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ジギタリス

  • 学名…Digitalis purpurea L.
  • 和名…ジギタリス(実芰答里斯)
  • 別名…キツネノテブクロ
  • 科名…オオバコ科
  • 属名…ジギタリス属
  • 原産国…ヨーロッパ、北東アフリカ
  • 花色…紫、白、ピンク、オレンジ、黄、茶、複色
  • 草丈…30㎝~180㎝
  • 日照…半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

ジギタリスとは

ジギタリス

ジギタリスは、ヨーロッパ、北西アフリカに分布するオオバコ科ジギタリス属の多年草、または一年草です。
分布域はイギリス、アイルランド、ポルトガルからフランス、ベルギー、ドイツ、チェコ、スロバキア、スウェーデン、コルス島、モロッコにあり、森林の開けた場所、岩山の斜面、海岸の崖など、幅広い環境に自生が見られます。

ジギタリス属には約25種の植物があり、幾つかの種が観賞用として栽培されています。
その中で最も一般的のがジギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)です。
華やかで大きな花穂は多くのガーデナーを魅了し、世界中で広く栽培されています。

日本へは明治時代に薬草として渡来しましたが、近年ではイングリッシュガーデンを代表する花として多くの園芸品種が流通しています。

※ここではジギタリス・プルプレアをジギタリスとして紹介しています。


ジギタリスの花期は5月~6月。
花期になると、真っ直ぐに伸びた茎の頂部から花序を出し、多数の花を穂状に咲かせます。

▼ジギタリスの花序

ジギタリスの花序

花は長さ3~4.5㎝の鐘形で、内部の下側には濃色の斑点と長毛があります。

▼ジギタリスの花

ジギタリスの花

雄しべは4個、雌しべは1個。
雌しべの花柱は2裂しています。

▼ジギタリスの花の内部

ジギタリスの花の内部

花序は下から上へと咲き進み、花は日差しの強い方向に向いて咲きます。

花色は紫、白、ピンク、オレンジ、黄、茶、複色。

▼様々な花色のジギタリス

ピンクのジギタリス
淡いピンクのジギタリス
アプリコット色のジギタリス
白いジギタリス

果実は長さ約1.5㎝の先の尖った広卵形の蒴果。

▼ジギタリスの若い果実

ジギタリスの果実

葉は互生し、下部では長さ5~15㎝の卵形~楕円状披針形で、縁に浅い鋸歯があります。
葉は上部にいくに従い小さくなります。
葉柄は下部で15㎝以下、上部ではごく短い柄か無柄になります。

▼ジギタリスの葉の様子

ジギタリスの葉

冬は地際にロゼット状に葉を出して冬越しをします。
茎は花を咲かせながら1mを超える草丈に成長します。
直線的な草姿は花壇の奥行きを演出してくれます。

▼たくさんの花を咲かせるジギタリス

たくさんの花を咲かせるジギタリス

耐寒性が高く、暑さに弱い性質です。
東北以北の寒冷地では夏越しが可能です。
寒い地方では年々大株になり、立派な花穂を立ち上げますが、株の寿命はあまり長くありません。
環境さえ合っていれば、こぼれ種でもよく増えます。

ジギタリスには全草に毒性があります

ジギタリスは全草にジギトキシン、ジゴキシンなどの有毒成分が含まれています。

多量に摂取するとおう吐や頭痛、不整脈、視覚異常を引き起こしたり、最悪の場合は死に至ることもある猛毒の成分です。
古くから切り傷や打ち身に対して使われていた他、うっ血性心不全の特効薬としても広く知られています。

心臓病の治療薬として有名なジギタリス製剤は、かつてはジギタリスから抽出した成分から作られていました。
現在では科学的に合成されています。

ジギタリスの育て方

ジギタリスの育て方

栽培環境

明るい半日蔭から日なたが適していますが、強い西日が当たる場所は避けて下さい。
真夏は出来るだけ涼しくて風通しの良い半日蔭が理想的です。
乾燥気味の環境を好むので、水はけが良いことも条件です。

ジギタリスの花は太陽の日差しが強い方向に向いて咲きます。
日差しを遮るものが無い場合は西を向いて咲くので、日差しの向きを考慮して植え付けて下さい。

夏越し、冬越し

夏越し

苗が小さい内は比較的容易に夏越し可能です。
風通しの良い半日蔭で、できるだけ涼しい場所で管理して下さい。

花後の夏越しは、暖地の場合は難易度が高くなります。
花が終わったら早目に花茎を切り戻し、涼しい日陰から半日蔭の場所に移動して夏越しさせて下さい。
庭植えの場合は、遮光して強い日差しから株を守ります。

冬越し

耐寒性は非常に高いので、そのまま戸外で冬越し可能です。
苗が小さい場合は、霜柱で株が持ち上がると根が傷むので、霜よけを設置すると安心です。

冬越し中の株は、やや乾燥気味に管理して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
過湿な環境になると根腐れを起こすので、水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は春の3月頃に緩効性化成肥料を施します。

鉢植えの場合も同様です。
葉色が悪くなるようなら液体肥料を追肥して下さい。

多肥にすると葉ばかりが茂って花付きが悪くなるので、肥料は控えめを心がけます。

植え付け、植え替え

植え付け

水はけの良い環境を好みます。

庭植えの場合は、用土に腐葉土や川砂を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作ります。
株間は30~50㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土5、腐葉土3、パーライト2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合、根詰まりしているようなら植え替えを行って下さい。
根鉢を軽く崩して、一回り大きな鉢に植え替えます。

花がら摘み

花が咲き終わった花茎は、根元から切り取って下さい。
脇芽が伸びて2番花が咲きます。

増やし方(挿し芽、種まき)

挿し芽、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し芽(挿し木)

適期は5月~6月です。

茎の根元にある脇芽を切り取って、挿し穂にします。
下の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。

水を切らさないように明るい日陰で管理したら、1カ月程度で発根します。

その後は通常の水やりに切り替え、暖地の場合はそのまま涼しい場所で夏越しさせます。
秋に涼しくなってきたら定植して下さい。
冬を越した苗は翌春に花を付けます。

種まき

環境が合っていれば、こぼれ種でも増えます。

種の採取

花後にできた果実が茶色くなったら収穫します。
ジギタリスの種はその草姿からは想像できないほど極小です。
受け皿や紙の上で採取して下さい。

種まき

適期は、5月~6月、9月~10月です。
春まきでは翌年、秋まきでは翌年~翌々年の開花になります。

発芽温度は20℃~25℃です。
種はセルトレーやポットに3~5粒ずつ蒔きます。

好光性種子のため覆土はしません。

水を切らさないように管理して発芽したら間引きます。
本葉が4~5枚程度になったら鉢上げをし、成長と共に鉢を大きくしていきます。
冬までに大きく育てば翌年に開花します。

病気・害虫

花穂にアブラムシが付くことがあります。
見付け次第駆除して下さい。

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