- 学名…Fuchsia x hybrida
- 和名…タイリンフクシア(大輪フクシア)
- 別名…ツリウキソウ(釣浮草)、ホクシャ
- 科名…アカバナ科
- 属名…フクシア属
- 原産国…メキシコ~熱帯アメリカ、ニュージーランド、タヒチ
- 花色…赤、ピンク、紫、白、複色ここに入力
- 樹高…30㎝~150㎝
- 日照…日なた(夏は半日蔭)
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
フクシアとは
フクシアは、メキシコから熱帯アメリカを中心に、ニュージーランド、タヒチに分布するアカバナ科フクシア属の低木です。
フクシア属には約108種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの原種をもとに作出された園芸品種が流通します。
主に交配されているのは、ツリウキソウの和名を持つフクシア・マゲラニカ(Fuchsia magellaniaca)、フクシア・コッキネア(Fuchsia coccinea)、フクシア・フレゲンス(Fuchsia fulgens)、フクシア・アルボレセンス(Fuchsia arborescens)の4つの原種で、優に15000を超える品種が登録されています。
フクシアの花期は5月~7月中旬、10月~11月。
花期になると、上部の枝の葉腋に1~2個の花を咲かせます。
花は長い花柄によって下垂しており、下向きに咲きます。
▼フクシアの花の様子
花には4個の萼片と、4個の花弁があります。
多くの品種では萼片は明るい赤色で細く、花弁は紫色になっています。
▼フクシアの花の構造
8個の雄しべと1個の雌しべは、多くの品種で長く突出しています。
▼フクシアの雄しべと雌しべ
萼片の色は赤の他、白、ピンクなどあり、花弁は紫色の他、青、白、オレンジ色などがあります。
一重咲きの他、八重咲き品種もあります。
▼様々な花色のフクシア
果実は直径0.5~2.5㎝程度の液果で、緑色をおびた赤色~暗赤色~暗紫色に熟します。
中には非常に小さな種子が多数入っています。
▼フクシアの花と果実
果実は食用になり、フクシア・スプレンデンス(Fuchsia splendens)が最もおいしいと言われています。
その他の品種では味が無いものや、後味の悪いものもあります。
▼フクシア・スプレンデンス
葉は対生、または輪生し、披針形で、多くの品種で縁に鋸歯があります。
枝は分枝し、花を咲かせながら樹高30~150㎝に成長します。
▼フクシアの葉の様子
熱帯~亜熱帯原産の植物ですが、高温多湿の環境に弱い品種が多く、また寒さにも弱いため、鉢花として育てるのが一般的です。
流通する多くの品種はヨーロッパで作出されたものですが、近年では国産の品種も流通するようになりました。
日本で作出された品種は、暑さにある程度の耐性があるので、かつてほど栽培の難しい植物ではなくなっています。
フクシャ色
フクシャの花色に因んで付けられた色の名前があります。
フクシャ、またはフューシャと呼ばれる明るい赤紫色です。
さらに、フクシャピンク、フクシャレッド、フクシャパープルと呼ばれる色もあります。
▼フクシャ色
フクシアの主な品種
トリフィラタイプ(Fuchsia triphylla Type Hybrids)
フクシア・トリフィラ(Fuchsia triphylla)から作出された品種群です。
トリフィラは、カリブ海のドミニカ共和国、ハイチ原産のフクシアです。
分布域は標高700~2000mの露出した斜面や土手などにあり、広葉樹林の林縁などに自生が見られます。
細長い筒形の花が特徴で、その花姿からハニーサックルとも呼ばれます。
樹高60~90㎝程度に成長し、比較的暑さに強く、育てやすい部類のフクシアです。
エンジェルス・イヤリングシリーズ(Fuchsia Angel's Earing Series)
1994年に、兵庫県西宮市とサントリーフラワーズ(株)の共同開発により作出された有名品種です。
現在、花色や樹形の異なる14の品種が登録されています。
比較的耐暑性があり、寒さにもある程度耐えるため、育てやすい部類のフクシアになります。
その他にも様々な品種が流通しています。
フクシアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
夏の暑さに弱いので、夏場は風通しの良い半日蔭の場所で管理します。
夏と冬の管理のため、鉢植えで育てるのが一般的です。
庭植えにすることも可能ではありますが、夏越しが困難になるため、夏までの花と割り切るか、挿し木苗を作って夏越しをさせます。
冬越し、夏越し
夏越し
高温多湿の環境が苦手な性質です。
花後に樹高の2/3~1/2程度の高さに切り戻します。
梅雨が明けたら、風通しの良い半日蔭の場所に移動して下さい。
冬越し
霜が降る前に室内に取り込みます。
室内では5℃以下にならない、日の当たる場所で管理します。
寒さで落葉することがありますが、春になると芽吹きます。
ある程度の耐寒性がある一部の品種では、西日本の比較的暖かい地方において、屋外で冬越しすることも可能です。
その場合も、霜の避けられる軒下など、暖かい場所で冬越しをさせて下さい。
水やり
鉢土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
真夏と冬場は過湿にならないよう、やや控えめに水やりをします。
肥料
春の4月~6月、秋の9月上旬~10月中旬の間、定期的に、緩効性化成肥料または液体肥料を施します。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は4月~5月です。
鉢植えの用土には市販の草花用培養土にパーライトを1~2割程度混ぜ、水はけの良い土を作ります。
または、赤玉土6・腐葉土3・パーライト1などの配合土を使います。
庭植えにする場合は、用土に腐葉土を混ぜ、さらにパーライトなどを混ぜ込んで、水はけの良い土を作って下さい。
植え替え
適期は3月下旬~4月中旬です。
生育旺盛で根詰まりしやすいので、植え替えは毎年行います。
根鉢のまわりの土を軽く落とし、新しい用土で一回り大きな鉢に植え付けます。
花がら摘み
花が終わったら摘み取ります。
増やし方
挿し木で増やすことができます。
夏越し、冬越し前に挿し木株を作っておくと安心です。
挿し木
適期は春の5月~6月、秋の10月頃です。
若い枝を2~3節程度の長さに切り取って挿し穂にします。
一番下の葉を取り除き、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
アブラムシが発生することがあります。
発生した場合は、早めに駆除してください。
また、温室で育てていると、オンシツコナジラミやハダニが発生しやすくなります。
こちらも早めに対処します。