- 学名…Tagetes erecta L.
- 和名…センジュギク(千寿菊)
- 別名…マリーゴールド、フレンチマリーゴールド、アフリカンマリーゴールド、コウオウソウなど
- 科名…キク科
- 属名…センジュギク属
- 原産国…メキシコ、中央アメリカ
- 花色…黄色、オレンジ、赤、白、複色
- 草丈…20㎝~100㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:2 to 11
マリーゴールドとは
マリーゴールドは、アメリカ大陸の熱帯~暖温帯に分布するキク科センジュギク属の一年草です。
センジュギク属の植物は、メキシコを中心に約40種が分布しており、作出された園芸種がマリーゴールドの名前で流通しています。
主に原種となっているのは、北アメリカ原産のセンジュギク(千寿菊:Tagetes erecta)です。
※もう一つの原種とされるコウオウソウ(紅黄草:Tagetes patula)は現在では、センジュギクの同義語とするのが一般的となっています。
古くからこの二種は別種として扱われていたため、センジュギクから作出された品種は「アフリカンマリーゴールド」、コウオウソウから作出された品種は「フレンチマリーゴールド」と呼ばれ、区別されていました。
現在でもその名残は残っていますが、少しずつ使われなくなっています。
日本へは江戸時代前半に渡来し、現在では夏の花壇に欠かせない定番植物となっています。
マリーゴールドの花期は6月~10月。
花期になると、分枝した茎の頂部に、花径2~12㎝程度の頭花(とうか)を咲かせます。
※頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。
▼マリーゴールドの頭花
舌状花は筒状になった花弁の片側が舌状に大きく広がっており、管状花は筒状になった花冠の先が5裂しています。
▼マリーゴールドの管状花
※管状花が少ない、あるいは無い品種も数多くあります。
▼管状花が少ないマリーゴールド頭花
花は長い花期の間、次々と開花します。
花色は、オレンジ、赤、黄色、白、複色。
八重咲きの他、菊咲きやクラウン咲き、カーネーション咲きなどの変わり咲き品種も数多くあります。
▼様々なマリーゴールド
果実は長さ6~10㎜の痩果(そうか)。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
▼マリーゴールドの果実
葉は対生、茎の上部では時に互生し、長さ3~12㎝の羽状複葉(うじょうふくよう)。
小葉は長さ1.5~2.5㎝、幅0.3~1.2㎝の披針形~線状披針形で縁に鋸歯があります。
※羽状複葉(うじょうふくよう)とは、葉軸の左右に小葉が並んだもの。
羽状複葉が集まってさらに大きな羽状複葉を構成している場合、その回数に合わせて2回羽状複葉、3回羽状複葉と呼ぶ。
▼マリーゴールドの葉の様子
茎はよく分枝して花を咲かせながら成長し、株はこんもりと茂ります。
葉茎には独特の強い匂いがありますが、最近ではあまり匂いの強くない品種も流通しています。
草丈20㎝程度の矮性種から100㎝程度に育つ高性種まで、様々な品種が流通しています。
▼たくさんの花を咲かせたマリーゴールド
耐暑性が高く、丈夫な性質で育てやすい植物です。
品種によってはこぼれ種でよく増えます。
マリーゴールドは、その生育期間中に分泌される物質によって、ネグサレセンチュウやネコブセンチュウを防除する働きがあります。
そのため、コンパニオンプランツとして花壇に植栽されたり、緑肥として利用されることがあります。
マリーゴールドの原種と近縁種
センジュギク(アフリカンマリーゴールド:Tagetes erecta)
センシュギクは、メキシコとグァテマラに分布する一年草です。
メキシコでは中部のミチョアカン州、プエブラ州、ベラクルス州にあるアメリカガシワの森林地帯を中心に分布しています。
自生地では、野原や荒れ地、牧草地や道端、民家の近くの耕作地などでよくみられる草花の一つです。
草丈は10~120㎝程度、花は黄色~オレンジ色、赤、赤茶色、それらの複色です。
栽培種では白花の品種もあります。
▼白花品種
1960年代にアメリカで品種改良が進められ、数多くの品種があります。
園芸界ではアフリカンマリーゴールドと呼ばれ、下記コウオウソウと区別することもあります。
「アフリカン」の名前は、イギリスのチャーチル5世率いるイギリス軍が、アフリカ遠征の際に本種を持参して栽培し、現地に広まったことに由来しています。
▼センジュギクの園芸品種
コウオウソウ(フレンチマリーゴールド:Tagetes patula)
長い間センジュギクとは別種と考えられていましたが、現在の植物分類ではセンジュギクと同種とされています。
センジュギクが2倍体、コウオウソウが4倍体となっており、園芸界では両種を区別する場合が多々あります。
その場合は「フレンチマリーゴールド」と呼ばれます。
フレンチの冠は、16世紀にヨーロッパに紹介され、パリの王宮の庭園に多用されたことに由来します。
ホソバコウオウソウ(メキシカンマリーゴールド:Tagetes tenuifolia)
ホソバコウオウソウは、メキシコ、南アメリカに分布する一年草です。
ホソバクジャクソウ(細葉孔雀草)、ヒメクジャクソウ(姫孔雀草)とも呼ばれます。
草丈10~20㎝に成長し、花径2~3㎝の花を咲かせます。
葉が羽状に裂け、裂片が細いのが特徴です。
よく分枝して横に広がる性質があります。
本種もまた、センジュギクに含めるという見解もあります。
レモンマリーゴールド(Tagetes lemmonii)
メキシコ北部、アメリカ・アリゾナ州南部に分布する多年草~低木です。
草丈30~150㎝程度に成長し、花径3~4㎝の黄色い花を咲かせます。
センジュギクとは同属の近縁種ですが、こちらは多年草のため別ページで扱っています。
詳細は下記を参照ください。
マリーゴールドの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけのよい場所が適しています。
土質はあまり選ばず、よく育ちます。
夏越し(切り戻し)
アフリカンマリーゴールドは耐暑性が高く、特に対策の必要はありません。
フレンチマリーゴールドは厳しい暑さが苦手な性質で、30℃を超える日が続くと花付きが悪くなります。
1/2程度の高さで切り戻すと、秋にはこんもりと茂り、再び元気に花を咲かせます。
アフリカン種も草丈が伸びて姿が乱れているようなら切り戻しを行って下さい。
※上記は一般的な性質で、品種により異なることも多々あります。
また、現在ではアフリカン、フレンチ等の表記がない品種もあります。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾き始めたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、元肥として腐葉土や堆肥を用度に混ぜ込んでおけば、追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、真夏を除いた生育期に液体肥料を月に2~3回程度、施します。
肥料分が多すぎると、葉ばかりが茂って花付きが悪くなるので、肥料の与えすぎに注意して下さい。
植え付け
適期は4月中旬~6月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、完熟堆肥を混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3の配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
花がら摘み
花がらを小まめに取り除くと病気の予防になります。
種ができると栄養が取られてしまうので、枯れた花は摘み取って下さい。
増やし方(挿し木・種まき)
挿し木と種まきで増やすことができます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
挿し木
葉が多く付いた元気な枝を選んで挿し穂にします。
3~4節程度の長さで切り取り、上部の葉を2~3枚残して下部の葉を取り除きます。
水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
種まき
種の採取
花の最盛期が終わる秋口になったら、種を採取するために花がらを残しておきます。
花が完全に枯れ乾いたら、頭花を切り取り、種を採取します。
採取した種は封筒に入れて乾燥剤と一緒にビンなどに入れ、冷蔵庫で保管します。
※自家採取の種は親株と同じ花が咲かないことがあります。
※種が出来ない品種もあります。
種まき
適期は4月~5月です。
発芽温度が20度~25度と高めなので、十分に暖かくなってから種をまきます。
種は、播種箱にまくか、花壇や鉢に直播きし、種が隠れる程度に覆土します。
水を切らさないように管理し、発芽を待ちます。
箱まきの場合は本葉が2~3枚程度でポット上げし、6~7枚程度になったら定植してください。
病気・害虫
灰色かび病
多湿な環境で発生しやすい病気です。
風通しの良い環境で育て、発生を抑制して下さい。
ハダニ
高温期に発生しやすくなります。
ハダニは水が苦手なので、水やりの際に葉裏に水をかけることで、ある程度は防除できます。
被害が大きくなった場合は、薬剤で対処して下さい。