- 学名…Lamium
- 和名…オドリコソウ(踊子草)
- 科名…シソ科
- 属名…オドリコソウ属(ラミウム属)
- 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、アジア
- 花色…ピンク、白、黄色
- 草丈…10㎝~40㎝
- 日照…半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 8
ラミウムとは
ラミウムの仲間は、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアを中心に約40種が分布するシソ科ラミウム属(オドリコソウ属)の多年草、または一年草です。
ラミウムの仲間は日本にも分布しており、道端などでよく目にするホトケノザやオドリコソウの他、ヒメオドリコソウなど数種の帰化種が確認されています。
その中で観賞用として栽培されるのは、常緑多年草であるラミウム・マクラツム(Lamium maculatum)とラミウム・ガレオブドロン(Lamium galeobdolon)、そして両種の園芸品種です。
ラミウムの花期は5月~6月。
花期になると、茎の上部の葉腋に花序を出し、花を咲かせます。
花序は2~3個が茎を囲むように付き、一つの花序には2個~十数個の花が密に付きます。
▼ラミウムの花序の様子
花はシソ科の植物に多く見られる唇形花です。
唇形花とは、筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれている花のことで、この様子を口に見立て、上部を上唇(ジョウシン)、下部を下唇(カシン)と呼びます。
ラミウムの唇形花は、上唇は大きく湾曲して笠状になり、毛が密生しています。
下唇は3裂しており、中央裂片は側裂片より大きくなっています。
▼ラミウムの唇形花
ラミウムの名前は、この長い筒状の花を喉に見立てたもので、ギリシャ語の「laipos(喉)」に由来してます。
花色はピンク、黄色、白。
葉は対生し、卵形~広卵形で縁に浅い鋸歯があります。
基本種は緑葉ですが、斑入り葉の美しい園芸品種が流通しており、カラーリーフとしての利用価値が高い植物です。
株は地面を這うように横に広がり、花期になると上部の茎を立ち上げて花を咲かせます。
グランドカバーのほか、ハンギングなどにも利用されます。
▼花の無い時期のラミウムの草姿
耐陰性があるので、シェードガーデンのグランドカバーとして注目の植物です。
寒さに強く育てやすい性質です。
寒冷地では葉数が減りますが、常緑で冬を越します。
関連図鑑
ラミウムの主な品種
ラミウム・マクラツム(ツルオドリコソウ:Lamium maculatum)
欧州に広く分布するラミウムの原種で、アジアの温帯地域でも帰化植物として定着しています。
草丈20㎝程度で、ほふく枝を伸ばして横に広がります。
暑さにはやや弱い性質で、暖地では一年草として扱われることもあります。
基本種の花色はピンク色ですが、白い花を咲かせる品種もあります。
ラミウム・マクラツム ‘ビーコン・シルバー’(Lamium maculatum ‘Beacon Silver’)
マクラツム種の園芸品種です。
銀灰色の葉の縁に緑の覆輪が美しく入ります。
マクラツム種と同様に暑さにはやや弱い性質です。
ラミウム・マクラツム ‘ロゼウム’(Lamium maculatum ‘Roseum’)
マクラツムの園芸品種で、葉の中央に銀灰色の斑が入ります。
暑さにはやや弱い性質です。
ラミウム・ガレオブドロン(キバナオドリコソウ:Lamium galeobdolon)
ヨーロッパに分布するラミウムの原種です。
花は黄色で、多くの場合、下唇にオレンジ色の線が入ります。
ほふく枝を伸ばして広がり、花を咲かせながら草丈40㎝程度に成長します。
マクラツム種に比べると耐暑性があり、丈夫な性質でよく増えます。
ラミウム・ガレオブドロン ‘ハーマンズ・プライド’ (Lamium galeobdolon ‘Harmann’s Pride‘)
ガレオブドロン種の園芸品種です。
銀灰色のシャープな斑が印象的で美しい品種です。
比較的暑さに強く、よく増えます。
ラミウムの育て方
栽培環境
明るい日陰から半日蔭の場所で、水はけの良い環境が適しています。
日陰の場所では花付きが悪くなりますが、カラーリーフとして楽しむことが出来ます。
花をたくさん咲かせたい場合は、春の4月~5月頃まで日の当たる場所で育てて下さい。
夏の強い日差しに当たると葉焼けを起こすので注意して下さい。
庭植えでは、落葉樹の下などの明るい日陰の場所に植えて下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
高温多湿の環境がやや苦手です。
鉢植えの場合は、梅雨の時期は雨の避けられる場所で管理したほうが安全です。
夏の直射日光で葉焼けを起こします。
夏場は明るい日陰の場所か、午前中に短時間だけ日の当たるような場所で管理します。
庭植えで葉焼けの心配がある場合は遮光して下さい。
マクラツム種やその園芸品種は夏の暑さが苦手です。
暖地の場合は、出来るだけ風通しの良い涼しい場所で管理して下さい。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
土まで凍ってしまう寒冷地の場合は、凍結対策を施してください。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場にひどく乾燥するようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場は生育が衰えるので、過湿にならないよう、土の乾き具合を確かめてから水やりをして下さい。
肥料
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植えの場合は、元肥として、用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、春の4月~6月、秋の10月~11月の間に、緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は3月~6月、10月~11月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は25㎝程度です。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)5・腐葉土4・パーライト1などの水はけの良い配合土に、緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に1株が目安です。
植え替え
適期は春の3月、秋の10月頃です。
鉢植えの場合は、根詰まりを起こすと生育に影響するので、一年に一度植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は特に植え替えの必要はありませんが、増えすぎているようなら株分けを行います。
花がら摘み
花が咲き終わったら、花茎の付け根の部分で切り取って下さい。
増やし方(株分け、挿し芽)
株分けと挿し芽で増やすことが出来ます。
株分け
適期は春の3月、秋の10月頃です。
掘り上げた株を2~3つに分けて、植え付けて下さい。
または、発根したランナー(匍匐した茎)を切り取って植え付けます。
挿し芽
適期は4月~6月、10月です。
茎を先端から10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
病気・害虫
斑点病
湿度が高い環境で蒸れていると発生することのある病気です。
発病すると、葉に茶色いシミのような斑点が現れます。
罹患した葉は速やかに取り除いて下さい。
風通しの良い環境で育てることで発病を抑制できます。
また、水やりの際に極力葉に水がかからないようにして、株が蒸れるのを防いで下さい。