別名…宿根ヤグルマギク、セントレア
科名…キク科
属名…ヤグルマギク属(セントーレア属)
原産国…ヨーロッパ、アジア他
花色…紫、ピンク、白、黄色
草丈…50㎝~120㎝
日照…日なた(夏は半日蔭)
難易度…
USDA Hardiness Zone:品種による
セントーレアとは
セントーレアは、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど旧世界を中心に分布するキク科ヤグルマギク属(セントーレア属)の多年草です。
セントーレアが属するヤグルマギク属の植物は350~600種が知られている多年草、または一年草で、幾つかの種が観賞用として栽培されています。
一年草タイプではヤグルマギク(Centaurea cyanus)がよく知られていますが、セントーレアの名前で流通しているのは多年草タイプの常緑種です。
セントーレアとして主に流通しているのは、宿根ヤグルマギクとも呼ばれるセントーレア・モンタナ(写真上:C. montana)、ピンクダスティーミラーとも呼ばギムノカルパ(C. gymnocarpa)、マジックシルバーの名前で流通するキャンディッシマ(C. candidissima)などです。
セントーレアの花期は5月~8月。
※品種によりやや異なります。
花期になると、伸びた茎の頂部に特徴的な頭花を咲かせます。
頭花は小さな花が集まって形成された集合花で、一つ一つの花は5枚の花弁が合着して細い管状になっています。
花姿は品種によって異なり、ヤグルマギクに似ているもの、アザミに似ているもの、などがあります。
▼セントーレアの頭花(ギムノカルパ)
葉の形状、色は品種により異なります。
先の尖った楕円形や羽状に深い切れ込みを持ったものなどがあります。
高温多湿の環境が苦手な性質で、暖地では夏越しの難しい植物です。
梅雨の時期や夏場には注意が必要で、涼しい場所で管理していても枯れることがあります。
セントーレアの主な品種
セントーレア・モンタナ(宿根ヤグルマギク:C. montana)
ヨーロッパ南部の山岳地帯を中心に分布するセントーレアです。
種小名のモンタナはラテン語で、高地や山を意味しており、自生地が亜高山帯にあることに由来しています。
花はヤグルマギクに似ていますが、小花の数が少なく、繊細な花姿をしています。
基本種の花色は青~紫ですが、白やピンクの花を咲かせる品種もあります。
草丈30~70㎝程度に成長します。
高い耐寒性がありますが、高温多湿の環境が苦手な性質です。
ピンクダスティーミラー(セントーレア・ギムノカルパ:C. gymnocarpa)
イタリアに分布するセントーレアです。
自生種は数が激減しており絶滅危惧種の指定を受けていますが、観賞用として広く栽培されています。
葉は深い切れ込みのある羽状で、細かな毛が密生しているため白い色をしています。
繊細なシルバリーフは花の無い時期にも高い観賞価値を持ちます。
花色はピンクのみ。
葉の様子がシロタエギクに似ていることからピンクダスティーミラーと呼ばれています。
※ダスティーミラー(Dusty miller)とは「埃まみれの粉屋」という意味で白い葉色に由来しており、日本ではシロタエギクを指すことが多いです。
草丈60~90㎝程度に成長します。
モンタナに比べると耐寒性が低く、強い霜には注意が必要です。
夏場の高温多湿の環境が苦手な性質です。
マジックシルバー(セントーレア・キャンディッシマ:C. candidissima syn. C.ragusina)
イタリアを中心に地中海沿岸部の限られた地域に分布するセントーレアです。
ギムノカルパ同様に野生種は激減しており、イタリアでは法律で保護されています。
葉は切れ込みのある羽状で、細かな毛が密生しているため白い色をしています。
ギムノカルパ同様に葉には高い観賞価値があります。
日本ではダスティーミラーというとシロタエギクですが、英語圏では本種もダスティーミラーと呼ばれています。
葉が似ていますがシロタエギクとは別種です。
アザミに似た黄色い花を咲かせ、草丈20~60㎝程度に成長します。
ギムノカルパ同様に寒さにはあまり強くありません。
他にも数種の品種が流通しています。
セントーレアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
乾燥気味の環境を好み、過湿な環境を嫌います。
日当たりが悪くジメジメしたような環境ではうまく育たないので注意して下さい。
水はけの悪い場所で育てる場合は、一段高くなった場所に植えたり、盛り土地をして高植えにすると効果的です。
強い酸性土壌を嫌います。
日本の土壌は弱酸性が多いのですが、強い酸性土壌の場合は、植え場所にあらかじめ苦土石灰をまいて土壌を中和しておいて下さい。
冬越し、夏越し
冬越し
モンタナは耐寒性が高く、特に対策の必要はありません。
ギムノカルパ、キャンディッシマはモンタナに比べるとやや耐寒性に劣ります。
関東地域以南の地域であれば、そのまま戸外で冬越し可能です。
その他の地域では冬場は霜の当たらない場所に移動し、防寒対策をするか、室内で管理します。
夏越し
どの種も夏場の高温多湿の環境が苦手な性質です。
鉢植えの場合は、梅雨の時期になったら雨の避けられる場所に移動し、夏場には半日蔭の涼しい場所で管理して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味の環境を好むので、水のやりすぎには注意して下さい。
肥料
それほど多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植え、鉢植え共に春と秋に少量の緩効性化成肥料を施す程度で十分です。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は春の3月~4月、秋の9月下旬~11月です。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土を使います。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておいて下さい。
水はけの悪い土地の場合は、鉢植え同様の用土を使い、盛り土をして高植えにすると効果的です。
強い酸性土壌を嫌うので、植え場所が強い酸性の場合は、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌を中和しておいて下さい。
植え替え
適期は秋の9月下旬~11月です。
鉢植えの場合は、夏越し後の秋に植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
花がら摘み
花が終わったら花がらを摘み取ります。
切り戻し
草姿が乱れている時は、花後に切り戻して整えて下さい。
増やし方(株分け、挿し芽)
株分けと挿し芽で増やすことが出来ます。
株分け
適期は植え替え時の9月下旬~11月です。
植え替え時に掘り上げた株を分けて植え付けて下さい。
挿し芽
適期は5月~7月上旬です。
茎を先端から7~15㎝程度に切り取って挿し穂にします。
水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。