- 学名…Canna × hybrida Rodigas
- 別名…ハナカンナ
- 科名…カンナ科
- 属名…カンナ属
- 原産国…熱帯~亜熱帯アメリカ
- 花色…赤、白、ピンク、オレンジ、黄、複色
- 草丈…40㎝~200㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 10
カンナとは
カンナは、カンナ科カンナ属の多年草です。
カンナ科はカンナ属一属だけで構成される科で、カンナ属には熱帯~亜熱帯アメリカに分布する12種の植物が分類されています。
観賞用として流通しているのは主に、原種であるカンナ・インディカ(ダンドク:Canna indica)を元に作出された品種群で「ハナカンナ」とも呼ばれます。
カンナ・インディカは、南米、中米を中心に、メキシコやアメリカ南東部にも分布するカンナです。
大きな根茎は食用にもなり、アメリカ先住民族によって何千年にも渡って栽培されてきた歴史があります。
園芸品種の作出は19世紀頃からフランス、イタリアで行われ、交配を繰り返して様々な花色や葉色の品種が作出されています。
現在では1000種を超える園芸品種が存在しています。
日本へは原種カンナが江戸時代末期に渡来し、その後昭和初期になって園芸品種が入ってきました。
カンナにはショクヨウカンナと呼ばれるものもありますが、こちらはインディカではなくカンナ・エデユリス(Canna edulis)で、土ショウガに似た根茎をそのまま茹でて食用にしたり、でん粉の原料として利用されています。
※現在 Plants of the World Online では Canna edulis は Canna indica の同義語とされています。
ここでは観賞用として流通するカンナ属の品種をカンナとして紹介しています。
カンナの花期は7月~10月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し華やかな花を咲かせます。
花は長さ10㎝程度の大きさです。
▼カンナの花序の様子
花弁のように大きく目立つのは、仮雄しべが花弁状に変化したものです。
※仮雄しべ…花粉を作る力を失った雄しべのこと。
雌雄異花の雌花でよく見られる。
▼カンナの仮雄しべ
仮雄しべは5個あり(4個、1個)、最も内側の仮雄しべ()に葯が付いています。
▼仮雄しべに付く葯
雌しべはへら状になっています。
▼カンナの雌しべ
花弁は3個、通常仮雄しべより短く、外側にあり、披針形で先が尖ります。
萼片は3個、花弁より短く、しばしば赤紫色を帯びます。
▼カンナの花弁と萼片
花色はオレンジ、赤、白、ピンク、黄色、複色。
▼様々な花色のカンナ
果実は球形~楕円形の蒴果(さくか)。
長さ1.5~6㎝、幅2~4.5㎝の大きさで、全体に細かい突起があります。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
▼カンナの果実
果実は熟すと裂け、中の種子がこぼれます。
種子は黒色~暗褐色、長さ4~10㎜、幅4~8㎜の球形です。
▼カンナの種子
葉は互生し、長さ20㎝~70㎝、幅15~30㎝の先が尖った楕円形で、基部は徐々に細くなります。
▼カンナの葉の様子
観賞用の美しい葉を持つ斑入り品種もあります。
葉の美しい品種群はまとめてカンナ・ビュー(鑑葉カンナ)とも呼ばれます。
▼美しい葉を持つカンナ
草丈1~2m程度になる高性種と40~60㎝程度の矮性種がありあります。
▼たくさんの花を咲かせるカンナ
熱帯植物のため寒さには弱い性質ですが、暖地であればマルチングなどの対策で戸外で冬越し可能です。
冬場は寒さで地上部が枯れますが、春になると再び芽吹きます。
カンナの原種と主な品種
カンナ・インディカ(ダンドク:Canna indica)
中南米原産のカンナの原種です。
現在ではヨーロッパやアフリカ、東南アジア、オセアニアなど、世界の広い地域で帰化植物として定着しています。
本種から交配を繰り返して作出された品種群が、観賞用のカンナとして多く流通しています。
和名はダンドク(檀特)。
カンナ・トロピカルシリーズ(Canna Tropical Series)
実生系の人気シリーズです。
種をまくとその年に開花します。
矮性で、草丈40~50㎝程度に成長し、赤、ピンク、白、黄などカラフルな花色が揃っています。
露地栽培で育てると8月中旬以降の開花になります。
カンナ・ダーバン(Canna ‘Durban’)
ブロンズ色の葉に赤い斑が入る美しい品種です。
花はオレンジ色。
カンナ・ストリアタ(Canna ‘Striata’)
明るい緑の葉に黄色の斑が入る品種です。
花はオレンジ色。
他にも数多くの品種が流通しています。
カンナの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い、肥沃な土壌が適しています。
日光を好み、真夏の直射日光に当たっても元気に育ちます。
日当たりが悪い場所では花が咲かないことがあるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し
寒さには弱く5℃以下の気温になると休眠状態に入り、0℃以下になると枯死します。
暖地で庭植えの場合は、葉が枯れたら株元から刈り取って、球根の上の部分に10㎝程度の盛り土をしておきます。
鉢植えの場合は、霜や凍結の心配のない場所に移動するか、鉢ごと土の中に埋めて冬越しさせて下さい。
その他の地域では、室内で管理するか、球根を掘り上げて保管します。
球根を掘り上げる場合は、葉が枯れたら株元から刈り取って下さい。
掘り上げた球根は、湿らせたピートモスやおがくずなどに埋めて、ふたのできる発砲スチロールなどに入れて春まで保管します。
カビが発生しないよう、1ヵ月に1度くらいは蓋をあけて通気して下さい。
暖房が効いた室内などに置いておくと、暖かさから芽が動いてしまうことがあります。
10℃以上にならないような場所で保管して下さい。
水やり
庭植えの場合は、夏場に雨が降らず乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に堆肥や腐葉土、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は芽が出てから9月頃までの間、月に1回程度、緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。
鉢植えの場合も同様で、月に1回程度、緩効性化成肥料を株元に置き肥します。
肥料が足りなくて葉色が褪せてくるようなら液体肥料も併用して下さい。
植え付け・植え替え
適期は4月中旬~5月です。
植え付け
庭植えの場合は、深さ40~50㎝程度の深さの植穴を掘り、用土に堆肥や腐葉土を多めに混ぜ込んでおきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜて埋め戻します。
覆土は10㎝程度で、高性種の場合は株間40㎝程度、矮性種は25㎝程度で植え付けて下さい。
鉢植えの場合は、高性種で8~10号鉢に1球、矮性種で5号鉢に1球が目安で、覆土は5㎝程度です。
植え替え
鉢植えで冬越しした場合は、春に植え替えを行って下さい。
庭植えの場合は、植え替えの必要はありません。
増やし方(分球、種まき)
分球と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照ください。
分球
適期は4月中旬~5月頃です。
掘り上げた根茎を、2~3芽が付くようにくびれた部分で切り分けて下さい。
種まき
種が出来にくい品種もあります。
種の採取
花後に花の付け根部分が膨らんで果実が出来ます。
果実が枯れてカラカラになったら種を採取することが出来ます。
採取した種は袋などに入れて、涼しい場所で保管して下さい。
種まき
適期は4月中旬~5月中旬頃です。
種は非常に硬く、そのままでは発芽率が低くなります。
かたい殻をコンクリートやヤスリなどで擦り、傷をつけてから一晩水につけて給水させて下さい。
※市販の種にはこの作業が必要ないものもあります。
種は2~3粒ずつポットにまき、5㎜程度の覆土をします。
発芽温度が22℃前後と高く、気温が低いと発芽率が下がるので暖かくなってからまいて下さい。
発芽したら生育の良い苗を残して間引きます。
本葉が2~3枚程度になったら定植して下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。