- 学名…Eucomis
- 和名…Eucomis punctata:ホシオモト(星万年青)
- 別名…パイナップルリリー
- 科名…キジカクシ科
- 属名…ユーコミス属
- 原産国…アフリカ南部
- 花色…白、緑、ピンク、薄紫
- 草丈…10㎝~80㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
ユーコミス(パイナップルリリー)とは
ユーコミスは、アフリカ南部原産のキジカクシ科ユーコミス属の球根を持つ多年草です。
ユーコミス属は約12種の植物で構成されており、大半の種の花序の形が、パイナップルに似ていることからパイナップルリリーと呼ばれています。
※ユーコミス属は、2009年のAPGⅢにおいてヒアシンス科からキジカクシ科(ツルボ亜科)に変更となっています。
分布域は、南アフリカ共和国を中心に、ボツワナ、レソト、ジンバブエ、スワジランドなどにあり、森林や草原、川の畔や湿地など、乾燥しすぎない場所に自生しています。
日本には明治末期に渡来しており、パイナップルリリーの他、ユーコミスとも呼ばれています。
ユーコミス(パイナップルリリー)の花期は7月~8月。
花期になるとは、太い花茎を真っ直ぐに伸ばし、花序に多数の花を咲かせます。
花茎は最大60㎝になり、花序は10~20㎝の長さになります。
※花茎、花序の大きさは品種によって異なります。
花序の頂部には特徴的な苞葉が放射状に付き、パイナップルのような姿になります。
▼ユーコミス(パイナップルリリー)の花序
花は径2㎝前後の6弁花で、星形に開きます。
雄しべは6個、雌しべの子房は3室に分かれており、丸く膨らんでいます。
▼パイナップルリリーの花
花色は白、緑、ピンク、薄紫。
▼様々な花色のユーコミス(パイナップルリリー)
根生葉は放射状に広がり、大きなもので長さ20㎝、幅10㎝程度の広線形、多くの品種の縁が緩やかに波打ちます。
花を咲かせながら、草丈40~80㎝程度に成長します。
▼ユーコミス(パイナップルリリー)の草姿
寒さに強い方ではありませんが、関東以西の暖地・温暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
冬場は地上部が枯れて休眠します。
ユーコミス(パイナップルリリー)の主な品種
ユーコミス・オータムナリス(Eucomis autumnalis)
アフリカ南東部~南アフリカに分布する、広く普及しているユーコミスです。
花茎は40~60㎝程度に成長し、花序には125個前後の花が付きます。
花色は白~緑色。
葉は長さ12~35㎝、幅6~7.5㎝の広線形、柔らかな肉質で縁はゆるく波打ち、放射状に広がります。
ユーコミス・コモサ(Eucomis comosa)
南アフリカの東ケープ州およびクズワールナタール州に分布するユーコミスです。
花色は通常白~淡緑色ですが、ピンクや紫をおびた花もあり、雌しべの子房が紫色になる品種もあります。
ユーコミス属の植物の花の香りはあまり良くないのですが、本種の花には甘い香りがあります。
葉は長さ20~90㎝、幅3~15㎝で、やや幅広です。
草丈20~60㎝に成長します。
種苗会社から花色ミックスの球根がよく流通します。
ユーコミス・バイカラー(Eucomis bicolor)
南アフリカ東部およびレソトに分布するユーコミスです。
花は下向きに咲き、花色は白~緑、淡い藤色です。
多くの場合、花被片、頂部の苞葉、葉の縁が紫色になります。
葉は6~10㎝の長さで、草丈45㎝程度まで成長します。
ユーコミス・バンデルメルウェイ(Eucomis vandermerwei)
南アフリカ共和国のムプマランガ州に分布するユーコミスです。
自生地は標高2200~2500mの高山にあり、絶滅危惧種として保護されています。
ユーコミスの中で最も小型の種で、草丈8~20㎝程度に成長します。
花茎は6~12㎝の長さになり、葉に入る暗紫色の斑点が特徴的です。
花色は暗紫色です。
他にも園芸品種の‘レイア’などが流通しますが、流通量はあまり多くありません。
ユーコミス(パイナップルリリー)の育て方
栽培環境
日当たりが良い場所が適しています。
日照時間が足りないと徒長してしまうので、十分日光に当てて育てて下さい。
葉が横に広がるので、株間は広めに取ります。
冬越し
寒さに強いという訳ではありませんが、関東以西の暖地・温暖地であれば、戸外での冬越しが可能です。
葉が枯れたら取り除き、盛り土をしたり腐葉土などでマルチングして下さい。
鉢植えの場合は、雨の当たらない場所に移動して冬越しをします。
どちらの場合も、休眠中は水やりの必要はありません。
寒冷地の場合は、葉が枯れたら球根を掘り上げて乾燥させ、凍らない場所で保管して下さい。
水やり
生育期間中は多くの水を必要とします。
庭植えの場合は、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
11月~3月までの間は球根は休眠中です。
10月頃から少しずつ水やりの回数を減らしていき、休眠期に入ったら完全に水を断ちます。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に堆肥や緩効性肥料を混ぜ込んで下さい。
追肥は春の5月と花後に、緩効性化成肥料を株元に置き肥します。
鉢植えの場合も同様で、春の5月頃と花後に緩効性肥料か油粕を置き肥して下さい。
植え付け・植え替え
適期は3月~4月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、深く耕しておいて下さい。
株間は20~30㎝で、球根の頂部からの覆土が5~10㎝程度になるように植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
7号鉢に1球が目安で、球根の頂部からの覆土が2~3㎝程度で植え付けて下さい。
植え替え
庭植えの場合は、数年は植えっ放しで大丈夫です。
株が混み合って窮屈になってきたら分球を兼ねて植え替えを行って下さい。
鉢植えの場合は、毎年植え替えを行います。
株を抜いたら古い土を1/3程度落として、一回り大きな鉢に新しい土で植え替えて下さい。
花茎切り
花が終わったら早目に花茎を切り取ります。
放っておくと結実して、養分が種に取られてしまい球根が充実しません。
増やし方(分球)
大きく育った株は分球で増やすことが出来ます。
分球
適期は3月~4月です。
親球の下部に子球が出来ます。
ナイフなどで切り分けて植え付けて下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。