- 学名…Physostegia virginiana (L.) Benth.
- 和名…ハナトラノオ(花虎の尾)
- 別名…カクトラノオ(角虎の尾)
- 科名…シソ科
- 属名…ハナトラノオ属
- 原産国…北アメリカ
- 花色…ピンク、白
- 草丈…30㎝~120㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:3 to 9
ハナトラノオとは
ハナトラノオは、北アメリカ原産のシソ科カクトラノオ属の多年草です。
自生地はカナダからメキシコ北部までの広範囲に渡り、草原や河川敷、道端や線路脇など、開けた日当たりの良い場所で普通に見られる野草です。
ハナトラノオの仲間は北米を中心に約12種が知られていますが、観賞用として一般的に栽培されるのは、本種フィソステギア・バージニアナ(Physostegia virginiana)と、その園芸品種です。
日本には大正時代に渡来し、丈夫な性質で育てやすいことから、夏を彩る定番の花として広く普及しています。
繁殖力旺盛で、民家周辺で野生化しているものもよく見られます。
ハナトラノオの花期は8月~10月。
花期になると、茎の頂部および最上部の葉腋に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は穂状で長さ25㎝以下、花は下から上へと咲き進みます。
▼ハナトラノオの花序
茎の断面が四角形であるため、花も四方に規則正しく並びます。
別名の「カクトラノオ」は、この四角い茎の形に由来しています。
「トラノオ」とは長い花穂を虎の尾に見立てたものです。
▼ハナトラノオの花序
花は長さ2~3㎝程度の唇形花(しんけいか)です。
※唇形花(しんけいか)…シソ科の植物に多く見られる花の形です。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれており、この様子を口に見立て、上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼びます。
ハナトラノオの唇形花は、上唇はほぼ平ら、下唇は3裂しています。
下唇は中央の裂片が大きく、濃色の斑点があります。
▼ハナトラノオの花
雄しべは4個は上唇に沿い、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は2裂しています。
▼ハナトラノオの雄しべと雌しべ
花色はピンクの他、白。
▼白い花を咲かせるハナトラノオ
果実は4分果で、分果は長さ2.5㎜の3稜形です。
※4分果…4個の分果からなる分離果(ぶんりか)のこと。
分離果は複数の子房からできた果実で、熟すと子房が分離して分果を作る。
▼ハナトラノオの果実
葉は十字対生し、披針形~長楕円形で縁に鋸歯があります。
▼ハナトラノオの葉の様子
茎は直立し、無毛で断面は四角形です。
▼ハナトラノオの茎の様子
花を咲かせながら草丈40~120㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるハナトラノオ
耐寒性、耐暑性に優れ、日本の気候によく合った植物です。
冬は地上部を枯らし、小さな芽を出して冬越しします。
放任でもよく花を咲かせ、地下茎で横に広がってよく増えます。
ハナトラノオの育て方
栽培環境
日当たりが良ければあまり場所を選びません。
半日蔭でも育ちますが、花つきが悪くなります。
たくさんの花を楽しむためには、よく日の当たる場所で育てて下さい。
地下茎でどんどん横に広がっていき、草丈も高くなります。
庭植えの場合はある程度のスペースが必要です。
冬越し
耐寒性は高く、防寒の必要はありません。
秋になって朝晩が冷え込むようになると地上部が枯れるので、株元で切り取って下さい。
根元から新芽が伸びて来て冬を越します。
春になるとこの芽が大きくなり、夏にはまた花を咲かせます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
やや乾燥に弱い性質なので、夏場の水切れには注意して下さい。
肥料
あまり肥料をやりすぎると、草丈が高くなり倒れやすくなります。
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は、春と花後に緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。
鉢植えの場合も同様です。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月、10月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は20~30㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすいので、毎年植え替えを行って下さい。
根鉢を崩して一回り大きな鉢に新しい用土で植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は、混み合って生育が悪くなるようなら、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は3月~4月、10月です。
地下茎を掘り上げて、3芽くらいを一株として切り分けて下さい。
病気、害虫
病害虫の発生はほとんどありません。