和名…サクラソウ(桜草)
別名…ニホンサクラソウ(日本桜草)
科名…サクラソウ科
属名…サクラソウ属
原産国…日本、朝鮮半島、中国、シベリア
花色…ピンク、白、紫、複色
草丈…15~40㎝
日照…日なた(夏場は日陰)
難易度…
USDA Hardiness Zone:4 to 8
サクラソウとは
サクラソウは、日本、中国北部~朝鮮半島、シベリア東部に分布するサクラソウ科サクラソウ属(プリムラ属)の多年草です。
日本では四国、沖縄を除く北海道、本州に分布しており、高原や原野の草間、林間の湿性地などで自生を見ることができます。
サクラソウの栽培は江戸時代の中頃から記録が見られ、江戸時代後期になると様々な花色、花姿の園芸品種が作出されています。
現在では300種以上の園芸品種が栽培されていますが、その半数が江戸時代に作出された品種となっています。
江戸時代の栽培は、荒川に自生するサクラソウから始まっています。
埼玉県さいたま市にある「田島ヶ原サクラソウ自生地」は荒川流域にあるサクラソウの群生地で、江戸時代からサクラソウの名勝地として親しまれており、現在では特別天然記念物に指定されています。
サクラソウの花期は4月~5月。
花期になると、株の中から花茎を真っ直ぐに伸ばし、頂部に花序を出して花径2~3㎝程度の花を数輪咲かせます。
花序の長さは20~40㎝程度になり、花は基部が細い筒状で先が深く5裂し、さらに各弁が2裂しています。
「サクラソウ」の名前は、サクラに似たこの花姿に由来しています。
筒状になった部分には5本の雄しべと1本の雌しべがあります。
サクラソウの花には、雌しべが長く雄しべが短い長花柱花(チョウカチュウカ)と、雌しべが短く雄しべが長い短花柱花(タンカチュウカ)があり、これは株によって決まっており、自家受粉を避ける仕組みとなっています。
この性質は異花柱花性(イカチュウカ性)と呼ばれ、サクラソウ属の植物に見られるものです。
※稀に雌しべと雄しべの長さが同程度の花もあります。
▼サクラソウの長花柱花
雌しべが長く、雄しべが短いため、雌しべの柱頭がピンのように見えています。
▼サクラソウの短花柱花
雌しべが短く、雄蕊が長いため、筒部には雄しべの葯が見えています。
花色はピンク、白、紫、複色。
花弁に絞り模様や覆輪が入る品種、花弁に細かい切れ込みが入る品種など、数多くの品種が流通しています。
▼絞り模様のサクラソウ
葉は長楕円形で縁に浅い切れ込みがあり、長い葉柄を持って根生します。
花茎を伸ばして花を咲かせながら、草丈15~40㎝程度に成長します。
▼サクラソウの葉の様子
耐寒性は高いのですが、夏の暑さがやや苦手な性質です。
夏場は風通しの良い明るい日陰で管理します。
サクラソウの近縁種
サクラソウが属するサクラソウ属は、世界に広く500種以上が分布する巨大な植物群です。 美しい花を咲かせる種が数多くあることから、園芸植物として数百年前から栽培されており、本種の他では以下のようなものがあります。
サクラソウの育て方
栽培環境
自生地はやや湿り気のある場所で、水はけ、水持ちの良い土壌を好みます。
基本的に日なたを好みますが、夏場の直射日光は苦手です。
夏場は明るい日陰で管理するのが適しています。
また、園芸品種では雨で花が傷んでしまうことがあるので、注意が必要です。
庭植えにする場合は、極端な乾燥を避けるため、落葉樹の下などに植え付けます。
ただし基本的に日当たりを好む植物のため、生育期に日陰になるような環境では生育、花付き共に悪くなります。
夏越し
夏の暑さと強い日差しが苦手な性質です。
鉢植えの場合は、花が終わったら風通しの良い明るい日陰に移動して下さい。
庭植えで日なたで育てている場合は、日差しの強い7月~9月までの間は遮光して下さい。
水やり
乾燥にやや弱い性質です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾き始めたらたっぷりと。
庭植えの場合は、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
肥料
庭植え、鉢植え共に、植え付け時に元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は春の3月~4月の間に、薄めの液体肥料を2週間に1回程度施して下さい。
植え付け、植え替え
適期は10月~2月です。
植え付け
庭植えの場合は、植え場所に植穴を掘り、用土に腐葉土や川砂を混ぜて水はけ、水持ちの良い土を作っておきます。
株間は30㎝程度です。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)2・硬質鹿沼土(小粒)1に軽石小粒を1~2割ほど混ぜた配合土などを使います。
乾きすぎるようなら腐葉土2割ほど混ぜて下さい。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まり防止のため一年に一度、植え替えを行います。
掘り上げた株を株分けして植え付けて下さい。
根に付いた土を洗い落として黒くなった根茎を取り除き、1株に1~2芽が付くように分け、植え付けて下さい。
庭植えの場合は、株が増えすぎているようなら株分けを行って下さい。
花後の管理
花が終わったら花茎を切り取り、株元に土を入れて増し土をします。
サクラソウは地際に新しい根茎を作るので、新しい根茎が乾燥しないように土を入れてやります。
増やし方(株分け、種まき)
株分け、根伏せ、種まきで増やすことが出来ます。
株分け
適期は10月~2月の植え替え時です。
株を掘り上げたら根に付いている土を洗い落とし、黒くなった根茎があれば取り除きます。
1株に1~2芽が付くように分けて植え付けて下さい。
種まき
花後に種が出来ます。
種は乾燥すると発芽率が極端に下がるので、ジベレリンをしみ込ませたティッシュやキッチンペーパーの上に置き、発根を待ちます。
セルトレーなどに種まき用の培養土を入れたものを用意しておき、発根した種を置きます。
霧吹きで水やりをし、乾燥しないように注意して育てて下さい。
病気・害虫
ヨトウムシが葉を食害することがあります。
ヨトウムシは夜行性で、昼間は土の中に潜んでいます。
食害があった株の近くの土を軽く掘るとヨトウムシがいることがあるので、捕殺して下さい。
また、葉茎にアブラムシが発生することがあります。
見つけ次第、薬剤などで駆除して下さい。