- 学名…Aster sp
- 別名…クジャクアスター、クジャクソウ他
- 科名…キク科
- 属名…シンフィオトリクム属
- 原産国…アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
- 花色…白、紫、ピンク、赤、青
- 草丈…30㎝~200㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 8
宿根アスターとは
宿根アスターは、キク科シンフィオトリクム属の多年草です。
「アスター」の名前はシオン属(アスター属:Aster)の学名に由来します。
園芸界では、シオン属の中で観賞用として栽培される種をまとめて宿根アスターと呼んでいました。
しかし現在シオン属は再分類が進み、大きく変化しています。
かつてシオン属には、ユーラシア大陸、北アメリカに分布する600の植物が含まれていましたが、遺伝子解析が進み、北アメリカに分布する種は1種を除いて他属に移されました。
この時に宿根アスターの原種となっている植物は、新たな属であるシンフィオトリクム属(Symphyotrichum)に再分類されました。
宿根アスターとして栽培されている植物はシオン属ではなくなりましたが、アスターの名前で定着しています。
ここでは宿根アスターとして流通するシンフィオトリクム属の植物を「宿根アスター」として紹介しています。
現シオン属には、シオンやノコンギクなどが分類されています。
※シオンとノコンギクについては別ページで詳しく紹介しています。
宿根アスターの花期は品種によって異なりますが、6月~10月。
花期になると、伸びた茎の上部を多数分枝させ、頂部に花径1~3㎝程度の頭花(とうか)を咲かせます。
頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。
▼宿根アスターの頭花
管状花は外側から中心へと咲き進みます。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)で、先に雄しべが成熟して花粉を出した後、雌しべが伸びて成熟します。
▼宿根アスターの管状花の様子
花色は白、紫、ピンク、赤、青。
花付きが非常に良く、一重咲きの他、八重咲き品種もよく流通しています。
▼様々な花を咲かせる宿根アスター
葉は線状披針形~披針形、長楕円形~卵状楕円形など、品種により異なります。
▼宿根アスターの葉の様子(クジャクアスター)
草丈180㎝程度になる高性種から30㎝程度の矮性種まで、数多くの品種が流通しています。
耐寒性、耐暑性共に優れており、育てやすい植物です。
宿根アスターの代表的な品種
クジャクアスター
小さな花を無数に付けた株姿がクジャクの羽のように見えることからクジャクアスターと呼ばれています。
流通しているのは主に北アメリカ原産のシンフィオトリクム・エリコイデス(Symphyotrichum ericoides)およびキダチコンギク(Symphyotrichum pilosum)の園芸種と交配種、これらにユウゼンギク(Symphyotrichum novi-belgii)を掛け合わせた交配種です。
クジャクソウとも呼ばれます。
花径1~3㎝の小さな花を株一杯に咲かせます。
草丈は70~180㎝で、主に120㎝前後の高性種が多く流通しています。
花色は、基本色の白の他、紫、ピンク、ブルー。
ミカエルマス・デージー
「ミカエルマス・デージー」の名は、「ミカエル祭(9月29日)」の頃に咲くことに由来します。
流通しているのは主にユウゼンギクおよびネバリノギク(Symphyotrichum novae-angliae)の園芸種および交配種で、膨大な数の品種が存在します。
花径3~4㎝の頭花を、枝分かれした花茎の先に多数咲かせます。
草丈は30~180㎝で、100㎝前後の品種が多く流通しています。
花色は紫、ピンク、白、赤。
花付きが非常によく、クジャクアスターに比べると華やかな印象です。
宿根アスターの仲間
シオン属はかつて600種の植物を含む大きな属でしたが遺伝子解析が進み、多くの種が他属に移されています。 ここではシオン属および旧シオン属の植物を仲間として紹介しています。
宿根アスターの育て方
栽培環境
日当たりの良い場所が適しています。
半日蔭程度でも育ちますが、徒長して花付きが悪くなり、本来の美しさは楽しめません。
年間を通してよく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し
寒冷地の場合は、凍結対策が必要です。
秋の花後に葉が枯れて来たら、地上部を刈り取ります。
庭植えの場合は、株元に土を寄せたり腐葉土や藁で覆い、凍結対策をして下さい。
鉢植えの場合は、凍らない場所に移動して下さい。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
やや乾燥気味の環境を好み、多湿な環境が続くと根腐れを起こします。
水のやりすぎに注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、生育期の5月~9月の間に、2000倍に薄めた液体肥料を1ヵ月に2回程度与えるか、春と秋に緩効性化成肥料の置き肥をします。
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
多肥にすると草姿が乱れるので注意して下さい。
植え付け・植え替え
植え付け
適期は4月~6月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土を使います。
植え替え
適期は2月~3月の芽出し前です。
鉢植えの場合は、生育旺盛で根詰まりを起こしやすいので毎年の植え替えが必要になります。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合は、株が混み合って生育が悪くなって来たら植え替えを行います。
3~4年に一度、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
摘芯、切り戻し
摘芯
摘芯を行うことで、枝数が増えたくさんの花を咲かせます。
春に芽が伸びてきて本葉が5~6枚なったら、芽の先を摘んで下さい。
脇芽が出て葉が5~6枚になったら、再び摘芯の作業を行います。
2~3回程度繰り返すことで、株一杯の花を咲かせてくれるようになります。
切り戻し
秋に咲く高性種の場合は、草丈を抑えるために切り戻しを行います。
6月~7月頃に草丈の1/3~1/2の位置でバッサリと切り戻して下さい。
放っておくと草丈が伸びすぎて倒れやすくなります。
秋の花が終わって葉が枯れ始めたら株元から5㎝程度の高さでバッサリと切り戻して下さい。
増やし方(株分け、挿し木)
株分けと挿し木で増やすことが出来ます。
株分け
適期は2月~3月です。
一株に3~5芽が付くようにハサミなどで切り分けて植え付けます。
あまり小さく分けるとその後の生育が遅れるので注意して下さい。
挿し木
適期は5月~6月です。
茎を先端から8㎝程度に切り取って挿し穂にします。
下部の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理したら、1ヵ月ほどで発根します。
病気・害虫
うどんこ病
葉や茎に小麦粉をまぶしたような病変が現れます。
発生した場合は、殺菌剤で対処して下さい。
風通しの良い環境で育てることで、発生を抑制することができます。
アブラムシ
蕾が見え始めた頃に発生しやすい害虫です。
見つけ次第、駆除して下さい。