一年草・二年草

ワタ

  • 学名…Gossypium
  • 別名…コットン
  • 科名…アオイ科
  • 属名…ワタ属
  • 原産国…世界の熱帯、亜熱帯
  • 花色…黄色
  • 草丈…60㎝~150㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:9 to 11

ワタとは

ワタ

ワタはアオイ科ワタ属の多年草です。
ワタ属の植物は世界の熱帯、亜熱帯に約20種が分布しています。

花後に実る果実が裂けると白い綿毛が生じ、この綿毛は繊維として利用されています。
また、繊維を取り除いた種子からは食用油が採取できるため、世界各地で広く栽培されている植物です。

日本への渡来は古く、平安時代初期にインドから種子がもたらされたのが最初とされています。
しかし当時は栽培が定着するには至らず、安土桃山時代後期になって中国から種子が導入され、九州地方での栽培が始まりました。

ユニークな果実は観賞用としても人気があり栽培されます。

※本来は多年草ですが、日本では冬の寒さで枯れてしまうため、園芸上は春まき一年草として扱います。


ワタの花期は7月~8月。
花期になると、分枝した茎の葉の付け根に、花径4~6㎝程度の花を咲かせます。
花は白~淡い黄色をした5弁花で、花弁の基部は暗褐色になっています。
※基部が暗褐色にならない品種もあります。

▼ワタの花

ワタの花

ずい柱は長さ1.5㎝~2㎝。

※ずい柱(ずいちゅう)…雄しべと雌しべが合着して棒状になったもの。

雄しべは多数あり、花糸は1.5~2㎝。

▼ワタのずい柱

ワタのずい柱

花の構造は同じアオイ科のハイビスカスフヨウ、オクラなどに似ています。

花は一日花で夕方には萎んでしまいますが、花期の間に次々と開花します。
萎んだ花はやや赤味を帯び、淡いピンクに染まります。


果実は長さ約3㎝の円錐形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ワタの果実

ワタの果実

果実はコットンボールと呼ばれ、秋になると弾けた果実からとふわふわとした綿が顔を覗かせます。
ユニークな姿の果実は、ドライフラワーとしてもよく利用されています。

▼弾けたワタの果実

弾けたワタの果実

ワタの色は白の他、茶色や緑色の品種もあります。

▼茶色のワタ

茶色のワタ

葉は互生し、掌状に深く3~5裂しており、長い葉柄を持ちます。

▼ワタの葉の様子

ワタの葉の様子

茎は多数分枝しながら、高性種で100~150㎝程度、矮性種で60㎝程度に成長します。

▼大きく成長したワタ

大きく成長したワタ

苗が小さい頃は多湿に弱い性質ですが、その時期を過ぎれば比較的容易に栽培可能です。

ワタの育て方

ワタの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
多湿な環境を嫌うので、風通しの良い場所で育てて下さい。
弱アルカリ性の土壌を好むので、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜ込んで、土壌の酸度を調整しておいて下さい。

水やり

発芽後1か月~1か月半の間は、苗はほとんど成長しません。
地上部の変化はごく僅かですが、地中では根が育っています。
この時期に多湿な環境が続くと、根腐れを起こしたり立ち枯れ病を発病しやすくなります。
水やりのやりすぎには注意して下さい。

梅雨が明けて気温が上がると、地上部もどんどん成長するようになります。
庭植え、鉢植え共に、用土が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
特に開花中の夏場に水切れをさせると、コットンボールが大きく育ちません。
水切れに注意して下さい。
日中に水やりをすると枯れることがあるので、水やりは朝に行うようにします。

肥料

あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
肥料が多すぎると葉ばかりが茂り、花付きが悪くなるので注意して下さい。

庭植えの場合は、元肥を施す必要はありません。
生育が悪いようなら、即効性の化成肥料を施して下さい。

鉢植えの場合は、用土に元肥が入っていない場合は、少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
追肥は7月上旬頃までの間、緩効性化成肥料を定期的に施します。
または、薄めの液体肥料を週に1回程度施して下さい。

植え付け

庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜ込んで土壌を弱アルカリ性に傾けておきます。
植え付け場所の水はけが悪いようなら、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
株間は高性種で50㎝程度、矮性種で30~40㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
高性種で10号鉢に1株、矮性種で6号鉢に1株が目安です。

摘芯

放っておくと草丈ばかりか高くなり、花を付けにくいので摘芯を行います。
時期は本葉が5~6枚の頃、または7月中旬~下旬です。

収穫

弾けた直後のワタは水分を多く含んでいます。
収穫は弾けてから2日ほど経ってから行って下さい。
雨にぬれると形が崩れたり黒ずんでしまうので注意します。

切り花として利用する場合は、コットンボールが1~2個ほど弾けた段階で切り取ります。
家の中で逆さに吊るして乾燥させると、他の果実も弾けてきます。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

種はワタの中に入っています。
出来るだけワタを取り除き、しっかりと乾燥させてから冷暗所で保管して下さい。

種まき

適期は5月初旬~中旬です。
種についているワタは水を弾いてしまうので、一晩水につけておきます。

直根性で移植を嫌うので、種まきは直まきがオススメです。
地植えの場合は、30~50㎝間隔で2~3粒ずつ。
鉢植えの場合は、6号鉢~10号鉢に2~3粒ずつ。
覆土は1~2㎝程度です。
発芽温度は20℃~25℃。
水を切らさないように管理したら10日ほどで発芽します。
発芽したら元気な苗を残して間引いて下さい。

病気・害虫

苗立枯病

苗が小さい時期の低温、過湿な環境で発生しやすくなります。
育苗中は水のやりすぎに注意して下さい。

ハマキムシ、ナメクジ

ハマキムシはアオイ科の植物に発生しやすい害虫です。
葉がクルっと巻いていたり、糸で綴り合わせられていたら中にハマキムシが潜んでいます。
見つけ次第捕殺するか、数が多いようなら薬剤で対処して下さい。

苗が小さい時期はナメクジに食害されることがあります。
ナメクジ用の薬剤を使うか、夜に見回って捕殺して下さい。

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