和名…ムシトリナデシコ(虫捕り撫子)
別名…コマチソウ、シレネ・アルメリア
科名…ナデシコ科
属名…マンテマ属
原産国…ヨーロッパ
花色…ピンク、白
草丈…30㎝~60㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:5 to 8
ムシトリナデシコとは
ムシトリナデシコは、ヨーロッパを中心に分布するナデシコ科マンテマ属の一年草、または二年草です。
元来の分布域はヨーロッパ中央部~南部、東部でしたが、観賞用として導入されたものが野生化し、ヨーロッパのその他の地域、北アメリカなど、広い地域で帰化植物として定着しています。
日本には明治時代に導入されたものが帰化植物として定着しており、道端や空き地などで群生しているのを見ることが出来ます。
ムシトリナデシコの花期は5月~6月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、花茎1~1.5㎝程度の花を多数咲かせます。
花は5枚の花被片を持ち、花被片の先は多くの場合、浅く凹みます。
花被片の基部には、披針形の鱗片が2個ずつありよく目立ちます。
▼ムシトリナデシコの花
雄しべは10個、雌しべは花柱が3裂しており、先に雄しべが成熟し、雄しべが枯れかけると雌しべが伸びて突出します。
萼は長さ1.5㎝程度の筒状で、10本の濃色の脈が入ります。
▼ムシトリナデシコの萼筒と花
基本種の花は一重のピンク色ですが、白い花を咲かせる品種の他、八重咲き品種もあります。
▼シロバナムシトリナデシコ(Silene armeria f. albiflora)
葉は対生し、長さ2~5㎝程度の卵形~卵状披針形で、基部は茎を抱きます。
▼ムシトリナデシコの葉の様子
茎の上部には粘液を出す茶色い部分があり、ここにアリなどの虫が捕らえられることがあります。
ムシトリナデシコの名前は、この性質に由来しています。
ただし、食虫植物ではありません。
▼ムシトリナデシコの茎
葉茎は白みを帯びており、茎は分枝して花を咲かせながら草丈30~60㎝程度に成長します。
耐寒性に優れており、丈夫な性質です。
放任でもよく花を咲かせ、こぼれ種でもよく増えます。
▼群生するムシトリナデシコ
ムシトリナデシコの近縁種
ムシトリナデシコが属するマンテマ属は、北半球を中心に世界に広く約600種が分布する巨大な植物群です。 大半の種は雑草ですが、美しい花を咲かせる幾つかの種が観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるマンテマ属の植物には本種の他、以下のようなものがあります。
ムシトリナデシコの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
中性~弱アルカリ性の土壌を好むので、植え場所の土壌が酸性の場合は、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌を中和しておきます。
乾燥気味の環境を好み、ジメジメした水はけの悪い場所ではうまく育たないので注意して下さい。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植えの場合は、植え付け時に元肥を施しておけば追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、植え付け時の元肥の他、3月~4月の間に液体肥料を施します。
種まき
適期は9月中旬~10月です。
種は播種箱にまくか、花壇に直まきをします。
覆土は軽く種が隠れる程度、または種を軽く押さえて下さい。
発芽までは乾かさないように注意し、播種箱に蒔いた場合は、発芽後本葉が2~3枚程度になったらポット上げします。
ポットに根が回ったら定植して下さい。
植え付け
庭植えで植え付け場所が酸性土壌の場合は、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌を中和しておいて下さい。
植え穴を掘り、用土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は20㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
増やし方(種まき)
種まきで増やすことが出来ます。
こぼれ種でも発芽します。
種の採取
花後に膨らんだ萼の中に果実が入っています。
萼が茶色く変色し、果実が熟したら上部が裂けて種が見えるようになるので、中の種を採取して下さい。
種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。
病気・害虫
アブラムシが発生することがあります。
発生した場合は、薬剤などで駆除して下さい。