中・高木 庭木

ゲッケイジュ

学名…Laurus nobilis
和名…月桂樹(ゲッケイジュ)
別名…ローリエ、ローレル
科名…クスノキ科
属名…ゲッケイジュ属
原産国…地中海沿岸地域
花色…黄色
樹高…7~15m
日照…日なた~明るい日陰
難易度…星
USDA Hardiness Zone:8 to 10

ゲッケイジュとは

ゲッケイジュ

ゲッケイジュは、地中海地方原産のクスノキ科ゲッケイジュ属の常緑性高木です。
ゲッケイジュは長い栽培の歴史のある樹木で、古くはギリシャ神話に登場します。
自然災害、特に落雷を防ぐと言われ、また、古代ギリシャでは勝利と栄光のシンボルとして、ゲッケイジュの若枝を編んだ冠(月桂冠)を勝者や優秀な者、あるいは大詩人に被せていました。

また、乾燥させた葉はローリエ(ローレル)と呼ばれ、煮込み料理の香料として広く利用されています。
光沢を持つ革質の葉が密に茂るため、庭木としても広く栽培されています。

葉は互生し、長さ5~12㎝、幅2~4㎝程度の長楕円形で、多くの場合、縁が緩く波打ちます。

▼ゲッケイジュの葉の様子

ゲッケイジュ

枝は株元からよく芽吹き、よく分枝して茂ります。
枝は真っ直ぐ上に伸びる性質があり、樹形は卵形になって樹高7~15m程度に成長します。
萌芽力が強く生育旺盛で、刈り込み剪定も可能なため、生垣などにも利用されることがあります。
また、枝が真っ直ぐに伸びるため、円錐形やスタンダード仕立てにすることも可能です。

ゲッケイジュは雌雄異株で、春の4月~5月頃に花を咲かせます。
花期になると、上部の枝の葉の付け根から花序を出し、花径1㎝程度の小さな花を多数咲かせます。
花には淡い黄色の花被片が4枚あり、雄株には多数の雄蕊を持った雄花、雌株には1本の雌蕊と仮雄蕊を持った雌花が咲きます。
花は小さく、葉の影になってあまり目立ちません。

▼花を咲かせたゲッケイジュ(雄花)

ゲッケイジュの花

雄花には8~12個の雄しべがあり、内側の雄しべの花糸には黄色い腺体が付いています。

▼ゲッケイジュの雄花

ゲッケイジュの雄花

雌花には雌しべが1個と仮雄しべが4個あり、仮雄しべの内側には黄色い腺体が付いています。

▼ゲッケイジュの雌花

ゲッケイジュの雌花

雌花は受粉すると果実を実らせ、果実は秋になると黒く熟します。
ただ、日本に植栽されている多くのゲッケイジュは雄株のため、果実を見る機会は多くありません。

▼ゲッケイジュの果実

ゲッケイジュの果実

耐寒性はあまり高くなく、耐寒温度は-9℃程度です。
耐暑性は高く、ある程度の耐陰性もあるので、明るい日陰でもよく育ちます。
枝や葉が密に茂るので、定期的な剪定作業が必要になります。
丈夫な性質で育てやすい樹木ですが、カイガラムシが発生しやすく、すす病を併発しやすいのが難点です。

ゲッケイジュの育て方

ゲッケイジュの育て方

栽培環境

基本的に、日当たりが良く、水はけの良い場所を好みますが、ある程度の耐陰性があるので、明るい日陰でもよく育ちます。
ゲッケイジュの枝は真っ直ぐに上に伸び、あまり横に張らないので、広いスペースが無くても植栽可能です。
また、剪定によって樹高、樹形のコントロールが容易なので、幅広い場所、環境に対応します。 

冬越し

耐寒温度は-9℃程度です。
植栽可能地域は、東北南部以南と言われていますが、元来が温かい気候の樹木なので、寒い地域で育てる場合は、冬の寒風にさらされないような場所で育てて下さい。 

水やり

庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。 

肥料

庭植えの場合は、冬の1~2月の間に寒肥を施します。
緩効性化成肥料や固形の油粕を株元の周辺に埋めて下さい。

鉢植えの場合は、春の3月頃に緩効性化成肥料を株元にばら撒きます。

植え付け、植え替え

適期は春の4月下旬~5月、秋の9月です。
ゲッケイジュは移植が苦手な性質です。
植え付け、植え替えの際には、根を傷めないように注意して下さい。

植え付け

庭植えの場合は、根鉢の2倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、植穴の底に緩効性化成肥料を施しておいて下さい。
植え付けた後はたっぷりと水やりをし、根と土を馴染ませます。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
庭植え同様、元肥として鉢底に緩効性化成肥料を施しておきます。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら植え替えを行って下さい。
根を傷めないように注意し、一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けます。

剪定

生育旺盛で枝数が多く、よく茂ります。
一年に一度、または数度、剪定を行って下さい。
剪定の適期は4月~6月、9月~11月ですが、厳冬期を除けばいつでも可能です。

萌芽力が高く、好みの樹高、樹形に仕立てることができます。
同時に、混み合っている内側の枝を間引いて、風通しを良くしておいて下さい。
風通しが悪いと、カイガラムシの排泄物からすす病を誘発しやすくなります。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は6月~8月です。
枝を10~15㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下部の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

病気・害虫

カイガラムシとすす病がよく発生します。

▼カラガラムシとすす病が発生したゲッケイジュ

ゲッケイジュのすす病とカイガラムシ

カイガラムシ

ルビーロウムシやイセリアカイガラムシなど、数種のカイガラムシが発生します。
カイガラムシは、幹などから養分を吸汁するので、発生数が多くなると樹勢が弱まります。
また、多くの場合すす病を誘発するので、美観も著しく損なわれます。

カイガラムシが発生した場合は、ヘラやブラシを使ってこすり落とすのが基本です。
成虫になるとロウ物質に覆われてしまうため、薬剤の効果はほとんど期待できませんが、幼虫の時期であれば薬剤がよく効きます。
幼虫の発生は概ね5~7月なので、前年にカイガラムシが発生していた場合は、この時期に2~3度、薬剤を散布して下さい。

詳しくは「カイガラムシの種類と駆除、予防方法」を参照下さい。

すす病

カイガラムシの排泄物や分泌液には、植物から摂取した余剰な糖分が多量に含まれています。
この糖分を栄養源として、すす病が発生します。

発生すると枝や幹、葉が黒いすすのようなもので覆われ、美観が損なわれる他、生育にも影響を及ぼします。
原因となるカイガラムシなどの吸汁性害虫を駆除して下さい。

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