- 学名…Acanthus mollis L.
- 和名…ハアザミ(葉薊)
- 別名…アカンサス・モリス
- 科名…キツネノマゴ科
- 属名…ハアザミ属
- 原産国…地中海沿岸地域
- 花色…白、ピンク(ガクは茶、緑、紫)
- 草丈…60㎝~120㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 10
アカンサスとは

アカンサスは、地中海沿岸地域原産のキツネノマゴ科ハアザミ属(アカンサス属)の多年草です。
ハアザミ属には約25種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。
最も多く栽培されているのはアカンサス・モリス(Acanthus mollis)です。
アカンサス・モリスは、ポルトガルからアフリカ北西部、クロアチアまでの地中海沿岸地域に分布しており、乾燥気味の地域、岩場や荒地などを中心に自生しています。
日本へは明治時代末期に渡来し、公園や広い庭園などに植栽されています。
和名はハアザミ(葉薊)。
アカンサスの花期は6月中旬~8月中旬。
花期になると、葉の中から花茎を立ち上げて花序を出し、多数の花を咲かせます。
花茎は最大2mに成長し、花序は穂状。
▼アカンサスの花序

花は苞(ほう)と萼に包まれています。
※苞(ほう)…花序や花の基部に付く特殊化した葉。苞葉(ほうよう)。
苞は花の下に3個あり、中央の苞は大きくトゲがあります。
色は緑色から帯紫色、白色。
▼アカンサスの苞の様子

「アカンサス」の名前は、ギリシャ語の「akantha(トゲ)」から来ており、花の下部にあるこのトゲに由来しています。
萼は花の上下に1個ずつあり、上側は大きく花にかぶさるようになっています。
色は帯紫色、緑色、白色。
▼アカンサスの萼

花弁は白色で長さ4~5㎝、拡大部は浅く3裂しています。
▼アカンサスの花弁

雄しべは4個、雌しべは1個。
雄しべの葯は紫色~茶色で、細かな毛が密生しています。
▼アカンサスの雄しべと雌しべ

果実は長さ3~4㎝の蒴果(さくか)。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

中には1~2個の種子が入っています。
種子は長さ1㎝前後の大きさです。
根生葉は放射状に広がり、大きいものでは長さ50㎝、幅30㎝になります。
葉身は深い切れ込みを持ち、葉柄は長さ20~30㎝。
基本種の葉色は濃緑色ですが、黄金葉や斑入り品種も流通しています。
▼アカンサスの葉の様子

茎は直立し、花を咲かせながら草丈60~120㎝に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるアカンサス

耐寒性、耐暑性ともに高く、強健な性質です。
冬に落葉する品種もありますが、多くは常緑性で育てやすい植物です。
草丈、横幅ともに1mを超えるので、植栽にはそれなりのスペースが必要になります。
アカンサスの育て方

栽培環境
日なたから半日陰まで適応します。
半日陰程度の日照があれば十分育ちますが、日当たりが良い方が花付きが良くなります。
太いごぼうのような根が地中深く伸びるため、水はけが悪い環境では根腐れを起こしやすくなります。
水はけの良い環境で育てて下さい。
小さな苗を購入した場合でも、経年と共に太い地下茎を四方に広げて大きく育ちます。
根張り、横幅が1mを超えます。
狭い場所で小さく育てることも可能ですが、花が咲きにくくなるのである程度のスペースを確保して下さい。
冬越し
耐寒温度は-10℃程度です。
寒さには強いので、特に対策の必要はありません。
寒冷地の場合は、常緑種であっても落葉することがあります。
根が生きていれば再び春に芽吹きます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥には強い性質です。
水のやりすぎには注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、春と秋に少量の緩効性化成肥料を施して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月中旬~5月中旬、9月中旬~11月中旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
大きく育つので、最低でも8号鉢より大きな鉢に植えて下さい。
株が十分に育たないと花が咲きにくくなります。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
花茎切り
花が終わった花茎は、株元で切り取って下さい。
枯れた葉があれば、取り除きます。
増やし方(株分け、根伏せ、種まき)
株分け、根伏せ、種まきで増やすことが出来ます。
株分け
適期は3月中旬~5月中旬、9月中旬~11月中旬です。
掘り上げた株を分けて、植え付けて下さい。
根伏せ
適期は早春、または秋です。
太い根を選んで、10㎝程度の長さに切り取ります。
横に寝かせて置き、根が隠れる程度に1㎝ほど覆土して下さい。
早ければ2か月ほどで芽が出てきます。
種まき
適期は春の5月~6月頃です。
開花は3~4年後になります。
病気、害虫
病害虫の発生はほとんどありません。
水はけの悪い場所では根腐れを起こしやすいので、水はけの良い環境で育てて下さい。