- 学名…Viburnum carlesii Hemsl. var. carlesii
- 和名…オオチョウジガマズミ(大丁子莢蒾)
- 科名…ガマズミ科
- 属名…ガマズミ属
- 原産国…日本、朝鮮半島
- 花色…白
- 樹高…1.5m~2m
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 7
オオチョウジガマズミとは
オオチョウジガマズミは、日本、朝鮮半島に分布するガマズミ科ガマズミ属の落葉低木です。
日本では長崎県対馬に分布しており、浅茅湾(あさそうわん)など、海岸に近い岩場で稀に自生が見られます。
ごく限られた一部の地域にのみ分布する貴重な花木で、環境省レッドデータでは絶滅危惧種ⅠB類に分類されています。
オオチョウジガマズミは、岡山県や香川県小豆島に自生するチョウジガマズミ(Viburnum carlesii var. bitchiuense)の基本種とされており、両種共にヨーロッパで品種改良が進み、現在では数種の園芸品種が流通しています。
チョウジガマズミに比べると花が大きく密に咲き、海外では高い人気を誇る花木の一つとなっています。
オオチョウジガマズミの花期は4月~5月。
花期になると、分枝した枝先に花序を付け、多数の花を咲かせます。
花序は直径3~6㎝の半球形です。
▼オオチョウジガマズミの花序
花は直径1~1.5㎝、長さ0.6~1.2㎝程度の高杯形で、先が5裂して平らに開きます。
雄しべは5個、筒部の中にあり、雌しべはさらに奥にあります。
▼オオチョウジガマズミの花
蕾は外側が紅色を帯びており、蕾が開くと白い花が現れます。
花には強い芳香があり、花の季節になると庭を甘い香りで包みます。
▼オオチョウジガマズミの花と蕾の様子
葉は対生し、長さ3~10㎝、幅4~7㎝の先の尖った広楕円形~卵形です。
花後に実る赤い果実は熟すと黒く色付き、葉は秋になると美しく紅葉します。
▼オオチョウジガマズミの葉の様子
耐寒性、耐暑性ともに優れており、低木であまり大きく成長せず樹形も整いやすい樹木です。
近年急速に人気が出て来ている注目の花木の一つです。
オオチョウジガマズミの名前の由来
「オオチョウジガマズミ」の「チョウジ」は、花や蕾、香りがフトモモ科のチョウジに似ていることに由来しています。
「ガマズミ」の由来については諸説あります。
①赤い果実を染料として使用していたことから「ズミ」は「染め」の転訛であるとする説
②赤い実を意味する「赫つ実(かがつみ)」からの転訛であるとする説
③果実に酸味があることから「噛む酸実」からの転訛であるとする説
等々、様々な説がありますが、はっきりとは分かっていないようです。
オオチョウジガマズミの主な品種
オーロラ(Viburnum carlesii ‘Aurora’)
オオチョウジガマズミの園芸品種です。
蕾は淡い紅色をしており、花は咲き進むにつれて淡いピンク色から白へと変化します。
ビバーナム・カールセファーラム(Viburnum x carlcephalum)
オオチョウジガマズミとマクロセファルム(V. macrocephalum)の交配種です。
マクロセファルムは中国東部を中心に分布するオオチョウジガマズミの近縁種で、中国ではごく一般的な庭木として普及しています。
オオチョウジガマズミに比べると成長が早く大輪です。
オオチョウジガマズミは原種、園芸品種共に芳香を持ちますが、本種は特に甘く強い香りを持っており、「香りガマズミ」とも呼ばれています。
他にも数種の園芸品種、交配種が流通しています。
オオチョウジガマズミの近縁種
オオチョウジガマズミが属するガマズミ属は、世界に約200種が分布しており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。 観賞用として栽培されるガマズミ属の植物には、本種の他以下のようなものがあります。
オオチョウジガマズミの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
半日蔭でも育ちますが、花付きが多少悪くなります。
水はけの悪い場所では生育が衰えるので、水はけが悪い場所に植える場合は、土壌改良が必要です。
低木で比較的コンパクトな樹形ですが、成長が早く横に枝を張ります。
鉢植えではなく、庭植え向きの樹木です。
冬越し
日本に自生する植物で、耐寒性に優れています。
北海道南部以南では防寒対策無しで冬越し可能です。
雪などで枝が折れる心配がある場合は、対策を施して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら水やりをして下さい。
肥料
寒肥として、真冬を除いた落葉期の間に、緩効性化成肥料か固形の油粕などを施します。
また花後のお礼肥として、緩効性化成肥料を施して下さい。
植え付け
適期は厳冬期を除いた落葉期です。
根鉢の2~3倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
植え付け後は水極めをして、根の間にしっかりと土が詰まるようにして下さい。
剪定
基本的に剪定を行わなくても樹形が整いますが、コンパクトに育てたい場合や樹形が乱れた場合には剪定を行います。
適期は5月下旬~6月です。
翌年の花のために、花後の出来るだけ早い時期に剪定をして下さい。
長く伸びすぎた枝や、花が付かなくなった枝は基部から切り取ります。
樹形を整える場合は、葉や芽が出ている節のすぐ上の部分で切り取って下さい。
そうすると残した節の部分から新しい枝が出てきます。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は6月中旬~7月中旬です。
その年に伸びた枝を5~7㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
葉は1/2程度にカットし、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
うどんこ病
葉の表面が白い粉をまぶしたようになり、進行すると茶色く変化します。
放っておいても枯れることはありませんが、美しさは損なわれます。
初期であれば、発病している部分や落葉した病葉を取り除くことで拡大を防ぐことが出来ます。
風通しが悪いと発生しやすい病気です。
カイガラムシ
カイガラムシが発生することがあります。
見付け次第駆除して下さい。