低木 庭木

ブラシノキ

  • 学名…Callistemon
  • 和名…ブラシノキ(刷毛の木)
  • 別名…カリステモン、キンポウジュ
  • 科名…フトモモ科
  • 属名…ブラシノキ属
  • 原産国…オーストラリア
  • 花色…赤、ピンク、白
  • 樹高…1m~4m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:9 to 10

ブラシノキとは

ブラシノキ

ブラシノキは、フトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木、または低木です。
ブラシノキ属には約33種の植物が分類されており、そのほとんどがオーストラリアに分布、少数がニューカレドニアにも分布しています。

観賞用として栽培されるのは主にブラシノキ(Callistemon speciosus)、ハナマキ(Callistemon citrinus)、シロバナブラシノキ(Callistemon salignus )、シダレハナマキ(Callistemon viminalis)などです。
「ブラシノキ」の名前はカリステモン・スペシオサスに付けられた和名ですが、園芸界ではブラシノキ属の園芸種の総称として用いられるのが一般的です。

日本へはカリステモン・スペシオサスが明治時代中期に渡来し、庭木として植栽されてきました。
キンポウジュ(錦宝樹)とも呼ばれます。

ここでは観賞用として栽培されるブラシノキ属の植物を「ブラシノキ」として紹介しています。


ブラシノキの花期は5月~6月。
花期になると、分枝した枝先に花序を付け、多数の花を咲かせます。
花序は長さ5~15㎝の円柱形で、10~120個の花が穂状に密生します。

▼ブラシノキの花序

ブラシノキの花序

ブラシのように見えるのは長く突出した雄しべで、花弁は小さく目立ちません。
萼片、花弁ともに5個ずつ。

▼ブラシノキの萼片と花弁

ブラシノキの花弁と萼片

雄しべは一つの花に10~80個付き、長さ1.5~3㎝で、葯は黄色。

▼ブラシノキの雄しべの様子

ブラシノキの雄しべの様子

雌しべは1個、花柱は雄しべの花糸よりやや太く、柱頭は丸くなっています。

▼ブラシノキの雌しべ

ブラシノキの雌しべ

花糸の色は赤、ピンク、白。

▼ピンクや白の花糸を持つブラシノキ

ピンク色のブラシノキ
白いブラシノキ

果実は長さ3~9㎜の木質の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ブラシノキの果実

ブラシノキの果実

果実は通常数年間は落ちず、裂開しません。
翌年には果実から上に伸びた枝に花が付き、連なる果実は次々と増えていきます。

▼連なるブラシノキの果実

連なるブラシノキの果実

種子は小さな楔形で、多数が果実の中に入っています。

一部の種では果実が山火事の後に一斉に裂け、種子が零れ落ちます。
これは、他の植物がなくなった後にいち早く芽を出して、その土地の優占種になろうとする生態です。
このため、前の山火事から何年たっているかはブラシノキの実を見れば分かると言われています。

▼裂開したブラシノキの果実

裂開したブラシノキの果実

葉は互生し、硬い革質で長さ2~7㎝の披針形~線形~狭楕円形です。
樹高1~4mに成長します。

▼たくさんの花を咲かせるブラシノキ

たくさんの花を咲かせるブラシノキ

暑さ、乾燥には強い性質ですが寒さはやや苦手です。
戸外で冬越し可能なのは関東以南の暖地、温暖地になります。

同じように花糸が特徴的で美しい木にはスモークツリーがあり、こちらも近年人気の庭木です。

ブラシノキの育て方

ブラシノキの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
半日蔭程度の日照でも育ちますが、花付きが悪くなります。

また、冬の冷たい北風に当たると葉が傷んでしまうことがあります。
北風の当たらない日なたで育てて下さい。

移植を嫌う性質です。
植え場所は熟考の上で決定して下さい。

冬越し

耐寒性はあまり高い方ではありません。
関東以南の暖地では、そのまま戸外で冬越し可能です。
幼木の時期は寒さに弱く、暖地であっても防寒対策をした方が安全です。
経年と共に耐寒性が上がっていきます。

寒冷地の場合は、鉢植えで育て、冬は室内で管理することになります。

水やり

乾燥には強い性質です。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
植え付けて間もない苗木は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを。
冬越し中はやや乾燥気味に管理して下さい。

肥料

庭植えの場合は、2月頃に有機肥料を株の周辺に埋めて下さい。
生育に問題が無いなら追肥の必要はありません。

鉢植えの場合は、3月頃に化成肥料を株元に施します。

多肥にすると花付きが悪くなるので、肥料は控えめにします。

植え付け・植え替え

適期は4月中旬~9月です。

植え付け

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら腐葉土を用土に混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、植穴の底に有機肥料か緩効性化成肥料を入れて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
市販の草花用培養土も使えます。
樹勢が強く大きく育ちます。
最低でも8号鉢以上の大きな鉢に植えて下さい。

植え替え

移植を嫌う性質です。
庭植えの場合は、植え替えは行いません。

鉢植えで根詰まりを起こしているようなら、植え替えが必要になります。
根鉢を崩さず、一回り大きな鉢に植えて下さい。

剪定

適期は3月上旬ですが、自然に樹形が整うので必ずしも必要な作業ではありません。

ブラシノキはその年に伸びた新梢に花芽を作ります。
新梢が伸び始める前に行うことで、花が咲かないという失敗がなくなります。
寒さの厳しい時期に剪定すると、霜や寒さで木が弱ってしまうことがあります。
剪定時期は、厳冬期が明けて新梢が動き出す前の3月上旬がベストです。

不要な枝を整理して下さい。
ひこばえ(株元から伸びてくる枝)や、細く弱い枝、枯れた枝を付け根から切り落とします。
枝が混み合っているようなら間引いて透かして下さい。

増やし方(挿し木・種まき)

挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し木

適期は6月~7月です。
その年に伸びた新しい枝を使い、10㎝程度に切り取って挿し穂にします。
下の方の葉を切り取って水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

開花までには最低でも3年はかかります。

種の採取

花後に果実が枝にズラっと並びます。
その年に出来た種は未熟で発芽能力がありません。
3年前~前年の間に出来た果実の種を採取して下さい。

種まき

適期は4月です。

採取した種を殻から取り出してまきます。
ポットまきか箱まきで行いますが、種が非常に小さいので出来るだけ重ならないように薄くまいて下さい。
覆土はせず、水やりは底面給水か霧吹きで。
芽が出て本葉が展開したら、ポット上げします。
直根性で移植を嫌います。
根を傷つけないように気を付けて下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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