- 学名…Magnolia figo (Lour.) DC.
- 和名…カラタネオガタマ(唐種招霊)
- 別名…トウオガタマ
- 科名…モクレン科
- 属名…モクレン属
- 原産国…中国
- 花色…黄、赤、紫
- 樹高…2m~4m
- 日照…半日蔭~日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
カラタネオガタマとは
カラタネオガタマは、中国原産のモクレン科モクレン属の常緑低木です。
中国南部では古くから栽培されている花木で、栽培種と考えられています。
その起源は変種とされているクラシペス(Magnolia figo var. crassipes)、スキネリアナ(Magnolia figo var. skinneriana)にあると推察されています。
日本には江戸時代に渡来しており、庭や神社、寺院などに植栽されています。
花にはバナナに似た強く甘い芳香があり、バナナノキと呼ばれることもあります。
観賞用として栽培される低木の中では、最も香りの良い花木の一つに数えられています。
※以前はオガタマノキ属に分類されていましたが、現在はモクレン属に分類されています。
カラタネオガタマの花期は4月~5月。
花期になると、枝の上部の葉腋から花柄を伸ばし、花を咲かせます。
花は直径2~3㎝の6弁花です。
▼カラタネオガタマの花
花被片は長さ1.2~2㎝、幅0.6~1.1㎝の長楕円形、淡黄色でしばしば縁が赤~紫色を帯びます。
花被片は肉厚で、カップ状に開きます。
雄しべと雌しべは多数がらせん状付きます。
雄しべと雌しべの間には軸があります。
▼カラタネオガタマの雄しべと雌しべ
花は強い芳香を持ち、花期になると辺りに甘い香りが漂います。
果実は袋果(たいか)が数個集まった集合果です。
※袋果(たいか)…一枚の心皮が袋のように種子を包む果実。熟すと心皮が癒着した縫合線で裂ける。
果実は熟すと裂け、橙色~朱色の種子が顔を出します。
▼カラタネオガタマの熟した果実
葉は互生し、長さ4~10㎝、幅1.8~4.5㎝の先が尖った長楕円形です。
革質で表面には光沢があり、全縁。
しばしば縁がゆるく波打ちます。
葉柄は長さ2~4㎜。
▼カラタネオガタマの葉
樹皮は灰褐色で、若い枝や花柄には、黄褐色の短毛が密生します。
樹高2~4mに成長します。
▼カラタネオガタマの木
暑さには強いのですが、耐寒性はあまり高くありません。
栽培の北限は東北地方南部と言われています。
枝が硬く、雪の積もる地方では重さで折れてしまうこともあります。
基本的には丈夫な性質で、病害虫の発生もほとんどありません。
樹形が乱れないので剪定もあまり必要なく、育てやすい樹木です。
カラタネオガタマの主な品種
カラタネオガタマ・ポートワイン(Magnolia figo ‘Port Wine’)
花の赤みが強い品種です。
矮性で大きくなっても樹高2m以下です。
性質、育て方は基本種と変わりありません。
ベニバナカラタネオガタマとも呼ばれます。
その他、パープルクイーン(‘Purple Queen’)は深みのある紫色の花を咲かせます。
関連図鑑
カラタネオガタマの近縁種
カラタネオガタマが属するモクレン属の植物は、東南アジア、北アメリカ~中央アメリカを中心に約120種が分布しています。 観賞用として栽培されているモクレン属の植物には本種の他以下のようなものがあります。
カラタネオガタマの育て方
栽培環境
半日蔭~日なたで、水はけが良く、水持ちの良い環境が適しています。
日陰の環境でも育ちますが、葉が開き、花付きが悪くなります。
可能であれば、半日程度、日の当たる場所で育てます。
寒さにはあまり強くないので、寒風の当たらない場所に植えて下さい。
強い乾燥を嫌うので、夏場に株元まで西日が当たるような環境は避けます。
冬越し
植栽の北限は東北地方南部と言われています。
枝が硬く、積雪に弱いため、雪が積もる地方での栽培には向きません。
また、強い霜に何度も当たると、枝枯れをしたり、成長に問題が出来ます。
大きく育てば、ある程度の寒さには耐えるようになりますが、積雪などには引き続き注意が必要です。
水やり
根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら水やりをして下さい。
肥料
2月~3月に寒肥、花後にお礼肥として、固形の油粕や骨粉、または緩効性化成肥料などを施します。
植え付け
適期は春の3月~4月です。
根鉢の2~3倍の植穴を掘り、用土にたっぷりと腐葉土を混ぜ込んでおきます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませます。
必要であれば支柱を立てて下さい。
剪定
大きく樹形が乱れることは少ないので、剪定は必ずしも必要な作業ではありません。
剪定する場合は、花後すぐに行います。
枯れた枝や混みすぎた枝など、不要な枝を取り除きます。
増やし方
挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
挿し木
適期は3月~4月、6月~7月です。
3~4月は前年枝を、6月~7月は当年枝を使います。
枝を2~3節の長さに切り取り、穂木にします。
大きな葉は1/2ほどカットし、しっかりと水揚げをします。
挿し木用土に挿したら、水を切らさないように明るい日陰で管理し、発根を待ちます。
活着率はあまり良くないので、多めに挿しておくと安心です。
種まき
熟して朱色の種子が見えたら、種を採取します。
種は乾燥すると発芽しなくなるので、とりまきですぐに蒔きます。
覆土は種が隠れる程度。
水を切らさないように管理して発芽を待ちます。
発芽は春になります。
病気・害虫
病気の発生はほとんどありません。
カイガラムシが付くことがあるので、見つけ次第駆除して下さい。
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