- 学名…Saururus chinensis (Lour.) Baill.
- 和名…ハンゲショウ(半夏生)
- 別名…カタシログサ(片白草)
- 科名…ドクダミ科
- 属名…ハンゲショウ属
- 原産国…日本、朝鮮半島、中国、台湾、ベトナム、フィリピン
- 花色…白
- 草丈…50㎝~100㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 9
ハンゲショウとは
ハンゲショウは、日本、朝鮮半島、中国、台湾、ベトナム、フィリピンに分布するドクダミ科ハンゲショウ属の多年草です。
日本では、北海道を除く本州から沖縄に分布しており、日当たりの良い湿地などで太い地下茎を伸ばして群生します。
古くから茶花として親しまれて来たハンゲショウですが、自生地は環境の変化などによって減少傾向にあり、東京や山形など一部地域で絶滅危惧Ⅰ類に分類されています。
ハンゲショウの花期は6月中旬~7月。
花期になると茎の頂部の葉の付け根から、花序を伸ばし多数の花を咲かせます。
花序は長さは12~20㎝で、初め下垂していますが、花が咲き進むと共に立ち上がります。
▼ハンゲショウの花序
花は花弁、萼片の無い両性花です。
▼ハンゲショウの花
雄しべは6個、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は4裂しています。
▼ハンゲショウの雄しべと雌しべ
果実は2.5~3㎜の球形で、表面にはいぼ状の突起があります。
葉は互生し、長さ10~20㎝、幅5~10㎝の卵形~卵状披針形で、基部は心形です。
葉柄は1~3㎝。
▼ハンゲショウの葉の様子
花期になると、茎の頂部に近い葉2~3枚が、付け根の部分から先端にかけて白くなります。
白い部分の面積はまちまちで、花が終わる頃には緑に戻ります。
白い部分は葉の表側だけで、裏側は白くありません。
片側だけ白くなることから「カタシログサ」とも呼ばれています。
▼白くなったハンゲショウの葉
茎は分枝して草丈50~100㎝程度に成長します。
葉茎は傷がつくとドクダミのような匂いがします。
根茎は地下を横に広がり、群生します。
▼群生するハンゲショウ
日本に自生している野草で、耐寒性、耐暑性共に高く強健な性質です。
冬には地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。
環境が合えば地下茎で非常によく増えます。
ハンゲショウの名前の由来
「半夏生(ハンゲショウ)」とは、夏至から11日目の7月2日を指し、その頃に花を咲かせることからハンゲショウと呼ばれています。
ハンゲショウの葉が白くなる理由
花が咲く頃に葉が白くなり、花が終わると緑に戻る
ハンゲショウの葉は不思議な性質をしています。
ハンゲショウの白い葉は、同科のドミダミの花の白い部分と同じ役割を果たします。
ドクダミの花の白い部分は、葉が変化した苞葉(ホウヨウ)と呼ばれるもので、花を目立たせ、昆虫を呼び寄せる役割があります。
▼ドクダミの花
ハンゲショウの白い葉は、苞葉(ホウヨウ)になりきれていない葉だとされています。
花序の下の数枚が白くなり花弁のように花を目立たせ、昆虫を招きます。
▼ハンゲショウの花序
葉が白いのは葉緑体が発達していないためです。
花が受粉すると白い葉は役目を終え、葉緑体が発達して葉緑素を作り葉が緑になります。
ハンゲショウの育て方
栽培環境
日当たりの良い、湿り気の多い場所が適しています。
半日蔭でも育ちますが、日当たりが良い方が白い斑が美しく入ります。
株元が少し水につかる状態でも育てることが出来ます。
また、水持ちの良い土壌なら庭植えにすることも可能ですが、池の周辺やビオトープ、水連鉢などで育てた方が乾燥の心配がなく、手がかかりません。
冬越し
日本の本州以南に自生する植物ですが、耐寒性はそこそこです。
強い霜が降ったり地面が凍るような寒冷地では、防寒対策を施して下さい。
水やり
乾燥を嫌い、常に土が湿っているような環境を好みます。
鉢植えの場合は、大きめの鉢に植え、受け皿に常に水が溜まっている状態を保って下さい。
庭植えの場合は、土が完全に乾いてしまわないように注意します。
肥料
庭植え、鉢植え共に、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は春に、緩効性化成肥料か固形の油粕を土中に埋め込んで下さい。
鉢植えの場合は、その後、緩効性化成肥料を1か月に1回程度施します。
美しい斑入りの白い葉を出すためには、肥料が必要ですが成分には注意して下さい。
ハンゲショウは窒素肥料が過剰になると蕾を付けません。
蕾が付かないと白い斑も出ませんので注意が必要です。
植え付け、植え替え
適期は2月~3月です。
植え付け
鉢植えの場合は、荒木田土などの粘土質の重い土が適しています。
赤玉土などの一般的な土でも育ちますが、田んぼの土の方が生育が良いです。
植え替え
鉢植えで根詰まりしているようなら、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
適期は2月~3月です。
土地が合っているとあっと言う間に繁殖します。
増えすぎた場合は間引いて下さい。
増やし方(株分け)
株分けで簡単に増やすことが出来ます。
株分け
適期は、芽を出す前の2月~3月です。
掘り上げた地下茎を切り分けて植え付けて下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。