- 学名…Trachelospermum asiaticum (Siebold et Zucc.) Nakai
- 和名…テイカカズラ(定家葛)
- 科名…キョウチクトウ科
- 属名…テイカカズラ属
- 原産国…日本、朝鮮半島、中国、インド、タイ
- 花色…白~淡い黄色
- 樹高…つる性(つるの長さ~10m)
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 9
テイカカズラとは
テイカカズラとは、日本、朝鮮半島、中国、インド、タイに分布するキョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木です。
日本では本州から四国、九州の温暖な地域に分布しており、山地や林、岩場などに自生が見られます。
テイカカズラの和名は、平安時代末期~鎌倉時代初期の歌人である藤原定家(ふじわらのさだいえ/ていか)に因んでいます。
式子内親王(しょくしないしんのう)を愛した藤原定家は、死後も彼女のことが忘れられず、定家葛となって式子内親王の墓に絡みついたという伝説があり、そこから謡曲「定家」が作られました。
テイカカズラの名前はこの謡曲に由来しています。
テイカカズラの花期は5月~6月。
花期になると、伸びた枝先や葉腋から花序を出し、多数の白い花を咲かせます。
▼テイカカズラの花序
花は直径2~3㎝の高杯形で、筒部は長さ6~10㎜。
花冠の上部は5裂しており、裂片はねじれてプロペラ形になっています。
花には芳香があります。
▼テイカカズラの花
花は咲き進むと淡い黄色に変化します。
雄しべは5個、雌しべは1個。
花筒の中央部に見える矢じり形のものが、雄しべ5個の葯が集まったものです。
雌しべはその下に隠れており、見えません。
▼テイカカズラの雄しべ
花筒部分は、細い部分が太い部分より長くなっています。
▼テイカカズラの花筒
果実は細長い円柱形の袋果で、2又に分かれています。
長さは10~30㎝。
▼テイカカズラの果実
種子は長さ1.5~2.5㎝の線形で、先端に長い冠毛が付いています。
▼テイカカズラの種子
葉は対生し、長さ2~10㎝、幅1~5㎝の楕円形です。
全縁で革質、表面には美しい光沢を持ちます。
葉裏は通常無毛ですが、わずかに短毛があることがあります。
▼テイカカズラの葉の様子
地面を這う枝の葉は小さく、長さ1~2㎝、幅0.5~1㎝の楕円形です。
縁に波状の鋸歯があり、脈上に淡い緑色の斑が入ります。
▼テイカカズラの葉
茎の途中から気根を出し、木や岩壁をよじ登ります。
つるは10m程に伸びます。
▼大きく成長したテイカカズラ
▼たくさんの花を咲かせるテイカカズラ
病害虫の発生も少なく、強い刈り込みにも耐え、育てやすい植物です。
強い寒さに当たると葉が枯れますが、関東以南の地域であれば戸外での冬越しが可能です。
ケテイカカズラ(Trachelospermum jasminoides)
よく似た植物にケテイカカズラがあります。
ケテイカカズラはテイカカズラ属の近縁種で、本州の近畿地方以西の地域に分布しており、林縁などに自生が見られます。
葉も花も酷似していますが、葉裏や萼に毛が多いこと、萼片が長いこと、花筒の細い部分と太い部分がほぼ同じ長さであることなどが特徴です。
▼ケテイカカズラの花筒
テイカカズラの主な品種
ハツユキカズラ(Trachelospermum asiaticum 'Hatuyukikazura')
新葉に赤と白の斑が入る園芸品種です。
斑は成長と共に色が変化していきます。
新芽の淡いピンク色から徐々に白味が強くなり、緑の斑が入っていき、最終的には緑一色になります。
テイカカズラ・オウゴンニシキ(Trachelospermum asiaticum ‘Ogon Nishiki’)
緑の葉色に黄色の斑が入り、新芽はオレンジ色になる品種です。
はっきりとしたトリカラーが特徴です。
寄せ植えにもよく利用されます。
関連図鑑
テイカカズラが属するテイカカズラ属の植物は、世界に約15種が知られています。
観賞用として栽培されるのはテイカカズラの他、スタージャスミンがあります。
スタージャスミンは、甘い芳香を持つ白い花が美しいつる性植物です。