- 学名…Impatiens hybrida Sun Patience
- 科名…ツリフネソウ科
- 属名…ツリフネソウ属
- 原産国…園芸品種
- 花色…ピンク、赤、白、オレンジ
- 草丈…40㎝~100㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:
サンパチェンスとは
サンパチェンスは、ツリフネソウ科ツリフネソウ属の多年草です。
日本の育苗会社であるサカタのタネが、インパチェンスとニューギニア・インパチェンスのハイブリッドとして開発した園芸品種です。
インパチェンスは夏の花でありながら直射日光に弱いという性質があり、半日蔭の場所でしか育てられないという欠点がありました。
それを種間交雑によって改良し、夏の日差しにも耐える性質を持った品種として開発されたのが「サンパチェンス」です。
「サン(Sun)=太陽」と「ペイシェンス(Patience)=忍耐」という単語を合わせて「サンパチェンス」と名付けられています。
サンパチェンスは、一般的なインパチェンスに比べると草丈が高く、葉や花も大きいのが特徴です。
本来は多年草ですが耐寒性が低く、冬に枯れてしまうため、園芸上は一年草として扱います。
サンパチェンスの花期は5月~11月。
花期になると、分枝した茎の上部の葉の付け根から花序を出し、花を咲かせます。
花序は総状(そうじょう)で、一つの花序には1~5個の花が付きます。
※総状花序(そうじょうかじょ)…柄のある花が花序軸にほぼ均等に付く花序の形。
▼サンパチェンスの花序
花は花径5~6㎝の3弁花です。
一見すると5枚以上の花弁があるように見えますが、左右にある側花弁はそれぞれが基部で合着しています。
▼サンパチェンスの花弁
下側の萼片からは特徴的な距(キョ)と呼ばれる長い筒が伸びており、ここに蜜が入っています。
▼サンパチェンスの距
花は長い花期の間、次々と開花します。
花色はピンク、赤、紫、白、オレンジ。
豊富な花色が揃うことも魅力の一つです。
▼赤いサンパチェンス
葉は対生、または輪生し、先の尖った楕円形~卵形で縁に鋸歯があります。
▼サンパチェンスの葉の様子
葉に斑が入る斑入り品種もあります。
▼斑入り品種「スプラッシュホワイト」
茎はよく分枝して花を咲かせながら、草丈40~100㎝程度に成長します。
一株でも十分なボリュームがあり、株一杯に花を咲かせた様子は非常に華やかで、抜群の存在感があります。
▼たくさんの花を咲かせるサンパチェンス
暑さには強いのですが、夏の強い日差しで葉焼けしてしまうことがあります。
特に水切れすると葉焼けを起こしやすいので、夏場の水の管理には注意が必要です。
本来は多年草ですが、耐寒性が無いため一年草として扱われます。
室内などで温度を保つことが出来る環境があれば、冬越しが可能です。
サンパチェンスの近縁種
サンパチェンスが属するツリフネソウ属は、世界に約1000種が分布する巨大な植物群です。 多くはアフリカ、アジアの熱帯・亜熱帯地域に分布しており、いくつかの種が観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるのは本種の他、以下のようなものがあります。
サンパチェンスの育て方
栽培環境
水はけと風通しの良い場所が適しています。
日光を好みますが、夏の強い日差しが一日中当たるような場所だと、葉焼けや花焼け(花弁の色が白く抜ける)を起こすことがあります。
庭植えの場合は、午後から日陰になるような半日蔭の場所に植えて下さい。
鉢植えの場合は、日なたで管理し、葉焼けや花焼けの症状が出たら半日蔭に移動します。
水切れをさせていないのに葉が反り返ったりした場合は、葉焼けのサインです。
早目に半日蔭の場所に移動して下さい。
冬越し
本来は多年草なので、温度が保たれれば冬を越すことが出来ます。
冬越しに必要な温度は10℃以上です。
冬場は室内での管理が基本になります。
鉢植えの場合は、草丈の1/2~1/3程度の高さでバッサリと切り戻して室内に取り込みます。
切り取った茎は挿し穂として利用することが出来ます。
庭植えの場合は、挿し木苗を作って、同じく室内で管理します。
窓際などの日が当たる場所に置き、水やりは控えめにして下さい。
無事に冬を乗り切ったら、春になって十分に暖かくなってから植え替えを行います。
水やり
庭植えの場合は、根付くまでは土の表面が乾いたら水やりを。
その後は、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと。
サンパチェンスは水を好む植物です。
水切れを起こすと葉が萎れ、最悪の場合は枯れてしまいます。
鉢植えの場合は、水切れをさせないように気を付けて下さい。
特に夏場は多くの水分を必要とするので、朝夕の水やりが基本になります。
受け皿を使っている場合は、受け皿に溜まった水はその都度捨てて下さい。
放置しておくと根腐れの原因になります。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に腐葉土や完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
庭植え、鉢植え共に肥料を切らさないように管理します。
植え付け後、1~2週間して根が張って来たら追肥を施して下さい。
5月~10月の生育期間中、緩効性化成肥料を月に1回程度置き肥し、合わせて液体肥料を7~10日に一度程度施します。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は4月中旬~7月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
株間は60㎝程度で植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土かサンパチェンスの土、または赤玉土(小粒)5・腐葉土3・完熟堆肥2などの配合土を使います。
10号鉢に1株が目安です。
植え替え
特に植替えの必要はありません。
冬越しした株は、4月中旬以降になってから新しい鉢に植え替えを行います。
植え替えの際は、根を傷めないように気を付けて下さい。
切り戻し、花がら摘み
咲き終わった花は、花茎の根元から摘み取って下さい。
茎が伸びすぎてバランスが悪くなった時には、バッサリと切り戻します。
茎頂から1/3~1/2の位置が目安です。
増やし方(挿し木)
挿し木(挿し芽)で増やすことが出来ます。
挿し木(挿し芽)
生育期の5月~10月であればいつでも可能です。
枝の先端から2~3節を付けて切り取って挿し穂にします。
蕾や花が付いていたら取り除き、葉も上部を5~6枚残して取り除きます。
水揚げをしたら挿し木用土に、葉を取り除いた節が埋まるように挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。
挿し穂を水に挿しておいても発根します。
その場合は、水温が上がりすぎないように注意し、水が腐らないように取り替えて発根を待って下さい。
※種苗登録されている品種は、営利目的で許可なく増やしたり譲渡することが禁止されています。
病気、害虫
スリップス(アザミウマ)
植物の表面に付いて汁を吸う虫ですが、厄介なのはウイルス病を媒介することです。
被害を確認したら薬剤などで早目に対処して下さい。
ハダニ、アブラムシ
アブラムシもウイルス病を媒介することがあります。
見付け次第駆除して下さい。