- 学名…Nigella damascena L.
- 和名…クロタネソウ(黒種草)
- 科名…キンポウゲ科
- 属名…クロタネソウ属
- 原産国…地中海沿岸地域~西南アジア
- 花色…青、紫、白、ピンク、複色
- 草丈…40㎝~60㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:2 to 11
ニゲラとは
ニゲラは、地中海沿岸地域を中心に分布するキンポウゲ科クロタネソウ属の一年草です。
分布域は南ヨーロッパ、北アフリカ、西南アジアにあり、牧草地や田畑、道ばた、空地などに自生しています。
ヨーロッパでは16世紀のエリザベス朝時代から栽培が始まっており、自然の草花の美しさを生かしたコテージガーデンを彩る花の一つとして、広く普及しています。
日本には江戸時代末期に渡来し、現在一部地域で逸出したものが野生化しています。
※「ニゲラ」とはクロタネソウ属の学名ですが、一般的に「ニゲラ」と言うとニゲラ・ダマスケナ(Nigella damascena)を指します。
ここではニゲラ・ダマスケナを「ニゲラ」として紹介しています。
ニゲラの花期は4月下旬~6月。
花期になると、細かく分枝した茎の頂部に特徴的な形の花を咲かせます。
花の直径は3~5㎝。
▼ニゲラの花
花弁のようみ見えるのは萼片で、本来の花弁は退化しており、雄しべの基部で蜜腺鱗片となっています。
※八重咲きの品種では、蜜腺鱗片は無くなっています。
▼ニゲラの萼片と蜜腺鱗片
雄しべは多数、雌しべの花柱は3~6本。
▼ニゲラの雄しべと雌しべの花柱
萼片の下の総苞片(そうほうへん)は、糸状に細く分枝しています。
※総苞(そうほう)とは、花序を保護する苞葉のことだが、キンポウゲ科の一部では、花茎に付く輪生する茎葉を総苞と呼ぶ。
その一つ一つは総苞片(そうほうへん)と呼ばれ、花や蕾を保護する役目を担う。
▼ニゲラの総苞片
花色は青、紫、白、ピンク、複色。
▼ピンク色や白色のニゲラ
果実は風船のように膨らんだユニークな形です。
熟すと花柱の付け根部分が避け、種子がこぼれます。
▼ニゲラの果実
熟した果実の中には黒いゴマのような種が入っており、和名のクロタネソウ(黒種草)の由来になっています。
属名の「ニゲラ」とは、ラテン語で黒いという意味の単語を語源としており、同じくこの黒い種に由来します。
▼熟したニゲラの果実
葉は羽状に細かく裂け、裂片は糸状になります。
▼ニゲラの葉の様子
茎は直立し、細かく分枝しながら、草丈40~80㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるニゲラ
秋に種をまいて翌春に花を咲かせる秋まき一年草です。
耐寒性が高く、育てやすい植物です。
放任でもよく花を咲かせ、こぼれ種でもよく増えます。
ブラッククミン
カレーのスパイスとして利用されるブラッククミンは、ニゲラ(Nigella damascena)の近縁種であるニゲラ・サティバ(Nigella sativa)の種子です。
ニゲラ・サティバは、南アジア~西南アジアにかけて分布する一年草で、淡い青色~白の花を咲かせます。
▼ニゲラ・サティバの花
サティバの乾燥させた種は、かみ砕くとクミンに似た強い香りが広がり、独特の苦みと辛味があります。
インドや中東の料理では一般的なスパイスとしてよく利用されています。
ニオイクロタネソウの和名を持ちますが、日本ではあまり栽培されていません。
ニゲラの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
冬越し
寒さには強い性質です。
苗が小さい場合は、霜柱で持ち上げられると枯れてしまうことがあるので、敷き藁などで防寒対策をして下さい。
寒冷地では春に種を蒔いて夏に花を楽しむこともできます。
水やり
庭植えでは、根が張れば特に水やりの必要はありません。
鉢植えの場合は、土の表面がしっかり乾いてからたっぷりと。
乾燥気味の環境を好むので、過湿にしないように注意します。
肥料
元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込みます。
追肥の必要はありません。
ポットで育苗中の場合は、定期的に液体肥料を施しますが、多肥にすると軟弱な苗に育つので肥料は少な目を心がけます。
種まき、植え付け
種まき
適期は9月下旬~10月下旬、ススキの穂が出る頃が目安です。
寒冷地で春まきにする場合は、桜が咲く頃に種をまきます。
移植を嫌うので、セルトレーや種まき用のポットなどに蒔くと根を傷める心配がありません。
こぼれ種でもよく増えるので、庭や鉢に直接まくのがオススメです。
種は嫌光性のため、覆土は5㎜程度。
発芽温度は20℃前後です。
発芽するまでに2~3週間かかります。
水を切らさないように明るい日陰で管理して下さい。
芽が出た後は日光に当て、本葉が2~3枚程度に育ったら、根鉢を崩さないように注意して定植します。
植え付け
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに、水はけが悪い場合は腐葉土を混ぜ込み、元肥として緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・軽石2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
増やし方(種まき)
放っておいてもこぼれ種でどんどん増えます。
種の採取
果実が熟して茶色くなったら、中の種を採取して下さい。
種は乾燥させてから冷暗所で保存します。
種まきについては上記「種まき」の項目を参照ください。
ドライフラワー
種の形がとてもユニークなので、ドライフラワーにして楽しむのもオススメです。
果実がパンパンに膨らんだら、花茎を切り取ります。
輪ゴムなどで数本を束ね、風通しの良い日陰で逆さに吊るして乾燥させます。
天気が良ければ1週間ほどで乾きます。
梅雨の時期などで自然乾燥が難しい場合は、エアコンの風の当たる場所などでもドライフラワーにすることが出来ます。
完成したドライフラワーは、クリアラッカースプレーを吹きかけておくと長期間楽しむことが出来ます。
クリアラッカースプレーはホームセンターなどで簡単に入手可能です。
病気・害虫
春先にアブラムシが発生することがあります。
発生した場合は早目に対処して下さい。