- 学名…Schlumbergera Lem.
- 別名…デンマークカクタス、クリスマスカクタス、カニバサボテン
- 科名…サボテン科
- 属名…カニバサボテン属
- 原産国…ブラジル
- 花色…赤、白、ピンク、オレンジ、黄、複色
- 草丈…15㎝~40㎝
- 日照…日なた(夏は半日蔭)
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:10 to 12
シャコバサボテンとは

シャコバサボテンはブラジル南東部に分布するサボテン科カニバサボテン属の多年草です。
自生地は、湿度が高く日差しが遮られる森林の中で、木の幹や枝、岩などに着生して生育しています。
カニバサボテン属には約7種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。
主に栽培されるのは、シャコバサボテン(Schlumbergera truncata)とカニバサボテン(Schlumbergera russeliana)、そして両種を元にした交雑種です。
日本へは明治時代に渡来しています。
北半球では開花時期がクリスマスの時期に重なるため「クリスマスカクタス」とも呼ばれます。
また、1980年代にデンマークで大規模な品種改良が進められたことから、「デンマークカクタス」と呼ばれることもあります。
花期は品種によりやや異なり、シャコバサボテンおよびシャコバサボテンの性質を受け継いだ品種は11月~12月に開花します。
カニバサボテンおよびカニバサボテン系の品種は1月~3月にかけて開花します。
花期になると、茎節(けいせつ:葉のように見える平らな部分)の先に花を咲かせます。
▼シャコバサボテンの花

花は直径3~6㎝、長さ6~9㎝。
左右対称で花被片(かひへん)は多数あり、反り返ります。
※花被片(かひへん)…萼片と花弁を合わせて花被片と呼び、その全体を花被と呼ぶ。
萼片と花弁が類似する、あるいはほとんど区別できない場合に用いられる。
内外2列になっている場合、外側にあるものを外花被(がいかひ)、内側を内花被(ないかひ)と呼ぶ。
花の基部に付いている外花被は強く反り返ります。
内花被は基部で合着して花筒を作ります。
そのため花は二段になっているように見えます。
▼シャコバサボテンの外花被と内花被

雄しべは多数あり、二列に並んでいます。
内側の雄しべは雌しべを環状に囲み、外側の雄しべは花冠から伸びています。
▼シャコバサボテンの雄しべと雌しべ

花色は赤、白、ピンク、オレンジ、黄色、複色。
▼様々なシャコバサボテン



果実は長さ1~2.3㎝の洋ナシ形で、熟すと赤くなります。
種子は黒く約1㎜。
▼シャコバサボテンの果実

シャコバサボテンは自家不和合性(自家受粉しない性質)が強く、自家受粉では結実しません。
同品種だと挿し芽で増やされたクローン株の可能性があるため、結実のためには異なる品種間での受粉が必要になります。
葉は無く、茎節(けいせつ)と呼ばれる茎が平らになった葉のような部分で、光合成をおこなっています。
茎節は扁平な形をしており、大きくなると長さ4~6㎝、幅1.5~3㎝に成長します。
縁および先端に片側2~3個の大きな鋸歯状の突起があり、先端は切り取られたような形をしています。
▼シャコバサボテンの茎節

「シャコバサボテン」の名前は、この葉の形をシャコ(蝦蛄)に見立てたものです。
花を咲かせながら草丈10~40㎝に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるシャコバサボテン

冬越しには5℃以上の気温が必要で、冬場は室内で管理します。
夏の暑さもあまり得意ではないので、夏場は涼しい半日蔭の場所で育てます。
シャコバサボテンとカニバサボテンの違い
花期に違いがあるシャコバサボテンとカニバサボテンですが、花の無い時期にも茎節の形で判別可能です。
シャコバサボテン(Schlumbergera truncata)

茎節の縁および先端にある鋸歯状の突起が尖っているのが特徴です。
比較的標高の低い地域に自生しているため、耐寒性はありません。
カニバサボテン(Schlumbergera russelliana)

葉の鋸歯状突起は鈍く丸みを帯びています。
シャコバサボテンより標高の高い地域に自生しているため、寒さに対する耐性が少しあります。
両種には自然交雑種もあり、また園芸品種の多くは両種の交雑種から作出されています。
そのため両種の中間のような性質を持つ品種も数多くあります。
シャコバサボテンの育て方

栽培環境
購入した開花株の管理
秋から冬にかけて蕾や花がついた状態で購入した株は、室内の日当たりの良い場所で管理して下さい。
生育適温は10℃~25℃ですが、5℃以上の気温があれば枯れることはありません。
日中と夜間の温度差が大きいと、蕾や花が落ちてしまうことがあるので注意が必要です。
環境の変化に敏感な植物で、蕾や花の付いた状態で移動することでも落蕾、落花することがあります。
購入直後に蕾が落ちてしまうことがありますが、これは急激な環境の変化によるものです。
少し蕾が落ちても置き場所を変えたりせず、その場所に馴らすようにして下さい。
特に1㎝以下の小さな蕾は落蕾しやすいので、購入時には大きな蕾が付いている株を選ぶと蕾が落ちにくいです。
春から夏の管理
春から秋にかけては戸外で育てて下さい。
春は日なたで管理し、しっかりと日に当てると締まった姿で育ちます。
高温多湿の環境が苦手な性質のため、梅雨の時期には雨の当たらない場所に移動し、梅雨明け以降は、風通しの良い明るい日陰で育てます。
夏の直射日光で葉やけを起こすので、直射日光が当たるような環境の場合は遮光します。
遮光率は60%です。
花芽を付けるための秋の管理
シャコバサボテンの花芽は、しっかりと充実した茎節の先に作られます。
花芽ができる時期に新芽が出来ると花が咲かないので、9月~10月頃に出来た新芽は摘み取って下さい。
シャコバサボテンは短日植物で、昼の長さが短くなると花芽を付ける性質があります。
夜間の気温が15℃程度、日長が12時間以下の状態が1か月ほど続くと、シャコバサボテンの花芽は作られます。
この時期(9月~10月)に、夜遅くまで明るい場所や、外灯などで夜間も明るい場所では花芽が分化しないので注意して下さい。
冬の管理
霜の降りる前に室内に取り込んで下さい。
室内に取り込む場合は、軒下などから徐々に環境に馴らしていくと蕾が落ちません。
水やり
4月~9月中旬の生育期は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
9月中旬以降、花芽が形成されて蕾が大きくなるまでの時期は、用土の表面が乾いてから1~2日後にたっぷりと水やりをします。
冬になって室内の管理になったら乾燥気味に管理して下さい。
肥料
生育期の4月~6月の間に、緩効性化成肥料を月に1回程度、置き肥して下さい。
梅雨明け以降は肥料が残らないようにします。
植え替え
1~2年に一度、植え替えを行って下さい。
適期は4月頃です。
着生植物で、自然状態では樹上で根が空気にさらされています。
用土は通気性が良く、水はけの良い土を使い、鉢は素焼き鉢が理想的です。
シャコバサボテン専用の培養土も市販されているので、利用すると良いと思います。
根鉢を崩して、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。
この時、全体のバランスを見ながら同時に葉摘みを行います。
茎節摘み
地際から3節~5節を残して、葉を捻って摘み取ります。
開花する頃には、摘み取った部分から2~5節ほど伸びるので、全体のバランスを見ながら株を整えて下さい。
摘み取った葉は、挿し芽に利用することができます。
増やし方(挿し芽)
挿し芽で増やすことが出来ます。
挿し芽
適期は4月~7月です。
茎節摘みで摘み取った茎節も利用できます。
木質化していない茎節を2~3節分摘み取って挿し穂にします。
挿し木用土には、市販の挿し木用培養土や鹿沼土単用、パーライト単用などの土を使います。
下側の茎節が半分程度、土に埋まるように挿して下さい。
明るい日陰でしばらくは水を切らさないよう管理して下さい。
2か月ほど経ったら定植します。
病気・害虫
ナメクジやヨトウムシの食害が時々あります。
どちらも夜行性の害虫なので、夜間に見回って捕殺するか、薬剤で駆除します。