- 学名…Clinopodium nepeta (L.) Kuntze
Synonym:Calamintha nepeta (L.) Savi - 和名…カラミント
- 別名…カラミンサ
- 科名…シソ科
- 属名…トウバナ属
- 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、コーカサス地方
- 花色…白、紫、ピンク
- 草丈…20㎝~60㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 7
カラミンサとは
カラミンサは、ヨーロッパ、地中海沿岸地域を中心に分布するシソ科トウバナ属の多年草です。
分布域はポルトガルからルーマニア以南のヨーロッパ、西アジア北部、モロッコ、アルジェリア、チュニジアにあり、低木林や草原、空き地や荒れ地などに自生しています。
カラミンサの名前は、ギリシャ語の「カラ(kalos)=美しい」と「ミント(mimthe)」に由来する合成語で、葉茎には爽やかな芳香があります。
イタリア料理やコルシカ料理ではよく利用されるハーブで、イタリア南部ではチーズにミントの香りを付けるためにも利用されます。
カラミンサの名前はトウバナ属の旧学名に由来します。
トウバナ属は統合され現在、カラミンサ属(Calamintha)を含む約20種の植物が分類されています。
その中でカラミンサとして流通するのは主にクリノポディウム・ネペタ(旧学名:Calamintha nepeta)です。
ここではクリノポディウム・ネペタをカラミンサとして紹介しています。
和名はカラミント。
カラミンサの花期は6月~11月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根から花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は集散花序が各節に付き、穂状となります。
集散花序には4~6個の花が付きます。
▼カラミンサの花序
花は小さな唇形花(しんけいか)です。
※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
カラミンサの唇形花は上唇が2裂、下唇は3裂しており、下唇の中央部分には不規則な暗色の斑点が入ります。
▼カラミンサの唇形花
雄しべは雄しべは4個、長短があります。
雌しべは1個。
▼カラミンサの雄しべと雌しべの様子
花色は白~淡いピンク色。
葉は長さ1.4~3.2㎝、幅0.8~1.6㎝の卵形~三角形で細かな毛があり、縁に鋸歯があります。
葉柄は0.5~1㎝。
▼カラミンサの葉の様子
葉にはミントに似た爽やかな芳香があります。
茎葉よく分枝して株はこんもりと茂り、花を咲かせながら草丈20~60㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるカラミンサ
耐寒性、耐暑性があり、育てやすい植物です。
病害虫の発生もほとんど無く、よく花を咲かせ、こぼれ種でもよく増えます。
カラミンサの近縁種
カラミンサ・グランディフローラ(Clinopodium grandiflorum)
ヨーロッパ南部と中東に分布するカラミンサ・ネペタの近縁種です。
花期は5月~7月。
花の長さは3㎝程度で、ピンク色の花を咲かせます。
ネペタに比べると葉も花も大きく、野性味のある印象です。
花期は春から夏までで、草丈50㎝程度に成長してこんもりと茂ります。
葉に白い斑が入る斑入り品種も流通しています。
カラミンサの育て方
栽培環境
日なたから半日蔭の環境に適応しますが、日当たりが良い方が株が締まり、花付きも良くなります。
半日蔭だとやや徒長気味になり花数が減ります。
水はけの良い土壌を好むので、水はけの良い環境で育てて下さい。
冬越し
耐寒温度は-10℃程度で寒さに強い植物です。
関東以西では戸外で冬越し可能です。
花が終わる12月頃になったら、株元から10㎝程度の高さでバッサリと切り戻してしまいます。
耐寒性は高いですが、根が凍ると枯れてしまうので、凍結の心配がある場合は株元をマルチングしておくと安心です。
鉢植えの場合は、鉢土が凍らないよう軒下などに移動して下さい。
寒冷地で庭植えの場合は、株元を腐葉土でマルチングしたり、藁を敷いて根を凍結から守ります。
心配な場合は、鉢上げをするか、秋に挿し木株を作って室内に取り込んで下さい。
鉢植えの場合は、室内に取り込んで管理します。
室内ではよく日の当たる場所に置き、やや乾燥気味に管理して下さい。
水やり
庭植えの場合は、根が張ればほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場で乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土が乾き始めたらたっぷりと。
水切れにはあまり強くありません。
乾燥が続くと葉が縮れて、最悪の場合はそのまま枯れてしまいます。
特に夏場の乾燥には注意して下さい。
冬越し中の株は、やや乾燥気味に管理します。
肥料
庭植え、鉢植え共に、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、春と秋に緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。
液体肥料でも構いません。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月、9月中旬~11月中旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト(小粒)1の混合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んだものを使います。
根鉢を崩して植え付け、根付くまでは乾燥に注意して育てます。
植え替え
鉢植えで冬越しをした場合は、春に植え替えを行います。
株が大きくなっているようなら、株分けを行うか、一回り大きな鉢に植え替えます。
切り戻し
花が次々と開花しますが、一旦満開になって散り始めたら切り戻しを行います。
地際10㎝程度の高さでバッサリと切って、肥料を施して下さい。
切り戻しを行わなくても花は咲きますが、草姿が乱れがちです。
また切り戻しを行う事で枝数が増え、こんもりとした美しい草姿になります。
増やし方(株分け・挿し木)
株分けと挿し木で増やすことが出来ますが、こぼれ種でもよく増えます。
株分け
大きく育った株は、株分けをすることができます。
適期は3月~4月の芽が出始めた頃です。
株を掘り上げて、根元にハサミなどを入れて株を分け、植え付けて下さい。
挿し木(挿し芽)
適期は6月、9月中旬~10月上旬です。
茎を2節程度の長さに切り取って挿し穂にします。
水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
1カ月ほどしたら根が張って来るので、ポット上げをしてさらに1カ月ほど育てます。
その後、花壇や鉢に定植して下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。