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カリブラコア

学名…Calibrachoa
科名…ナス科
属名…カリブラコア属
原産国…南アメリカ
花色…赤、オレンジ、ピンク、黄、青、紫、茶、白、複色
草丈…10㎝~40㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:9 to 11

カリブラコアとは

カリブラコア

カリブラコアは、ブラジル南部、ペルー、チリに約28種が分布するナス科の多年草です。
以前はペチュニア属に分類されていましたが、1990年に小輪多花性の28種が分離され、カリブラコア属として独立しました。
ペチュニア属に分類されていた過去がある通り、ペチュニアによく似た小型の花を咲かせます。

カリブラコアが観賞用に栽培されるようになったのは、近年になってからです。
1980年代に日本の園芸会社であるサントリフラワーズが数種の原種を掛け合わせてハイブリッド化を試み、1990年代に世界初のハイブリッド品種「ミリオンベル」を発売します。
この事をきっかけに、それまで園芸植物として栽培されることの無かったカリブラコアが花壇を彩る花として認知されるようになり、現在世界に流通する多くの苗がサントリフラワーズのハイブリッド品種となっています。

カリブラコアは本来は短命な多年草、あるいは多年草ですが、耐寒性がやや低く、一年草として扱うのが一般的です。
歴史の浅い園芸植物ですか、現在も盛んに品種改良が行われており、数多くの園芸品種が作出されています。
近年ではペチュニアとカリブラコアの中間種も流通するようになり、今後が期待される植物です。

カリブラコアの花期は4月~11月。
花期になると分枝した茎の頂部に、花径2~3㎝程度の小さな花を咲かせます。
花は筒状で花冠が浅く5裂して平らに開いており、ミニチュアのペチュニアといった感じです。

▼カリブラコアの花

カリブラコア

花色は赤、オレンジ、ピンク、黄、青、紫、茶、白、複色。
ペチュニアには無い、オレンジ、鮮やかな黄色、茶色など非常に多彩な花色が特徴です。
また、花付きが非常に良く、最盛期には株を覆うように無数の花を咲かせ、株も大きくなることから見応えがあります。

▼様々な花色のカリブラコア

カリブラコア

葉はやや細長い楕円形で、表面に細かな毛が生えており、互生します。
茎はよく分枝して花を咲かせながら、草丈10~40㎝程度に成長します。
直立性、這い性の品種があります。

▼カリブラコアの草姿

カリブラコア

寒さにはやや弱い性質ですが、暖地であれば霜を避ければ容易に冬越しすることが可能です。
ただ2年目以降は病気などが発生し、あまり良い花が咲かないことが多いです。
夏場は草姿が乱れがちなので、基本的には切り戻しを行って、秋から再び花を楽しみます。
ペチュニアよりも丈夫な性質で、育てやすい植物です。

カリブラコアの主な品種

「ミリオンベル」シリーズ

ミリオンベル

サントリーフラワーズ作出の品種群です。
カリブラコア初のハイブリッド品種で、カリブラコアが園芸植物として注目されるきっかけとなった品種です。
世界的にも有名で、カリブラコアの代名詞とも言える代表品種です。
非常に花付きが良く、最盛期には株が花で覆われます。

「リリカシャワー」シリーズ

サカタのタネ作出の品種群です。
草丈15㎝程度でカーペット状に広がります。
シックな茶花の「チョコレート」などの花色があります。

他にも数多くの園芸品種が流通しています。

カリブラコアの育て方

カリブラコアの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
多湿な環境を嫌うので、風通しも良いと最適です。

泥はねで株に土が付着すると病気の原因になることがあります。
鉢植えの場合は、少し高い場所に置くなどして泥はねを防いで下さい。
庭植えの場合は、株元にバークチップなどを敷いて泥はねを防ぎます。

連作障害が出やすいナス科の植物です。
ナス科の植物を繰り返し同じ場所に植えると、生育不良を起こしたり病気にかかりやすくなります。
ペチュニアの他、観賞用トウガラシホオズキもナス科なので注意して下さい。

冬越し、夏越し

夏越し

梅雨前の時期に、草丈の1/2程度の高さでバッサリと切り戻しを行って下さい。
そのまま放置していると茎が伸びて草姿が乱れ、良い花が咲かなくなります。

鉢植えの場合は、雨の避けられる軒下などに移動すると、花が雨で傷むのを防ぐことが出来ます。

冬越し

基本的に一年草として扱いますが、暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
霜の当たらない、日当たりの良い場所で冬越しさせて下さい。

その他の地域では、室内で冬越しさせるか、一年草として扱います。
室内ではよく日の当たる場所で、やや乾燥気味に管理します。

冬越しをさせた株は、春になったら植え替えを行って下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場は水切れを起こしやすいので注意して下さい。

肥料

肥料切れを起こすと、花付きが悪くなります。
生育期間中は肥料を切らさないようにして下さい。

庭植え、鉢植え共に、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、3月~11月の生育期間中に、緩効性化成肥料を定期的に置き肥します。
鉢植えの場合はさらに、液体肥料を月に2回程度施して下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は3月中旬~5月、9月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
大きく育つので、株間は20㎝以上あけて下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜて土を作ります。
弱酸性の土壌を好むので、市販の培養土が弱アルカリ性や中性の場合は、赤玉土(小粒)やピートモス(酸度無調整)などを2割ほど混ぜると、生育が良くなります。

摘心

植え付けて1~2週間ほど経ったら、先端の芽を摘み取って下さい。
枝数が増えてたくさんの花が咲きます。

植え替え

冬越しした株は、春に新しい用土で植え替えを行います。
植え替えを行った株は、草丈の1/2程度の高さで切り戻しておくと、草姿が整います。

花柄摘み

花柄をそのままにしておくと病気の原因になります。
こまめに摘み取って、株を常に清潔な状態にしておいて下さい。

切り戻し

梅雨前に草丈の1/2程度の高さで切り戻しを行って下さい。
冬越しした株も、同様に1/2程度の高さで切り戻しを行います。

増やし方(挿し芽、種まき)

挿し芽と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し芽

適期は5月~6月、9月です。
発根しにくい品種もあるので、多めに挿し芽をすると安心です。

茎を7㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

※種苗登録されている品種は、個人的に楽しむ分には問題ありませんが、営利目的で許可なく増やしたり譲渡することが禁止されているので注意して下さい。
「ミリオンベル」や「スーパーベル」など市場に流通する品種は、ほぼ種苗登録がされています。

種まき

自家採取した種で育てた場合、親株と同じ花が咲くとは限りません。
カリブラコアは種が出来にくい性質ですが、花付きが良いので多少の種は採取可能です。
確実に種を採取したい場合は、受粉を行います。

※受粉を行っても種が出来ない性質の品種があります。

受粉

カリブラコアの花粉は、花が開花してから2~3日後に葯が弾けて花粉が飛散します。
受粉は開花2日目~3日目の朝に行いますが、花がたくさん咲くので神経質にならなくても簡単に受粉することが出来ます。

カリブラコアの雄蕊は花筒の奥にあり、雌蕊はそのさらに奥にあります。

細い筆などを花筒に入れ、雄蕊に優しく触れて花粉を採取します。
筆先に花粉が付いていることを確認したら、別の花の雌蕊に花粉を付けます。
先ほどより深く筆を押し込むと雌蕊に花粉が付きます。

受粉が成功すれば、結実して種を採取することが可能です。

種まき

適期は3月~5月、9月です。
発芽温度は20℃前後です。

種が硬くそのままの状態では発芽率が下がるので、まく前にコンクリートなどで擦り、種に傷を付けておきます。
種は播種箱やピートバンにまきます。
好光性種子のため覆土はしません。
発芽後、本葉が3~4枚程度になったらポット上げして下さい。
ポットに根が回ったら定植します。

秋にまいた場合は防寒対策が必要です。
暖地であれば、霜の心配のない日当たりの良い場所で冬越し可能ですが、冷え込むような日は室内に取り込んだ方が安全です。
その他の地域では、室内で管理するか、フレームなどを設置して寒さから苗を守って下さい。

病気・害虫

灰色かび病

6月~7月の多湿な時期に発生しやすい病気です。
花がらや枯れ葉を取り除いて、株を清潔な状態に保つことで、発生を抑制することが出来ます。
また花に水がかかることでも発生しやすくなるので、花の咲いている時期は水がかからないよう注意します。

アブラムシ

アブラムシはウイルス病を媒介することがあるので、発生したら速やかに駆除して下さい。

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