一年草・二年草

フォックスフェイス

  • 学名…Solanum mammosum L.
  • 和名…ツノナス(角茄子)
  • 別名…カナリアナス、トゲナシツノナス、キツネナス
  • 科名…ナス科
  • 属名…ナス属
  • 原産国…熱帯アメリカ
  • 花色…紫
  • 草丈…1m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:11 to 12

フォックスフェイスとは

フォックスフェイス

フォックスフェイスは、熱帯アメリカ原産のナス科ナス属の多年草です。
原産地は南アメリカ北部にあり、草原や牧草地、道端や荒れ地などに自生しています。
現在ではメキシコ南部、中央アメリカのアンティル諸島、カリブ海などで帰化植物として定着しています。

日本へは1953年に、ジャワのボイテンゾルグ植物園から導入されています。
ユニークな果実を実らせることから、生け花の花材として利用される他、ハロウィンなどのオーナメントとして広く利用されます。
和名はツノナス。

自生地では低木状に育つ多年草ですが、寒さに弱い性質のため、日本では春に種をまいて秋に果実を楽しむ春まき一年草として扱います。


フォックスフェイスの花期は7月~9月。
花期になると、上部の茎の葉の付け根に花序を出し、小さな花を咲かせます。
花序はサソリ形の総状花序で、一つの花序には3~4個の花が付きます。

▼フォックスフェイスの花序

フォックスフェイスの花

花は直径3㎝前後の紫色の5弁花で、星形に開きます。
雄しべは5個あり鮮やかな黄色。
雌しべは1個。

▼フォックスフェイスの花

フォックスフェイスの花

果実は長さ4.5~7㎝、幅3~4㎝の梨形の液果(えきか)。

※液果(えきか)…果皮の一部が多肉質、または液質(果肉)となる果実。多肉果(たにくか)とも呼ばれる。

▼フォックスフェイスの果実

フォックスフェイスの果実

果実の基部には1~5個の突起が付き、秋になると鮮やかな黄色に色付きます。
特徴的な果実はキツネの顔のように見えるため「フォックスフェイス」と呼ばれています。
和名である「ツノナス」もこの果実に由来しています。

果実が実ったフォックスフェイスは、カナリアが枝にとまっているようにも見え、「カナリアナス」とも呼ばれます。

果実の観賞期間は長く、霜が降りる頃までユニークな形を楽しむことが出来ます。
ナスの仲間ですが、果実には有毒成分が含まれており食用にはなりません。

▼フォックスフェイスの果実

フォックスフェイスの果実

果実の中果皮(ちゅうかひ)はスポンジ状で、種子は長さ3~4㎜の大きさ暗褐色です。

中果皮(ちゅうかひ)…果実の外果皮と内果皮の間の部分。
ミカンでは果皮の白い部分、モモでは食用となる果肉の部分が中果皮。


葉は大半の場合対生し、長さ5~12㎝、幅5~10㎝の広卵形~円形です。
浅く3~7裂しており、全体に細かい毛が生え、葉脈の上には長さ0.8~2㎝のトゲがあります。

▼フォックスフェイスの葉の様子

フォックスフェイスの葉の様子

茎には毛が密生しており、長さ4~12㎜の鋭いトゲがあります。
※栽培種ではトゲの無いものもあります。

▼フォックスフェイスの茎のトゲ

フォックスフェイスの茎のトゲ

草丈1m程度に成長します。

▼たくさんの果実を付けるフォックスフェイス

たくさんの果実を付けるフォックスフェイス

発芽温度が高めですが、種まきの時期が遅れると果実がしっかりと色付かないまま枯れてしまうことがあります。
種まきから育てるのは難易度がやや高めです。
結実まで至らなかった場合は、10℃以上の温度が保てる室内で管理すれば冬を越し、翌年に結実します。

フォックスフェイスの育て方

フォックスフェイスの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日当たりの悪い場所では、花付き、実付き共に悪くなるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。

大きく育つので、鉢植えの場合は10号鉢以上の大きな鉢が必要になります。

連作障害が出やすいナス科の植物です。
ナス科の植物を繰り返し同じ場所に植えると、生育不良を起こしたり病気にかかりやすくなります。
ペチュニアカリブラコアなどもナス科なので注意して下さい。

夏越し

耐暑性は高く、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

庭植え、鉢植え共に6月~9月までの間、緩効性化成肥料を定期的に施します。
窒素分の多い肥料を与えると花付きが悪くなるので注意して下さい。

植え付け

適期は4月~5月です。
ポット苗を入手した場合は、遅霜の心配がなくなったら出来るだけ早目に植え付けます。
植え付けが遅くなると、果実がしっかりと色付かないまま枯れてしまいます。

庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
株間は30㎝~50㎝です。

鉢植えの場合は、市販の野菜用の培養土を使うか、赤玉土(中粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土を使います。

芽かき、芯止め

芽かき

自然に分枝しますが、分枝が多い場合はすべての茎を育てると実付きが悪くなるので、1株につき3枝、多くても5枝程度にわき芽を切り取って調整します。

芯止め

8月頃になって、小さな果実が脇に数多く確認できるようになったら、芯止めを行います。
一番上の芽を摘んで、上への成長を止めます。
芯止めを行うことで十分な栄養が行き渡り、一つ一つの果実が大きくなります。

支柱立て

大きく育つと倒れやすくなります。
早目に支柱を立てて、倒れるのを防いで下さい。

種まき

適期は3月~4月です。
発芽温度が25℃前後と高めですが、種まきが遅くなると果実がしっかりと色付かないまま枯れてしまいます。
冷え込む場合は保温が必要です。

種はピートバンや播種箱に、5㎝間隔で点まきします。
覆土は種が隠れるように5㎜程度。
発芽までは乾かさないように温度に注意して管理します。
発芽したら本葉が2~3枚程度でポット上げし、風通しの良い日なたでしっかりと育苗して下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

しっかりと色付いて熟した果実を切り取ります。
中に暗褐色の種が入っているので、採取して下さい。
採取した種は水洗いして乾燥させ、種まきまで冷蔵庫などで保管します。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

アオムシ、ヨトウムシ

アオムシ、ヨトウムシによる葉の食害が発生することがあります。
見つけ次第、捕殺して下さい。

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