多年草・宿根草 ハーブ

マロウ

  • 学名…Malva
  • 別名…ゼニアオイ(銭葵)、ウスベニアオイ(薄紅葵)、コモンマロウ、ジャコウアオイ(麝香葵)、ムスクマロウ
  • 科名…アオイ科
  • 属名…ゼニアオイ属
  • 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ
  • 花色…ピンク、白、紫、赤紫
  • 草丈…30㎝~150㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

マロウとは

マロウ

マロウは、ヨーロッパから北アフリカ、アジアに約30種が分布するアオイ科ゼニアオイ属の多年草、または一年草です。
分布域は、温帯、亜熱帯から熱帯地域にあり、いくつかの種が観賞用、またはハーブとして栽培されています。
ハーブとしての栽培は古代エジプト時代から始まっており、長い歴史のある植物です。

日本へはマロウの一種であるゼニアオイが江戸時代に渡来しており、本州以南の地域で逸出したものが帰化植物として定着しています。

マロウには多くの種類がありますが、日本で主に栽培されているのは、前述のゼニアオイの他、ウスベニアオイ(コモンマロウ)、ジャコウアオイ(ムスクマロウ)の3種のマロウです。
どの種も多年草ですが、株の寿命は比較的短く、4~5年で株の更新をして育てます。


マロウの主な花期は5月~8月。
花期になると、真っ直ぐに伸びた茎の葉の付け根から短い花柄を伸ばし、花を咲かせます。
花は束生、または単生します。

▼マロウの花の様子

束生するマロウの花

花は花径3~6㎝程度の5弁花です。
花弁は多くの場合凹形で、濃色の筋が数本入ります。

▼マロウの花の様子

マロウの花

雄しべは筒状に合着しており、筒の上部に葯が付きます。
雄性先熟で、雄しべが先に成熟して花粉を出し、その後雌しべが成熟して雄しべの筒の中から顔を出します。
雌しべは9~15個

▼マロウの雄しべと雌しべ

マロウの雄しべと雌しべ

花色は白から薄紫、赤紫、ピンク。

▼白い花を咲かせるマロウ

白い花を咲かせるマロウ
ジャコウアオイ

果実は円形の分離果(ぶんりか)。
分果(ぶんか)は9~15個。

※分離果(ぶんりか)…複数に縦に分かれた雌しべの子房に由来し、複数の単位に分かれる果実のこと。
分かれた単位は分果(ぶんか)と呼ぶ。

▼マロウの果実の様子

マロウの果実
ウスベニアオイ

葉は互生し、掌状で、深く裂けているもの、浅く裂けているものなどがあります。

▼マロウの葉の様子

マロウの葉の様子
園芸種

花を咲かせながら草丈30~150㎝に成長します。

▼マロウの株姿

マロウの草姿

耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい植物で、こぼれ種でもよく増えます。
アオイ科の植物であるため、ハマキムシの食害には注意が必要です。
冬に地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹きます。

よく似た草姿の植物にタチアオイ(ホリホック)があります。

マロウのハーブティー

葉や花は食用として、ハーブティなどに利用されます。
中でもウスベニアオイ(コモンマロウ)の花を乾燥させたものでいれたハーブティーは「夜明けのハーブティ」と呼ばれ、人気があります。
鮮やかな青からグレーに変化し、さらにレモンを加える事で、パッと茜色に。
その様子が「夜明けのハーブティ」と呼ばれる所以です。
生花でも利用できますが、乾燥させた方が色が鮮やかに出ます。

▼乾燥させたマロウの花

乾燥させたマロウの花

マロウの主な品種

ウスベニアオイ(コモンマロウ:Malva sylvestris)

ウスベニアオイ

ヨーロッパからアフリカ、アジア、コーカサス地方原産のマロウで、コモンマロウと呼ばれます。
花は淡いピンク~赤紫色で、花弁には濃色の筋が入ります。
本州中部以南の地域で野生化しています。

コモンマロウ(Malva sylvestris)として紫色の花を咲かせるものがよく流通していますが、園芸品種だと思われます。

▼コモンマロウとして流通している品種

コモンマロウ

ゼニアオイ(Malva mauritiana)

ゼニアオイ

ウスベニアオイの変種とされていたり、全くの別種として扱われている場合もありますが、現在ではウスベニアオイの園芸種とするのが一般的になりつつあります。

草姿も花もウスベニアオイによく似ていますが、ゼニアオイは葉の切れ込みが浅く、茎が一般的に無毛です。
花色は濃ピンク色~紫色で、花弁には濃色の筋が入ります。
こぼれ種でもよく増え、こちらも野生化し帰化植物として定着しています。
果実の形が銭に似ていることからこの名前が付いたと言われています。

両種の違いについてはこちら⇒ウスベニアオイとゼニアオイの違い

ジャコウアオイ(ムスクマロウ:Malva moschata)

ジャコウアオイ

ヨーロッパ、トルコ、北アフリカ原産のマロウです。
花は淡いピンク色から白色で、甘い芳香があります。
葉は深い切れ込みを持ちます。
日本には明治時代に渡来し、こちらも帰化しており北海道、東北地方、長野などに生息しています。

マロウの育て方

マロウの育て方

栽培環境

日当たりと風通しが良く、水はけの良い場所が適しています。
草丈が大きくなり、強い風が当たると倒れやすくなります。
その場合は支柱を立てて倒れるのを防いで下さい。

酸性土壌を嫌います。
土壌が酸性の場合は、あらかじめ苦土石灰を使用して、土壌を中和しておいて下さい。

冬越し

耐寒性はかなり高く、そのまま戸外で冬越し可能です。
土まで凍るような寒冷地では、地面の凍結から根を守るため、腐葉土などで株元をマルチングて下さい。
鉢植えの場合は、軒下などに避難し用土の凍結を防止します。

水やり

鉢植えの場合は、用土の表面がが乾いたらたっぷりと。
冬場は乾かし気味に管理します。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

肥料

元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は春と秋に、緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を少量施します。

植え付け・植え替え

適期は3月~5月上旬、9月下旬~11月上旬です。

マロウは直根性の植物で移植を嫌います。
植え付け、植え替えの際は根を傷つけないよう注意して下さい。

植え付け

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜ込んで土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土や堆肥を混ぜ込んで、肥沃な土壌を作り、元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間50㎝以上で植え付けて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・軽石2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
大きく育つので、9~10号鉢に1株が目安です。

植え替え

庭植えの場合は、必要ありません。

鉢植えの場合は、根詰まりを起こしていたら株分けを兼ねて植え替えを行います。
その際、太い根を切らないように注意して下さい。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
ウスベニアオイ、ゼニアオイはこぼれ種でもよく増えます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

適期は10月~11月です。
株を堀り上げて、ハサミで分割します。
1株に3~5芽つくように分けて、植え付けて下さい。

種まき

種の採取

花後に果実が出来るので茶色く熟したら採取して、中から種を取り出します。
種を保存する場合は、紙袋などに入れて涼しい場所で保管して下さい。

種まき

適期は4月~6月、9月です。

移植を嫌うので、種まきは直まきかポットまきで行います。
2~3粒ずつまき、覆土は5㎜程度に薄く。
発芽温度は15℃~20℃です。
発芽までは乾かさないように管理し、発芽したら間引きます。
ポットまきの苗は、ポットに根が回ったら定植して下さい。

病気・害虫

アブラムシ

春に発生しやすいので、見付け次第駆除して下さい。

ハマキムシ、ワタノメイガ

アオイ科の植物であるため、ハマキムシの食害が多く発生します。
見付け次第補殺するか、発生数が多い場合は薬剤で対処します。

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