- 学名…Hydrangea paniculata Siebold
- 和名…ノリウツギ(糊空木)
- 別名…サビタ、ノリノキ
- 科名…アジサイ科
- 属名…アジサイ属
- 原産国…日本、中国、ロシア
- 花色…白
- 樹高…2m~3m
- 日照…半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:3 to 8
ノリウツギとは
ノリウツギは、日本、中国、ロシアに分布するアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。
日本では北海道、本州、四国、九州に分布しており、山野の林縁や湿地などに自生しています。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、園芸品種も多数流通しています。
ノリウツギの花期は7月~9月中旬。
花期になると、枝先に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ7~26㎝、幅6~11.5㎝の円錐形です。
▼ノリウツギの花序
花のように見えるのはガクが大きく発達した「装飾花」と呼ばれる部分です。
装飾花の萼片は3~5個、雄しべと雌しべは退化しています。
▼ノリウツギの装飾花
本来の花は装飾花の内側にある小さな両性花ですが、園芸品種には装飾花だけのものも多くあります。
両性花は4~5個の花弁を持ちます。
雄しべは10個、雌しべは1個で花柱は3個あります。
▼ノリウツギの両性花
果実は幅3~3.5㎜の蒴果(さくか)。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
▼ノリウツギの果実
熟すと上部が小さく裂開し、種子がこぼれます。
種子は長さ2.5㎜前後の大きさで、両側に小さな翼があります。
葉は対生、または3輪生し、長さ5~14㎝、幅6~6.5㎝の卵形~楕円形で、縁に鋸歯があります。
葉柄は1~3㎝。
▼ノリウツギの葉の様子
幹は灰褐色で縦にひび割れ、後に薄く剥がれます。
若枝は紫色を帯びます。
よく分枝し、樹高2~3mに成長します。
▼大きく成長したノリウツギ
耐寒性、耐暑性共に強く、丈夫な性質です。
剪定で樹高をコントロールすることも可能で、育てやすい花木です。
ノリウツギの主な品種
ミナヅキ(Hydrangea paniculata ‘Grandiflora’)
花序がすべて装飾花となるノリウツギで、ピラミッドアジサイとも呼ばれます。
円錐形の大きな花序は美しく、秋にはピンク色に色付きます。
ノリウツギの代名詞とも言える代表品種です。
咲き進むと花の重さで花序が枝垂れます。
樹高2m程度まで成長します。
ダルマノリウツギ
エゾノリウツギの選抜品種です。
エゾノリウツギは、北方産のノリウツギを区別した名称です。
一般的なノリウツギと比べて花期が1か月ほど早く、花序や装飾花が大きいという特徴があります。
そのエゾノリウツギの選抜品種がダルマノリウツギと呼ばれています。
矮性で、樹高1m程度まで成長します。
ノリウツギ・コンフェッティ(Hydrangea paniculata Confetti ‘Vlasveld002’)
ノリウツギの矮性種で、樹高50~80㎝程度に成長します。
花は咲き進むとピンク色に変化します。
他にも数多くの品種が流通しています。
アジサイの仲間
アジサイ属は、東アジアを中心に約73種が分布する低木です。 ※一部は東南アジア、新世界にも分布しています。
美しい花を咲かせることから品種改良も盛んに行われており、園芸品種の数は2000種を上回るとされています。
ノリウツギの育て方
栽培環境
水はけの良い、半日蔭の環境を好みます。
乾燥しすぎるような環境ではうまく育たないので、夏場の西日が当たらない場所で育てます。
ある程度の日照がある方が花付きが良くなるので、午後から日陰になるような場所だと最適です。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性ともに強く、特に対策の必要はありません。
水やり
乾燥が苦手な性質です。
庭植えの場合でも、乾燥が続くようなら水やりを行います。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、冬の2月頃、寒肥として有機肥料を株の周辺に埋め込みます。
鉢植えの場合は、冬の2月~3月と花後に、緩効性化成肥料を施します。
植え付け、植え替え
適期は落葉期の12月~3月です。
植え付け
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込みます。
植穴の底に有機肥料を入れ、植えつけて下さい。
植え付け後はたっぷりと水やりをし、棒などで突いて土を馴染ませます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6・腐葉土4などの配合土を使います。
用土に肥料が入ってない場合は、鉢底に緩効性化成肥料を入れておきます。
植え替え
鉢植えの場合は、2年に一度、植え替えを行います。
根鉢を軽く崩し、新しい用土で一回り大きな鉢に植え付けて下さい。
剪定
適期は花後から翌3月上旬です。
ノリウツギの花芽はその年の春以降に伸びた枝に作られます。
花が咲いた枝は切り戻し、花が付かなかった枝は残します。
樹高が高くなりすぎた場合や、枝数が増えすぎて花序が小さくなった場合は、強剪定を行います。
地際から2~3節を残して切り戻して下さい。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
適期は6月上旬から7月中旬の梅雨時期、春の3月~4月です。
6月上旬~7月中旬に挿し木をする場合
新梢を使って挿し木をします。
硬くなったものを選び、2~3節の長さで切り取ります。
節の下1㎝で斜めに切り、下葉を取り除き、上の葉は半分にカット。
半日~1日ほど水に挿しておき、十分に水揚げをします。
挿し木用土に挿しますが、発根剤を切り口に付けて挿すと成功率が上がります。
用土は赤玉土(小粒)か挿し木用土で、下の節が土に埋まるように挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
発根したら徐々に日光にならしていき、1カ月ほどで鉢上げをします。
3月~4月に挿し木をする場合
要領は同じです。
この時期は落葉しているので葉の処理は必要ありません。
下の節から発根、上の節から葉を出させます。
成功すれば春になると元気に葉を出してくれます。
そのまましばらく育て、4月頃に鉢上げをして下さい。
挿し穂に太い枝を使うと、その年に花が付くこともあります。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。