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ノコンギク

  • 学名…Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito
  • 和名…ノコンギク(野紺菊)
  • 科名…キク科
  • 属名…シオン属
  • 原産国…日本
  • 花色…紫、ピンク
  • 草丈…30㎝~100㎝
  • 日照…日なた(夏場は半日蔭)
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:

ノコンギクとは

ノコンギク

ノコンギクは、日本に分布するキク科シオン属の多年草です。
分布域は本州から九州にかけて広がっており、道端や畑の周辺、山道などで普通に見られるノギクです。
日本固有種で、秋を代表する草花の一つとなっています。
美しい花を咲かせることから、古くから観賞用として栽培されています。

現在ノコンギクとして流通しているものの多くは野生種ではなく、より鮮やかな色の花を咲かせる園芸種コンギク(Aster microcephalus var. ovatus ‘Hortensis’)です。
ここではこの両種を「ノコンギク」として紹介しています。


ノコンギクの花期は7月~10月。
花期になると、分枝した茎の先端から花序を出し、多数の頭花(とうか)を付けます。

頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。


▼ノコンギクの頭花

ノコンギクの頭花

管状花は外側から中心へと咲き進みます。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)で、先に雄しべが成熟して花粉を出した後、雌しべが伸びて成熟します。

雌しべは花柱は先端が2裂しており、向かい合う形に曲がります。

▼ノコンギク(園芸種)の管状花の様子

ノコンギク(園芸種)の管状花の様子

舌状花の色は野生種では、淡青紫色です。
野に咲く紺色の花という意味で「ノコンギク」という名前が付いたと言われています。
まれに完全に白い花を咲かせる個体があり、シロバナコンギクと呼ばれます。

園芸種はコンギクと呼ばれ、薄紫色~紫色、ピンク色、白色などがあります。
コンギクはノコンギクに比べると色が鮮やかで、花付きが良いのが特徴です。

▼コンギクの花

コンギクの花

果実は長さ1.5~3㎜の扁平な痩果(そうか)。
冠毛は長さ4~6㎜。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。

▼ノコンギクの果実の様子

ノコンギクの果実

根生葉は卵状披針形、茎葉は長さ6~12㎝、幅3~5㎝の卵状披針形~長楕円形です。
縁に緩やかな鋸歯があります。
※上部の葉では鋸歯が無い場合が多い。

茎はよく分枝し、花を咲かせながら草丈30~100㎝程度に成長します。

▼ノコンギクの葉の様子(園芸種)

たくさんの花を咲かせるノコンギク

耐寒性、耐暑性ともに優れており、育てやすい植物です。
冬に地上部が枯れ、春に再び芽吹きます。

ノコンギクの仲間

シオン属はかつて600種の植物を含む大きな属でしたが遺伝子解析が進み、多くの種が他属に移されています。
ここではシオン属および旧シオン属の植物を仲間として紹介しています。

ノコンギクの育て方

ノコンギクの育て方

栽培環境

基本的に日当たりの良い場所を好みますが、夏の強い日差しは苦手です。
夏場に強い西日が当たらない場所だと理想的です。
野生種は明るい木漏れ日の中などによく自生しています。
半日蔭程度の日照でも育ちますが、花付きが悪くなります。

冬越し

寒冷地の場合は、凍結対策が必要です。
秋になって葉が枯れて来たら、地上部を地際5㎝程度の高さで刈り取ります。
庭植えの場合は、株元に土を寄せたり腐葉土や藁で覆って、凍結対策をして下さい。
鉢植えの場合は、凍らない場所に移動して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおけば、追肥の必要はほとんどありません。

鉢植えの場合は、生育期の5月~9月の間に、2000倍に薄めた液体肥料を1ヵ月に2回程度与えるか、春と秋に緩効性化成肥料の置き肥をします。

多肥にすると草姿が乱れるので注意して下さい。

植え付け・植え替え

植え付け

適期は3月~5月です。
庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

植え替え

適期は2月~3月の芽出し前です。
鉢植えの場合は、生育旺盛で根詰まりを起こしやすいので、毎年植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありませんが、株が大きくなったら株分けを行うことが出来ます。

切り戻し

5月~6月の間に、草丈の1/2~1/3程度の位置で切り戻してやります。
そうすることで、枝数が増えて秋にはたくさんの花を咲かせてくれます。
秋になって地上部が枯れ始めたら、5㎝程度の高さでバッサリと刈り取って下さい。

増やし方(株分け、挿し木、種まき)

株分け、挿し木、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照ください。

株分け

適期は2月~3月の芽出し前です。
ノコンギクは地下茎を横に伸ばして増えていきます。
地下茎を掘り上げたら、土を落として株分けを行って下さい。

挿し木

適期は5月~6月です。
先端から7~8㎝程度に切り取った芽を挿し穂にします。
下の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理したら、1ヵ月ほどで発根します。

種まき

種の採取

花後に綿毛のついた種が出来ます。
種が熟すと綿毛が開くので、採取して下さい。
採取した種は実の詰まったものを選別し、湿らせた川砂などに混ぜて冷蔵庫の野菜室で保管します。

種まき

適期は2月頃です。
発芽温度は20℃前後で、覆土は5㎜程度。
水を切らさないように管理して発芽を待ちます。
順調に成長すれば、夏から秋に花を咲かせてくれます。

病気・害虫

うどんこ病

葉や茎に小麦粉をまぶしたような病変が現れます。
発生した場合は、殺菌剤で対処して下さい。
風通しの良い環境で育てることで、発生を抑制することができます。

アワダチソウグンバイ

セイタカアワダチソウ、ヒマワリ、キク科の植物に発生する害虫です。
葉に群生して吸汁します。
葉の表面に小さな穴が開いたり、白くかすれたように変色したら注意して下さい。
被害が大きくなると落葉することもあります。
発見し次第、薬剤で対処します。

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