- 学名…Iris unguicularis Poir.
- 和名…カンザキアヤメ(寒咲き菖蒲)
- 別名…カンアヤメ(寒菖蒲)、ウインターアイリス
- 科名…アヤメ科
- 属名…アヤメ属
- 原産国…地中海沿岸~西アジア
- 花色…紫、白
- 草丈…15㎝~30㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 9
カンザキアヤメとは
カンザキアヤメは、地中海地域に分布するアヤメ科アヤメ属の常緑多年草です。
分布域はアルジェリア、ギリシャ、クレタ島、シリア・アラブ、モロッコ、チュニジア、トルコなど、地中海沿岸域にあり、岩場や丘陵、森林の開けた場所などに自生しています。
カンザキアヤメの名の通り、冬の寒い時期に花を咲かせる珍しいアヤメです。
カンザキアヤメの花期は1月~3月。
花期になると、葉の間から花茎を伸ばし、頂部に花径7~10㎝程度の花を咲かせます。
▼カンザキアヤメの花
花は、外側の開いている外花被片(がいかひへん)3枚と、内側で立ち上がっている内花被片(ないかひへん)3枚で構成されています。
※花被(かひ)…花において雄しべと雌しべの外側にある葉的な要素。
通常内外2列になっており、外側にある外花被(がいかひ)と、内側にある内花被(ないかひ)からなる。
外花被は「萼」、内花被は「花冠」と呼ばれますが、アヤメのように不明瞭なものは外花被・内花被と呼びます。
外花被片の基部・中央には黄色い斑が入り、繊細な網目状の模様があります。
▼カンザキアヤメの外花被片と内花被片
雌しべは1個、雄しべは3個。
雌しべの花柱は3裂しており、さらに先が2裂して花弁状になり、雄しべの上に覆いかぶさる形になっています。
▼カンザキアヤメの雌しべと雄しべ
花色は写真の紫の他、白花品種も流通しています。
葉は幅1~1.5㎝程度の線形で、根生して茂り、草丈15~30㎝程度に成長します。
アヤメは通常冬に葉を枯らしますが、カンザキアヤメは常緑性です。
▼カンザキアヤメの草姿
耐寒性、耐暑性共に優れており、育てやすい植物です。
植えっぱなしでもよく育ち、よく花を咲かせます。
花が葉よりも低い位置で咲くのがやや残念なところですが、花の少ない時期に咲く美しい花には高い観賞価値があります。
同じように小型のアヤメにはチャボアヤメ(三寸アヤメ)がありますが、チャボアヤメの花期は4月~5月です。
カンザキアヤメの近縁種
カンザキアヤメが属するアヤメ属は、北半球に約280種が分布しています。 美しい花を咲かせる種が数多くあり、観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるものには本種の他、以下のようなものがあります。
カンザキアヤメの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日光を好み、日照時間が足りないと生育、花付き共に悪くなります。
よく日の当たる場所で育てて下さい。
水はけの悪い環境を嫌います。
水はけの悪い土地の場合は、盛り土などをして水はけの良い環境を作って下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性ともに優れているので特に対策の必要はありません。
雪の降る時期に花が咲くので、必要ならば雪よけを設置して下さい。
水やり
庭植えの場合は降雨のみで大丈夫ですが、夏場にひどく乾燥が続くようなら水やりをします。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
肥料を与えすぎると株ばかりが大きくなり、花付きが悪くなります。
庭植えの場合は肥料を施す必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、春の3月と秋の9月に緩効性肥料を控えめに施して下さい。
植え付け・植え替え
適期は春の4月~5月、秋の9月~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
水はけの悪い土地の場合は、盛り土をして高植えにすると効果的です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすいので、基本的に毎年植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合は数年は植え替えの必要はありません。
数年経つと増えた根茎が地面から顔を出すようになるので、そうなれば株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
花がら摘み
しぼんだ花を摘み、花が終わった茎を切り取ります。
枯れた葉があれば取り除いて下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は花後の3月~4月です。
1株を2~3つにハサミなどで切り分けて植え付けて下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。