一年草・二年草

マツバボタン

  • 学名…Portulaca grandiflora Hook.
  • 和名…マツバボタン(松葉牡丹)
  • 別名…ヒデリグサ(日照り草)、ツメキリソウ(爪切り草)
  • 科名…スベリヒユ科
  • 属名…スベリヒユ属
  • 原産国…ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ
  • 花色…赤、オレンジ、黄、ピンク、白、複色
  • 草丈…5㎝~20㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 11

マツバボタンとは

マツバボタンは、ブラジル南部、アルゼンチン、ウルグアイに分布するスベリヒユ科スベリヒユ属の一年草です。
美しい花を咲かせることから、世界の広い地域で栽培されており、南アジアでは多くの地域で帰化植物として定着しています。

日本へはオランダ経由で江戸時代末期に渡来し、夏花壇の定番植物として普及しています。


マツバボタンの花期は6月~9月。
花期になると、分枝した茎の頂部に花を咲かせます。
花は直径2.5~5.5㎝。

▼マツバボタンの花

花弁は長さ1.5~2.5㎝、幅1.5~2㎝の倒卵形で、先が浅く裂けています。

雄しべは40個以上あります。
雄しべには刺激が加わると動く性質があり、指で触れると花の内側に向かってキュッと動きます。
これは蜜を求めてやって来た昆虫に、効率良く花粉を付けるための性質です。
同じような性質を持った植物には、ヒイラギナンテンメギなどがあります。

▼マツバボタンの雄しべ

雌しべは1個あり、柱頭は5~8個。

▼マツバボタンの雌しべ

花の下には総苞(そうほう)状の葉が8~9個(~14個)付き、基部に白い毛が付きます。

※総苞(そうほう)…花序の基部にある苞葉のことを総苞片(そうほうへん)と呼び、その集合体を総苞と呼ぶ。

▼マツバボタンの総苞状の葉の様子


原種の花は、晴れた日に開き昼頃には萎んでしまう一日花ですが、園芸品種は夕方頃まで萎まないように改良されています。

花は長い花期の間、次々と開花します。
花色は赤、オレンジ、黄、ピンク、白、複色。
一重咲きの他、八重咲き品種、花径6㎝前後の大きな花を咲かせる大輪品種も流通しています。

▼様々なマツバボタン


果実は直径4~6.5㎜の卵形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼マツバボタンの果実と種子

熟して開いた果実。種子が見えている。

果実は熟すと上半分が蓋のように取れ、中の種子がこぼれ落ちます。
種子は0.7~1㎜の球形。


葉は長さ0.5~3㎝、幅1~5㎜の線形~披針形、円錐形~半球形で、先が尖ります。

▼マツバボタンの葉の様子

茎はよく分枝して地面を這うように横に広がります。
マツバボタンの名前は、葉を松葉に、花をボタンに見立てたものです。

▼たくさんの花を咲かせるマツバボタン

寒さに弱く通常は一年草として扱いますが、温度があれば冬越しすることもあります。
真夏の暑さや乾燥に強く、放任でもよく育ちます。
地域や場所によってはこぼれ種でよく増えます。

関連図鑑

 スベリヒユ属は世界の熱帯から温帯にかけて100~125種が分布しています。
マツバボタンの他にはポーチュラカの名前で流通しているハナスベリヒユ(Portulaca umbraticola)があり、こちらも夏花壇の定番としてよく植栽されます。

また、よく似た草姿の花にマツバギクがあります。
マツバギクはハマミズナ科の多年草です。

マツバボタンの育て方

マツバボタンの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
暑さと乾燥に強い性質で、真夏の直射日光にさらされても元気に花を咲かせます。
日照時間が足りなかったり、水はけの悪い場所では、生育、花付きともに悪くなります。
よく日の当たる、水はけの良い環境で育てて下さい。

冬越し

園芸品種の「ジュエル」は、比較的耐寒性があり、暖地であれば冬越し可能です。
冬越しさせる場合は、霜や凍結に注意して管理して下さい。
軽い霜程度なら大丈夫です。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面がしっかりと乾いてからたっぷりと。
常に土に湿った環境で育てていると根腐れを起こします。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、肥料はほとんど必要ありません。

鉢植えの場合は、生育期の5月~9月までの間、緩効性化成肥料を月に1回程度置き肥するか、液体肥料を定期的に施して下さい。
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
肥料は他の植物より控えめに施して下さい。

植え付け

適期は5月~6月です。

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
株間は20㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。

種まき

適期は4月下旬~5月です。
発芽温度が20℃~25℃と高いので、暖かくなってから種をまいて下さい。

種が非常に細かいので、播種箱やピートバンにまくか、花壇や鉢に直接まきます。
好光性種子のため覆土はせず、水やりは底面吸水で行います。
発芽後はよく日に当て、本葉が3~4枚程度になったらポット上げするか、花壇や鉢に定植して下さい。

増やし方(挿し芽、種まき)

挿し芽と種まきで増やすことが出来ます。

挿し芽

適期は6月~8月頃で、気温が高ければいつでも可能です。

茎を5㎝程度の長さに切り、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて、挿し木用土に挿して下さい。
マツバボタンは簡単に発根するので、花壇や鉢に直接挿すことも可能です。
土が乾いたら水やりをし、発根を待ちます。

種まき

F1(一代交配種)は、種をまいても親株と同じ花は咲きません。
種が出来にくい品種もあります。

種の採取

花が終わり、花柄が茶色く変色する頃に、枯れた花弁の下に丸い果実が出来ます。
果実は種が熟すと自然に蓋が開き、種がこぼれてしまいます。
採取する場合は、通気性のあるお茶パックなどの袋を被せておいて、種が自然に落下するのを待って下さい。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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