和名…ヤブデマリ(藪手毬、藪手鞠)
科名…ガマズミ科
属名…ガマズミ属
原産国…日本、中国、台湾
花色…白
樹高…2m~6m
日照…日なた~半日陰
難易度…
USDA Hardiness Zone:5 to 8
ヤブデマリとは
ヤブデマリは、日本、中国、台湾に分布するガマズミ科ガマズミ属の落葉性低木(小高木)です。
日本では本州の関東以西、四国、九州に分布しており、林の中の水辺や沢の近くのやや湿り気のある場所で自生が見られます。
ヤブテマリの花期は4月中旬~5月。
花期になると、伸びた枝先に径5~10㎝程度の花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序の周囲の白い花は、咢が大きく発達した装飾花と呼ばれるもので、雄しべと雌しべを持たないため、中性花とも呼ばれています。
装飾花は径1.5~4㎝程度の大きさで、花冠が5裂して平らに開き、裂片の一つは極端に小さくなっています。
▼ヤブデマリの装飾花
花序の中心にあるのは、雄しべと雌しべを持つ両性花です。
両性花は径5mm程度の大きさで、花冠が5裂しており、5個の雄しべが突出します。
▼ヤブデマリの両性花
花色は基本種の白の他、装飾花が咲き進むに連れてピンク色に染まる品種もあります。
▼ヤブデマリの花序
花後には楕円形の果実が実り、果実は熟すと赤くなり、その後黒くなります。
▼ヤブデマリの果実
葉は対生し、長さ5~12㎝、幅3~7㎝の楕円形~広楕円形で、縁に鈍い鋸歯があります。
葉の表面には葉脈に沿った窪みがあり、陰影が美しく浮かび上がります。
樹高2~6m程度に成長します。
▼ヤブデマリの葉の様子
耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい植物です。
自然樹形の美しい木で、剪定の手間もあまりかかりません。
育てやすい花木です。
ヤブデマリの近縁種
ヤブデマリが属するガマズミ属は、世界に約200種が分布しており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるガマズミ属の植物には、本種の他以下のようなものがあります。
装飾花が手鞠状に咲くオオデマリは、ヤブデマリの変種であるケナシヤブデマリ(Viburnum plicatum var. plicatum f. glabrum)の栽培種とされています。
ケナシヤブデマリ(ヒロハヤブデマリ)は、本州北陸以北の日本海側、北海道に分布しており、葉が丸く、ほとんど毛が無いのが特徴です。
ヤブデマリの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
基本的に日当たりを好みますが、強い乾燥を嫌います。
夏場に株元まで強い西日が差し込んで乾燥しすぎるような場所では、葉焼けを起こしたり、花付きが悪くなるので注意して下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性共に優れており、特に対策の必要はありません。
水やり
根付けば、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に乾燥が続くような場合は、水やりをして下さい。
肥料
肥料を施さなくてもよく花を咲かせます。
肥料を施す場合は、花後と落葉期に固形の油粕や骨粉、または緩効性化成肥料を株元に施します。
植え付け
適期は厳冬期を避けた落葉期の11月~12月、2月下旬~3月中旬です。
腐植質に富んだ土壌を好みます。
根鉢の2~3倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込み、さらに完熟たい肥を混ぜ込んでおきます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませて下さい。
剪定
自然樹形の美しい木なので剪定はあまり必要ではありません。
必要であれば、不要な枝や徒長枝を基部から切り落とします。
古くなった枝は花付きが悪くなるので、新しい枝を残して切り落とします。
ヤブデマリの花芽は、7月以降に分化します。
剪定は花後すぐに行い、遅くとも6月中には終わらせて下さい。
増やし方
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は5月~6月頃です。
穂木にはその年に伸びた新しい枝を使います。
枝を5~10㎝程度の長さに切り取って、葉を1/2程度の大きさにカットします。
水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
まれにアブラムシが発生することがあります。
発生した場合は、薬剤などで駆除して下さい。