- 学名…Ricinus communis L.
- 和名…トウゴマ(唐胡麻)
- 別名…ヒマ(蓖麻)
- 科名…トウダイグサ科
- 属名…トウゴマ属
- 原産国…アフリカ
- 花色…黄色
- 草丈…1m~3m
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:9 to 11
トウゴマとは
トウゴマは、アフリカ北東部原産のトウダイグサ科トウゴマ属の多年草、または一年草です。
原産地の熱帯では多年草ですが、日本のような温帯では気温の関係で一年草として扱います。
一属一種の植物で、トウゴマ属に分類されている植物は本種トウゴマのみです。
トウゴマの種子から採れるひまし油は、工業用の潤滑油や化粧品の材料として広く利用されており、インド、中国、ブラジルなどで活発に栽培されています。
そのため、栽培を逸出したものが世界の熱帯や亜熱帯地域で野生化しており、一部地域では雑草化して問題になっています。
日本へは古い時代に中国を経由して渡来しており、西日本の一部の地域で野生化しています。
トウゴマの花期は7月~10月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は6~30㎝の長さの総状で、上部に雌花、下部に雄花を付けます。
▼トウゴマの花序
花には花弁はありません。
雌花:雌しべは赤~オレンジ色で、柱頭は3裂し、さらに2裂し広がります。
子房は先端に剛毛の生えた円柱状の突起で覆われています。
萼片は長さ4~5㎜の卵形。
▼トウゴマの雌花
雄花:雄しべは束生して直径1~1.2㎝の球形になります。
萼片は長さ7~8㎜の卵形。
▼トウゴマの雄花
果実は長さ1.5~2.5㎝の類球形の蒴果(さくか)。
赤い棘に覆われています。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
▼トウゴマの果実
果実は熟すと3裂します。
中には3個の種子が入っています。
▼トウゴマの熟した果実
種子は長さ0.7~1.2㎝の楕円形です。
表面にはまだら模様が入り、光沢があります。
トウゴマの属名である「Ricinus」とはラテン語で「ダニ」の意味で、この種の形状に由来しています。
この種子には有毒タンパク質のリシンや、毒性アルカロイドのリシニンが含まれるため、子供やペットの誤食には注意が必要です。
▼トウゴマの種子
葉は長さ30~50㎝、幅30~50㎝の円形で、掌状で深く7~11裂し、縁に鋸歯があります。
葉柄は長さ20~40㎝。
▼トウゴマの葉の様子
茎は直立してまばらに分枝し、草丈1~3mに成長します。
しばしば植物全体が赤~紫色を帯びます。
▼たくさんの実を付けるトウゴマ
耐暑性が高く、強健な性質で育てやすい植物です。
霜に当たると枯れてしまうので、種を採取しておいて春に蒔きます。
こぼれ種でもちょこちょこ発芽します。
トウゴマの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
かなり大きく育つので(草丈1~3m、横幅70~100㎝)、植え場所にはそれなりのスペースが必要です。
鉢植えの場合は、12号鉢以上の大きな鉢で育てます。
夏越し
耐暑性は高く、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、真夏に乾燥が続くようなら朝か夕方に水やりを行って下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
元肥を施すと大きく育ちます。
大きく育てたい場合は、元肥として緩効性化成肥料や堆肥を用土に混ぜ込んでおきます。
庭植えの場合は、追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、生育期に緩効性化成肥料を置き肥します。
肥料は生育状態を見て調節して下さい。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は5月~6月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
大きく育てたい場合は、元肥として堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は70㎝以上です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。
12号鉢以上の大きな鉢に植え付けて下さい。
植え替え
トウゴマは移植を嫌う性質の植物です。
基本的に植え替えは行いません。
増やし方(種まき)
種まきで増やすことが出来ます。
種の採取
トゲトゲの果実が茶色くなり、割れ目ができたら種を採取できます。
晴れた日を選んで採取して下さい。
種子は果実から取り出して乾燥させ、紙袋などに入れて涼しい場所で保管します。
種まき
適期は4月~5月です。
発芽温度が20℃~30℃と高めなので、温かくなってから種を蒔いて下さい。
トウゴマの種は堅いので、一晩水につけて吸水させておきます。
種は花壇や鉢に直まきするか、ポットに蒔きます。
覆土は種1つ分の深さで、種が隠れるようにしっかりと土を被せます。
発芽までは乾かさないように管理し、発芽したらあまり大きくなり過ぎない内に定植して下さい。
移植を嫌う性質なので、根鉢を崩さないように気を付けます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。