多年草・宿根草

フリージア

フリージア

育て方のポイント

フリージアの育て方早見表

フリージアは、春に香りのよい花を咲かせる秋植え球根の多年草です。 日当たりと風通しのよい場所を好みますが、耐寒性はあまり高くないため、霜や凍結には注意します。 夏は地上部を枯らして休眠するため、葉が枯れた後は水やりを止めて管理します。

分類
多年草・秋植え球根
開花期
3月中旬~5月上旬
花色
黄、白、赤、オレンジ、紫、ピンクなど
草丈
20cm~50cm。切り花や鉢植えにも向く
日照
日なた。日当たりと風通しのよい場所で育てる
適した場所
日当たりがよく、霜や凍結を避けられる場所
水やり
鉢植えは表土が乾いたらたっぷりと水やりをします。冬は乾燥気味に管理
肥料
植え付け時に元肥、開花前に液体肥料または速効性化成肥料を施す
植え付け
9月下旬~11月上旬。庭植えでは遅めに植えると霜傷みを避けやすい
冬越し
耐寒温度は3℃程度。霜や凍結を避け、防寒対策をする
夏越し
夏は休眠期。葉が完全に枯れたら水やりを止める
植え替え
植えっぱなしには不向き。2~3年に1度は球根を掘り上げて植え替える
増やし方
分球。掘り上げ時に新しい球根を分けて秋に植える
病害虫
菌核病、モザイク病、アブラムシに注意

育て方のコツ: フリージアは寒さにあまり強くないため、霜や凍結を避けて育てます。 庭植えでは連作障害が出やすいので、前年にアヤメ科の植物を植えた場所は避けます。 花後は花茎だけを切り取り、葉は自然に枯れるまで残して球根を太らせます。

フリージアの基本情報

  • 学名…Freesia hybrida
  • 和名…フリージア
  • 別名…アサギスイセン、コアヤメズイセン
  • 科名…アヤメ科
  • 属名…フリージア属
  • 原産国…南アフリカ
  • 花色…黄、白、赤、オレンジ、紫、ピンクなど
  • 草丈…20cm~50cm
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:9 to 10

フリージアとは

フリージアは、南アフリカ原産のアヤメ科フリージア属の多年草です。
フリージア属の植物は約16種が知られていますが、全てが南アフリカ地域の固有種です。

流通しているのはその中の幾つかの種を元に作出された園芸品種で、それらを総称して「フリージア」と呼んでいます。

フリージアが発見されたのは17世紀で、その後ヨーロッパや北アメリカに導入され、盛んに品種改良がおこなわれました。
その結果、現在では150以上の品種が存在します。

日本には明治20年頃に渡来していますが、本格的に栽培が始まったのは昭和に入ってからです。
現在では種子島や沖永良部島を中心として、日本でも球根の生産が行われています。


フリージアの花期は3月中旬~5月上旬。
花期になると、伸びた茎の先に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は穂状で基部で湾曲しており、先端では水平に近い角度になります。

▼フリージアの花序

フリージアの花序

花は直径2~5cm程度の大きさで、花序の片側に付きます。
花被片は、外花被片(がいかひへん)3個と内花被片(ないかひへん)3個の計6個で、内花被片がわずかに大きくなっています。

※花被(かひ)…花において雄しべと雌しべの外側にある葉的な要素。
通常内外2列になっており、外側にある外花被(がいかひ)と、内側にある内花被(ないかひ)からなる。
外花被は「萼」、内花被は「花冠」と呼ばれますが、フリージアのように不明瞭なものは外花被・内花被と呼びます。

▼フリージアの外花被片と内花被片

フリージアの外花被片と内花被片

雄しべは3個、非対称的に片側だけに付きます。
雌しべは1個、花柱は糸状に3分枝し、柱頭は深く2裂、もしくはそれ以上に裂けます。

▼フリージアの雄しべと雌しべ

フリージアの雄しべと雌しべ

多くの品種で、花には芳香があります。
一般的に白花・黄花のフリージアはキンモクセイのような甘い香り、紫・赤色系統では果物のような甘酸っぱい香りを持ちます。

花色は黄色、白、赤、オレンジ、紫、ピンクなど。
一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。

▼様々な花色のフリージア

ピンク色のフリージア
白いフリージア
赤色のフリージア

果実は不規則な球形の蒴果です。
通常表面にはしわが入り、一室に数個の種子が入っています。
種子は熟すと褐色~暗褐色になります。


葉は先の尖った剣状、または長楕円形で、長さ15~30cm、数枚が根生します。
草丈は、15cm程度の小型種から50cmを超える切り花用の高性種まで揃います。

▼小型種のフリージア

フリージア

暖かい地方の植物なので、耐寒性はあまり高くありません。
霜の心配のない暖地なら、庭植えで育てることも可能です。
夏休眠性で、秋に芽を出して花を咲かせた後、夏に地上部を枯らせて休眠します。

フリージアの原種

現在流通しているフリージアの園芸品種は、いくつかの原種をもとに作出されています。
代表的な原種の特徴を比較すると、次のようになります。

原種 原産地 花の特徴 草丈 園芸品種との関係
フリージア・アルバ 南アフリカ南部 白~淡いクリーム色。花被片の外側が淡い紫色を帯びることがある。 12cm~40cm 多くの園芸品種のもとになった原種の一つ。
フリージア・レイクトリニイ 南アフリカ・西ケープ州 クリーム色で、花被片の一部に黄色い斑紋が入る。 6cm~25cm アルバとともに、多くの品種のもとになった原種。
フリージア・コリムボーサ 南アフリカ・東ケープ州 黄色が一般的。白花や、花被片の一部がローズ色・ピンク色になるものもある。 原種により幅がある ピンク色や濃い黄色の品種のもとになっている。

フリージア・アルバ(Freesia alba)

フリージア・アルバ(原種)

南アフリカ・南部原産のフリージアの原種です。
主に砂丘や林縁の砂地や石の多い土壌に自生しています。

花は白~淡いクリーム色で、多くの場合、花被片の外側は淡い紫色を帯びます。
草丈12~40cmに成長します。

後述のフリージア・レイクトリニイと共に、数多くの園芸品種の元となっています。

フリージア・レイクトリニイ(Freesia leichtlinii)

フリージア・レイクトリニイ(原種)

南アフリカ・西ケープ州原産のフリージアの原種です。
主に海岸付近に分布しており、砂質の土壌で成長します。

花はクリーム色で、花被片の一部に黄色い斑紋が入ります。
草丈6~25cmに成長します。

アルバと共に多くの品種の元となっています。
アルバとの自然交雑も多数観察されています。

フリージア・コリムボーサ(Freesia corymbosa)

フリージア・コリムボーサ(原種)

南アフリカ・東ケープ州原産のフリージアの原種です。

花色は変化が多く、黄色が一般的ですが、稀に白花もあります。
一番下の花被片がローズ色やピンク色になることもあります。

ピンク色や濃い黄色の品種の元となっています。

※かつて、ピンクの花を咲かせるものはアームストロンギー(F. armstrongii)、濃い黄色のものはアウレア(F. aurea)とされていました。
前述の二種を合わせたこれらの原種から、現在の多彩な品種の大半が生み出されています。

フリージアの育て方

フリージアの育て方

栽培環境

日当たりが良く、風通しの良い環境が適しています。
フリージアは連作障害の出やすいアヤメ科の植物です。
庭植えの場合は、前年に同じアヤメ科の植物を植えていた土地は避けてください。

冬越し・夏越し

冬越し

耐寒温度は3℃程度で、寒さに強い植物ではありません。
南関東以南では庭植えでも大丈夫ですが、霜や凍結の恐れがある場合は腐葉土や敷き藁などでマルチングをして、しっかりと防寒対策を施してください。

心配な場合は鉢植えの方が安心です。
霜や凍結の恐れがない軒下などに移動するか、室内に取り込んでください。
室内で管理する場合は、日当たりの良い窓辺に置き、春に温かくなってから戸外に出すようにします。

夏越し

地上部の葉が完全に枯れたら、葉を取り除いて、水やりを止めます。
鉢植えの場合は、雨の当たらない場所に移動して、秋までそのまま保管してください。

鉢植えで育てるときのポイント

フリージアは寒さにやや弱いため、霜や凍結が心配な地域では鉢植えで育てると管理しやすくなります。
鉢植えなら、寒い時期に軒下や室内の明るい場所へ移動できます。

植え付け直後は浅めに植え、葉が数枚出てから株元がぐらつかないように増し土をします。
水を与えすぎると徒長して軟弱に育ちやすいため、発芽後の冬は乾燥気味に管理します。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
水が多いと徒長して軟弱に育ってしまいます。
特に発芽後の冬は、乾燥気味に管理してください。
夏の休眠期は、水やりの必要はありません。

肥料

庭植え、鉢植えともに、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
その後は、開花前の追肥として、液体肥料か速効性の化成肥料を施してください。

フリージアの花が咲かない原因

フリージアの花が咲かない場合は、日照不足、寒さによる傷み、球根が小さいこと、花後に葉を早く切ってしまったことなどが原因として考えられます。 日当たりのよい場所を好むため、日照時間が短い場所では花付きが悪くなります。

また、フリージアは寒さにあまり強くありません。 霜や凍結で葉や茎が傷むと、生育が弱って花が咲きにくくなることがあります。 寒さが心配な地域では、鉢植えにして軒下や室内の明るい場所で管理すると安心です。

花後の葉は、球根に栄養を蓄えるために必要です。 花茎は切り取りますが、葉は自然に枯れるまで残しておきます。

植え付け・植え替え

植え付け

適期は9月下旬~11月上旬です。

庭植えの場合は、葉や茎が長く伸びていると霜で傷んでしまうので、出来るだけ遅く植え付けるのがポイントです。
用土に腐葉土を混ぜて水はけの良い環境を作り、元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は5~10cm、植え付けの深さ3cm程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土に、緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に5~8球が目安です。
球根の頭が隠れる程度に浅く植えておき、葉が数枚出た後に、株元がぐらつかないように1cm程度の増し土をします。

植え替え

連作障害が出なければそのままで大丈夫ですが、フリージアは基本的に植えっぱなしで育てるのには向かない植物です。
少なくとも2~3年に1度は球根を掘り上げて、植え替えを行ってください。
連作障害が出ると、病気になりやすく、生育も悪くなります。
庭植えの場合は、前年にアヤメ科の植物を育てていない場所、鉢植えの場合は新しい用土で植え替えてください。

フリージアが植えっぱなしに向かない理由

フリージアは連作障害が出やすいアヤメ科の球根植物です。
同じ場所や同じ用土で長く育てると、病気が出やすくなったり、生育が悪くなったりすることがあります。

そのため、庭植えでも鉢植えでも、少なくとも2~3年に1度は球根を掘り上げて植え替えます。
庭植えでは、前年にアヤメ科の植物を育てていない場所を選ぶと安心です。

球根の掘り上げ

6月頃になって葉が黄色く枯れて来たら、球根を掘り上げます。
丁寧に土を取り除いたら、古い球根の回りに付いている小さな新しい球根を取り外します。
ネットなどに入れて、風通しの良い日陰で保存してください。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。
上記の方法で分球した新しい球根を、秋に植え付けてください。

日常の管理

花が咲き終わったらその都度、花がらを取り除きます。
花茎のすべての花が終わったら、花茎を付け根から切り取ってください。
葉は球根の成長に必要なので枯れるまでそのままにしておきます。

花茎が長く伸びた場合は、花の重みで茎が垂れてしまう事があるので、支柱を立てておくと安心です。

病気・害虫

菌核病

茎や球根が褐色に変色し、腐敗して萎れてしまいます。
発病した株は、抜き取って処分します。
連作障害が出ると発病しやすくなります。
病気の発生を予防するためにも、2~3年に1度は植え替えを行ってください。

モザイク病

葉や花に濃淡の縞模様が現れます。
発病すると葉の縮れや変形が起こり、ひどくなると枯れてしまうこともあります。
こちらも一度発病すると、処分するしかありません。
アブラムシが媒介する病気なので、発生した場合は早めに駆除します。

よくある質問

フリージアのよくある質問

フリージアを育てるときによくある疑問をまとめました。 植え付け時期、冬越し、夏の休眠、花が咲かない原因、球根の掘り上げなどを確認しておきましょう。

フリージアは多年草ですか?

フリージアは多年草です。 秋に植える球根植物で、春に花を咲かせた後、夏に地上部を枯らして休眠します。 ただし耐寒性はあまり高くないため、寒冷地では鉢植えで管理した方が安心です。

フリージアの植え付け時期はいつですか?

フリージアの植え付け適期は9月下旬~11月上旬です。 庭植えでは、葉や茎が長く伸びた状態で霜に当たると傷みやすいため、やや遅めに植え付けると管理しやすくなります。 鉢植えでは5号鉢に5~8球程度を目安に植え付けます。

フリージアは冬越しできますか?

フリージアの耐寒温度は3℃程度で、寒さに強い植物ではありません。 南関東以南では庭植えで育てられることもありますが、霜や凍結の恐れがある場合は、腐葉土や敷き藁などでマルチングして防寒します。 心配な場合は鉢植えにして、軒下や室内の明るい場所で管理すると安心です。

フリージアは植えっぱなしにできますか?

フリージアは基本的に植えっぱなしにはあまり向かない植物です。 連作障害が出やすいため、少なくとも2~3年に1度は球根を掘り上げて植え替えます。 庭植えでは、前年にアヤメ科の植物を植えた場所を避けると病気を予防しやすくなります。

フリージアは夏に枯れますか?

フリージアは夏に地上部を枯らして休眠します。 葉が完全に枯れたら水やりを止め、鉢植えでは雨の当たらない場所に移動して秋まで保管します。 球根が傷んでいなければ、秋に再び芽を出します。

フリージアの花が咲かない原因は?

花が咲かない場合は、日照不足、寒さによる傷み、球根が小さいこと、花後に葉を早く切ってしまったことなどが原因になることがあります。 フリージアは日当たりを好むため、日照不足では花付きが悪くなります。 花後は葉を枯れるまで残し、球根に栄養を蓄えさせます。

フリージアの球根はいつ掘り上げますか?

6月頃に葉が黄色く枯れてきたら、球根を掘り上げます。 土を落とし、古い球根の周りについた新しい球根を分け、ネットなどに入れて風通しのよい日陰で保存します。 分けた球根は秋に植え付けます。

フリージアには香りがありますか?

多くのフリージアの品種には芳香があります。 一般的に白花や黄花はキンモクセイのような甘い香り、紫や赤色系統は果物のような甘酸っぱい香りを持つとされています。 香りを楽しむなら、鉢植えを玄関先や窓辺に置くのもおすすめです。

  • この記事を書いた人

suzuna(すずな)

バラや季節の草花に囲まれて育ち、現在も自宅の庭でガーデニングを楽しんでいます。 植物の基本情報は、国内外の植物園・植物データベースなどを確認しながらまとめています。

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