- 学名…Viburnum
- 科名…ガマズミ科
- 属名…ガマズミ属
- 原産国…東アジア、ヨーロッパ
- 花色…白
- 樹高…1m~3m
- 日照…日なた~半日陰
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
ビバーナムとは
ビバーナムは、ガマズミ科ガマズミ属の低木です。
「ビバーナム」の名前はガマズミ属の学名ですが、園芸的にはガマズミやオオデマリなど日本に分布する種を除く、外国産ガマズミ属の樹木を指すのが一般的です。
ここでは、一般的にビバーナムと呼ばれる外国産ガマズミ属の植物について紹介しています。
ビバーナムとして栽培されるのは、主に地中海地方原産のビバーナム・ティヌス種(Viburnum tinus)と、中国原産のビバーナム・ダビディ種(Viburnum davidii)です。
ビバーナムの花期は4月~5月。
花期になると、枝先に花序を出し、小さな花を多数咲かせます。
花序は径4~8㎝の半球形~傘形で、花は基部が筒状になっており、花冠が5裂して開きます。
花色は白のみ。
▼ビバーナム・ティヌスの花の様子
花後には楕円形の果実が実り、果実は秋に青紫色に熟します。
▼ビバーナムの果実
葉は対生し、卵形~楕円形、または長楕円形です。
※品種により形が異なります。
枝は多数分枝して樹高1~3m程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせたビバーナム・ティヌスの木
耐寒性があり、丈夫な性質で育てやすい花木です。
ある程度の耐陰性があるので、日陰の庭でも育てることが出来ます。
ビバーナムの主な品種
ビバーナム・ティヌス(Viburnum tinus)
地中海沿岸地域に分布するビバーナムで、トキワガマズミの和名を持ちます。
葉は常緑で表面に光沢を持ち、長さ5~13㎝、幅2~6㎝の卵形~楕円形です。
花序は径5~10㎝程度の大きさで、蕾はピンク色をしており、花には芳香があります。
樹高2~3m程度に成長します。
多数の園芸品種が作出されており、流通しています。
ビバーナム・ダビディ(Viburnum davidii)
中国西部を中心に分布するビバーナムです。
葉は常緑で、長さ6~14㎝、幅4~7㎝の長楕円形です。
葉の表面には光沢があり、葉脈に沿った窪みが縦に3本入ります。
花序は径4~6㎝の大きさで、ティヌスに比べると花は小さく、香りがありません。
樹高1m前後の低木です。
ビバーナム・カールセファラム(Viburnum x carlcephalum)
日本に分布するオオチョウジガマズミとビバーナム・マクロセファルム種(V. macrocephalum)の交配種です。
マクロセファルム種は中国東部を中心に分布するビバーナムで、中国ではごく一般的な庭木として普及しています。
樹高2~3m程度に成長する落葉低木で、最大径12㎝の花序に密に花が付きます。
香り大輪ガマズミとも呼ばれ、強い芳香を持つのが特徴です。
※本種の育て方については、オオチョウジガマズミのページを参照下さい。
ビバーナムの近縁種
ビバーナムが属するガマズミ属は、世界に約200種が分布しており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるガマズミ属の植物には、本種の他以下のようなものがあります。
ビバーナムの育て方
栽培環境
日向~半日陰の環境で育てることが出来ます。
花付きは日当たりに比例しますが、半日陰でも育ちます。
幅広い土質に適応しますが、基本的には腐植質に富んだ水はけの良い環境を好みます。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性共に高く、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、寒肥として1月~2月の間に、緩効性化成肥料、または固形の油かすなどを株の周辺に埋め込みます。
鉢植えの場合は、春先と秋、さらに花後のお礼肥として、緩効性化成肥料を施して下さい。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は2月下旬~3月、9月下旬~11月です。
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍程度の植え穴を掘り、用土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込んで水はけの良い土を作ります。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませて下さい。
鉢植えの場合は、赤玉土6・腐葉土4などの一般的な配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に、新しい用土で植え付けます。
剪定
自然に樹形が整うので、剪定作業は毎年必要というわけではありません。
樹形を乱す枝が出た場合や、樹高を抑えたい場合に必要に応じて剪定を行って下さい。
適期は花後すぐです。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は、梅雨時期の6月中旬~7月上旬です。
その年に伸びた枝を2~3節の長さに切り取って、挿し穂にします。
葉を1/2程度の大きさにカットし、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
病気の発生はほとんどありませんが、サンゴジュハムシによる葉の食害が発生することがあります。
サンゴジュハムシは一度発生すると翌年も発生する場合が多いので、春先の幼虫の発生に注意して下さい。
見つけた場合は、薬剤で駆除します。