- 学名…Jacobaea maritima (L.) Pelser et Meijen
Synonym:Senecio cineraria DC. - 和名…シロタエギク(白妙菊)
- 別名…ダスティーミラー、シルバーダスト
- 科名…キク科
- 属名…ヤコバエア属
- 原産国…南ヨーロッパ、北西アフリカ
- 花色…黄色
- 草丈…20cm~60cm
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 10
シロタエギクとは
シロタエギクは、南東および南西ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産のキク科ヤコバエア属の常緑多年草です。
原産地はヨーロッパの他、チュニジア、トルコにあり、主に沿岸部の崖や岩場など、日当たりの良い場所に自生しています。
美しい葉を持つことから観賞用として広く栽培されており、ヨーロッパ、北米、オセアニアなどで野生化しています。
シロタエギクはかつてセネシオ属に分類されていましたが、最新の研究により他34種と共にヤコバエア属に分離されています。
シロタエギクの花期は5月~7月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、多数の頭花(とうか)を咲かせます。
頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ぜつじょうか)と、中心部分の小さな管状花(かんじょうか)から作られた集合花です。
▼シロタエギクの花序
シロタエギクの頭花は、直径1.5㎝程度の大きさで、7~15個の舌状花と、多数の管状花で構成されています。
▼シロタエギクの花
管状花は外側から中心へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟して花粉を出し、その後で雌しべが伸びて成熟します。
雌しべの柱頭は2裂しています。
▼シロタエギクの雄しべと雌しべ
花は花期の間次々と開花しますが、花を咲かせると株が弱ってしまうため、夏越しがやや難しくなります。
そのため通常は、蕾の内に切り取ります。
シロタエギクは、シルバーリーフが美しいリーフプランツです。
葉は長さ10㎝程度で羽状の切れ込みを持ちます。
※葉の形状は品種により異なります。
▼シロタエギクの葉の様子
葉茎には白い羊毛状の細かい毛が密生しており、全体が灰色になります。
▼シロタエギクの葉に密生する毛
シロタエギクの英名はダスティーミラー(dusty miller)ですが、これは「埃まみれの粉屋」という意味で、粉をかぶったように白い草姿に由来しています。
美しい葉色から寄せ植えにも多用され、シルバーリーフの代表格ともいえる植物です。
茎は多数分枝し、草丈20~60㎝に成長します。
茎は基部で木質化し、無毛になります。
▼大きく育ったシロタエギク
丈夫な性質で耐寒性があり、育てやすい植物です。
耐暑性もそこそこあり、高温多湿の環境で株元の葉が多少枯れ込むことがありますが、暖地でも容易に夏越し可能です。
経年と共に茎が木質化して草姿が乱れ、葉色が悪くなるので、挿し木で株を更新します。
シロタエギクの主な品種
シルバーダスト(Jacobaea maritima ‘Silver Dust’)
最も一般的なシロタエギクで、矮性品種です。
シラス(Jacobaea maritima 'Cirrus')
葉の切れ込みが浅く、やや印象の異なるシロタエギクの品種です。
「シリウス」の名前でも流通します。
ダイヤモンドダスト(Jacobaea maritima ‘Diamond Dust’)
葉が大きく、切れ込みが浅い品種です。
「ダイヤモンド」の名前でも流通します。
シロタエギクに似た植物
よく似た草姿の植物にシルバーレース、セントーレアの銀葉品種などがあります。
混同されがちですが別属の植物です。
シロタエギクの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
半日蔭でも育ちますが、徒長したり葉色が悪くなり、本来の美しい姿は望めません。
美しい葉色を楽しむためには、よく日の当たる場所で育てて下さい。
高温多湿の環境がやや苦手なため、風通しが良い場所だと最適です。
冬越し・夏越し
冬越し
耐寒温度は-10℃程度です。
耐寒性は比較的高いので、特に対策の必要はありません。
夏越し
花を付けると株が弱り、草姿が乱れる上、夏越しが難しくなります。
蕾を見つけたら、早目にその下の節で切り取って下さい。
枝が込み合って風通しが悪いようなら、間引き剪定をして風通しを良くします。
水やり
乾燥気味の環境を好みます。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いてからたっぷりと。
年間を通じてやや乾燥気味に管理して下さい。
肥料
鉢植え、庭植え共に、元肥として緩効性化成肥料を施します。
追肥は、3月~10月の生育期に、緩効性化成肥料を2カ月に1回程度、置き肥して下さい。
他の花ものと混植している場合は、花物の施肥に合わせて問題ありません。
植え付け・植え替え
植え付け
真夏の時期を除けば、一年を通していつでも植え付けることが出来ます。
庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込み、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの一般的な配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
適期は春の4月、秋の10月~11月です。
鉢植えの場合は、根詰まりしているようなら植替えをして下さい。
根鉢を軽く崩して、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えます。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
切り戻し
草丈が高くなり、草姿が乱れたら切り戻しを行います。
好みの位置で切り戻して下さい。
株の更新
年数が経つと茎が木質化し、切り戻しをしても美しい草姿が保てなくなります。
その場合は、挿し木で株の更新をして下さい。
※挿し木については、下記の「増やし方」の項目を参照下さい。
増やし方(挿し木)
挿し木(さし芽)で簡単に増やすことが出来ます。
挿し木(さし芽)
適期は4月~6月、9月~10月です。
茎の先端を10㎝ほどの長さに切り取り、挿し穂にします。
下葉を取り除き、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
発根には1カ月ほどかかります。
1カ月半ほど経ったら、鉢上げをして下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。
まれにアブラムシが付くことがあるので、見つけた場合は早目に駆除します。