- 学名…Cosmos bipinnatus Cav.
- 和名…コスモス(秋桜)
- 別名…アキザクラ
- 科名…キク科
- 属名…コスモス属
- 原産国…メキシコ
- 花色…ピンク、白、紅紫、オレンジ、黄色など
- 草丈…50㎝~120㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:2 to 11
コスモスとは
コスモスは、メキシコ原産のキク科コスモス属の一年草です。
原産地はメキシコ中央の火山性山岳地帯にあります。
ピンク色、稀に白色の花を咲かせ、メキシコの高地における最も魅力的な野草の一つとなっています。
観賞用としての人気が高く、南極大陸をのぞくすべての大陸で栽培されており、世界中の温暖な地域で帰化しています。
日本への渡来に関しては諸説あります。
- 明治12年、東京美術学校の講師であったラグーザがイタリアから種子を持ち込んだという説
- 明治29年に渡来した説
- 幕末に渡来したとする説…など
いずれにせよ幕末から明治に中頃に渡来したと考えられます。
全国的に普及したのは、明治42年に文部省(現文部科学省)が全国の小学校に種子を配布したのがきっかけとされています。
コスモスの花期は7月~11月。
花期になると、茎の頂部で分枝し、長い柄の先に頭花(とうか)を付けます。
頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
一つの花のように見える花序は、2種類の花で構成されています。
中心部分の管状花(カンジョウカ)と、周りの舌状花(ゼツジョウカ)です。
コスモスの頭花は直径5~8㎝程度の大きさです。
▼コスモスの頭花
舌状花は多くの品種で8~10個あり、先が3裂しています。
管状花は多数あり、黄色で筒状、先が5裂しています。
▼コスモスの舌状花と管状花
管状花は外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟した後、雌しべが伸びてきます。
雌しべの柱頭は2裂しています。
▼コスモスの管状花
花色はピンク、白、紅紫、オレンジ、黄色など。
▼紅紫色の花を咲かせるコスモス
果実は長さ6~18㎜の痩果(そうか)で、先がくちばし状に細くなっています。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
▼コスモスの痩果
葉は対生し、2回羽状に細かく裂け、裂片は糸状になります。
▼コスモスの葉の様子
茎は直立し、花を咲かせながら50~120㎝に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるコスモス
丈夫な性質で、日当たりが良ければ土質もあまり選ばず、放任でたくさんの花を咲かせます。
育てやすい植物です。
コスモスの主な品種
センセーション(Cosmos bipinnatus ‘Sensation’)
1930年代にアメリカで作出されたコスモスの代表品種。
世界で広く普及しています。
花色は白、ピンク、紅紫の他、ピンク色の舌状花の基部が紅紫色になるものもあります。
花径8㎝程度で、草丈100~120㎝程度に成長します。
イエローガーデン(Cosmos bipinnatus ‘Yellow Garden’)
玉川大学で20年の研究の末に作出された、コスモスで初めての黄花品種です。
1987年に登録され、のちに作出される「キャンパスシリーズ」のもととなっています。
オレンジキャンパス(Cosmos bipinnatus ‘Orange Campus’)
玉川大学でイエローガーデンをもとに作出されたキャンパスシリーズの一つ。
咲き始めはオレンジ色で、咲き進むとピンク色からアプリコット色のグラデーションに変化します。
キャンパスシリーズはオレンジの他、黄花のイエロー、濃赤花のクリムソンがあり、いずれも咲き進むと花色が少し変化します。
ハッピーリング(Cosmos bipinnatus ‘Happy Ring’)
頭花にピンク色のぼかしがリング状に入り、外側に向けてピンク色から白色へとグラデーションします。
カップケーキ(Cosmos bipinnatus ‘Cupcakes’)
外側の舌状花が合着してカップ状になる品種です。
花色は白、ピンク。
シーシェル(Cosmos bipinnatus ‘Sea Shells’)
舌状花が筒状になる品種です。
花色はピンク、白、紅紫。
他にも様々な品種が流通しています。
関連図鑑
コスモスが属するコスモス属の植物は、熱帯~亜熱帯アメリカに約42種が知られています。
本種の他ではキバナコスモス、チョコレートコスモスなどが栽培されています。
コスモスの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけが良い場所が適しています。
土質は特に選ばずやせ地でも育ちますが、過湿な環境は苦手です。
じめじめした場所は避け、風通しの良い場所で育てて下さい。
日当たりが悪いと生育が悪く、花付きも悪くなります。
鉢植えの場合も、よく日の当たる場所で育てて下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
多肥な環境は苦手な性質です。
特に窒素分が多いと、葉ばかりが茂り、花付きが悪くなります。
庭植えの場合は、特に肥料を施す必要はありません。
やせ地の場合は、緩効性化成肥料を植え付け時、または種まきの時に用土に混ぜ込みます。
鉢植えの場合は、用土に肥料が入ってない場合は、同様に元肥として化成肥料を混ぜ込みます。
追肥は、緩効性化成肥料を置き肥します。
生育が悪いようなら、液体肥料も施します。
種まき
種まきの時期
種まきの時期は、4月中旬~8月です。
コスモスは短日植物で、日長が短くなると花芽を作る性質がありますが、最近の品種は日長に関係なく開花するものが多くなっています。
そのような品種では種まきから3か月で開花、早咲き品種ではおよそ2か月で花が咲きます。
短日性の品種は夏に種をまくと、秋に草丈が低く開花します。
種まき
種は直播きします。
用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておいてください。
発芽温度は15~20℃です。
種は25~30㎝間隔で2~3粒ずつ蒔きます。
夏以降の場合は、20㎝間隔で播種します。
覆土は5㎜程度。
発芽後は元気な苗を残して1本ずつ間引きます。
ポットに蒔く場合も2~3粒ずつ蒔き、徐々に間引いて下さい。
植え付け
適期は5月~9月です。
用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておいて下さい。
ポットに種を蒔いた場合は、根がポットに回ったら定植します。
株間は25~30㎝。
夏蒔きの場合は20㎝程度です。
摘芯
必ずしも必要な作業ではありませんが、摘芯すると草丈を低く抑えることが出来ます。
本葉が6枚程度になったら摘芯して下さい。
増やし方
種まきで増やすことが出来ます。
種の採取
花後に種が出来ます。
熟すと黒くなるので、晴れた日に採取します。
採取した種は日陰で乾燥させ、封筒などに入れて涼しい場所で保管します。
種まきについては上記を参照ください。
病気・害虫
うどんこ病
葉や茎が、うどん粉をまぶしたように白くなります。
白いのはカビで、葉が覆われると光合成が阻害されたり、葉が委縮することもあります。
日当たりと風通しが悪い場所で発生しやすいので、日当たりと風通しの良い場所で育てるようにします。
症状が軽度の場合は、感染した葉を切り取って廃棄します。
ヨトウムシ
苗が小さい時にヨトウムシによる食害が発生します。
ヨトウムシは夜行性で、昼間は土中に潜んでいます。
葉の食害を見つけたら、周辺の土の中を軽く探してみて下さい。
見つけたら駆除します。
アブラムシ、ハダニ
アブラムシやハダニが発生することがあります。
発生が多発する場合には薬剤で駆除します。