期になると、真っ直ぐに伸びた茎の上部の節に花序を出し、小さな花を咲かせます。
花序はトウダイグサ科の植物に特有の杯状花序(ハイジョウカジョ)で、ユニークな形をしています。
杯状花序とは、カップ状になった総苞の中に、雄花数個と雌花が包まれる形になった花序のことです。
▼ユーフォルビア・カラキアスの杯状花序の構造①
雄花と雌花は退化しており、雄花は雄しべ1個、雌花は雌しべ1個だけの構造となっています。
総苞は合着してカップ状になっており、この形から壺状花序とも呼ばれます。
総苞に付いている三日月形の突起物は腺体で、ここから蜜を分泌します。
花序を包み込むような形になっているのは苞葉で、2枚が合着しています。
上の写真では雄花はまだ出てきていません。
雌しべが先に伸びて受粉すると子房が膨らみ、総苞からぶら下がる形になります。
その後、雄花伸びて成熟し、雄しべから花粉を出するようになります。
▼ユーフォルビア・カラキアスの杯状花序の構造②
花序を付けた節は二又分枝し、さらに花序を付けます。
▼ユーフォルビア・カラキアスの花序の様子
▼ユーフォルビア・カラキアスの花序の様子②
葉は幅のある線形で螺旋状に付きます。
茎は真っ直ぐに伸び、花を咲かせながら草丈50~120㎝に成長します。
青みを帯びた葉は、花の無い時期にもカラーリーフとしての観賞価値があります。
▼ユーフォルビア・カラキアスの葉の様子
耐寒性があり、育てやすい植物です。
他の草花と共に花壇でも育てることが出来ます。
茎を傷つけたときにでる乳液は、肌が弱いとかぶれることもあるので注意して下さい。
ユーフォルビア・カラキアスの主な品種
ユーフォルビア・カラキアス(Euphorbia characias subsp. characias)
地中海沿岸地域に分布するカラキアスです。
苞葉は緑色で赤褐色の腺体が目立ちます。
草丈90㎝~150㎝程度に成長します。
本種を元に数多くの品種が作出されています。
ユーフォルビア・カラキアス・ブラックパール(Euphorbia characias subsp. characias ‘Black Pearl’)
カラキアスの園芸品種で、明るい緑色の苞葉と暗褐色の腺体が美しい品種です。
草丈60㎝程度に成長します。
ユーフォルビア・カラキアス・ウルフェニー(Euphorbia characias subsp. wulfenii)
南ヨーロッパ、トルコ、バルカン半島、コーカサス地方に分布するカラキアスの亜種の一つです。
世界に広く普及しており、カラキアスの代名詞とも言える品種です。
苞葉、腺体共に黄色く、草丈80~120㎝程度に成長します。
※腺体は茶褐色になることもあります。
無数に咲く鮮やかな花序と青みを帯びた葉色が美しく、真っ直ぐに伸びる草姿は雄大です。
数多くの品種がありますが、日本では黄色の苞葉と腺体を持つ品種の多くは「ウルフェニー」の名前で流通しており、原種であるのか園芸であるのかの判別は困難です。
その他にも様々な品種が流通しています。
ユーフォルビア・カラキアスの近縁種
ユーフォルビア・カラキアスが属するトウダイグサ属(ユーフォルビア属)は、世界に約2000種が分布する巨大な植物群です。 多くは熱帯の乾燥地域に分布しており、多肉植物として栽培される種を除くと1000~1500種の種が分類されています。
観賞用として栽培されているトウダイグサ属の代表的な植物(多肉植物以外)には以下のようなものがあります。
ユーフォルビア・カラキアスの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
自生地は地中海性気候の岩の多い場所などで、乾燥気味の環境を好みます。
水はけの悪い粘土質の土壌ではうまく育たないので注意して下さい。
冬越し
耐寒温度は-15℃程度です。
最低気温が-15℃を下回るような地域では、室内に取り込んで冬越しをさせて下さい。
耐寒性はありますが、冬に過湿な環境が続くと根腐れから枯死してしまうことがあるので注意が必要です。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、鉢土が乾いてからたっぷりと水やりをします。
受け皿を置いている場合は、受け皿に水が溜まったままにならないよう注意して下さい。
肥料
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植え、鉢植え共に、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
多肥な環境で育つと、草丈が伸びすぎ、草姿が乱れます。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は春の3月下旬~5月です。
水はけの良い環境で育てることが大切です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土とパーライトや軽石などを混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
一段高くなった花壇やレイズヘッド、ロックガーデンなどに植えると上手く育ちます。
鉢植えの場合は、市販の多肉植物や山野草の培養土などが使えます。
自分で作る場合は、赤玉土、鹿沼土、軽石を等量で配合したものに、1~2割程度の腐葉土を混ぜて下さい。
切り戻し
茎を傷つけた時に出る白い乳液は、肌が弱いとかぶれることがあります。
作業の際は、手袋などを着用して下さい。
花が終わると株元から新しい芽が出てくるので、花が終わった枝は地際で切り取ってしまいます。
翌年には芽が伸びて、枝数が増え、整った草姿でたくさんの花を咲かせるようになります。
増やし方(挿し芽)
挿し芽で増やすことができます。
挿し芽
適期は5月~6月頃です。
茎を10~15㎝程度の長さに切り取ります。
切り口から白い乳液が出るので、洗い流してから挿し木用度に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないようにして発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。